雰囲気超好きなんですけど ☆3.5点
飼い猫が逃げた元ボクサーの警備員とその猫を拾った自動車整備工がストーカーに狙われるシングルマザーの身辺警備を請け負ったことから起こるクライムドラマで監督は榊英雄、W主演に窪塚洋介とDragon Ashの降谷建志、ヒロインに市川由衣
予告編
映画データ
本作は予告編は見たことなかったんですけど、例によって新作映画の公開スケジュールを見てたら窪塚洋介さんと降谷建志さん主演ってことで、それだけで面白そうと思い鑑賞。
全国でも8館くらいの上映で東京でもテアトル新宿しかやってないんですね。
なんか勿体ない気が…。
監督は榊英雄さん
『木屋町DARUMA』を観てます。
シネパレスでの上映時に監督のティーチインをやっていたので色々質問した覚えがあります。
ただいま、渋谷シネパレスさんにてティーチイン中!
#木屋町DARUMA
http://t.co/ZBEc3g5zA4— 映画『木屋町DARUMA』 (@darumamovie) 2015年10月17日
主演に窪塚洋介さん
特に意識してた訳ではないですが、ここ4~5年の出演作はだいたい観てました。
『ジ、エクストリーム、スキヤキ』『愛の渦』『TOKYO TRIBE』『Zアイランド』
今年はなんと言っても『沈黙 -サイレンス-』でマーティン・スコセッシ監督に起用されたの凄いですよね。
ちなみに『Zアイランド』には榊監督も出演されていて、本作のストーカー役の品川祐さんが監督を務めてる作品で監督と出演者の関係が逆転してます。
主演に降谷建志さん
言わずと知れたDragon Ashのボーカルで俳優の古谷一行さんの息子さん。
映画初主演だそうで演技してるとこ初めて観ましたが、Dragon Ashでデビュー前にkenji名義で『ゲレンデがとけるほど恋したい。』に出てたみたいです(DVD化されておらず?VHSのみ?)。
最近は以前よりミクスチャーロックが流行らないので寂しいですね。
リンキン・パークのボーカルの方は亡くなっちゃいましたし。
共演に市川由衣さん
近作では『TOKYO TRIBE』『海を感じる時』『愚行録』を観てます。
今年は『愚行録』がなんといってもよかったです。
『海を感じる時』で初ヌードになって、『TOKYO TRIBE』では窪塚さんと共演しています。
他に共演と配役は以下の通りです。
朝秀晃(マル):窪塚洋介
梅津郁巳(リリィ):降谷建志
土屋冴子:市川由衣
玉木敏郎:品川祐
多田瑞希:柳英里紗
田口直樹:川瀬陽太
倉持洋一:森岡豊
橋本賢吾:馬場良馬
土屋隼人:岡本拓真
スカウトマン:森本のぶ
柿沢美智也:三浦誠己
南雲壮介:高川裕也
羽柴康夫:火野正平
あらすじ
元・ボクシングの東洋チャピンオンで、いまは頭の後遺症に悩みながらも警備員の仕事をしている朝秀晃(窪塚洋介)。
ささやかな楽しみは、彼が「マル」と呼ぶ野良猫の世話をすることだった。
ところが、そのマルが行方不明に。
保護されているかもと、保健所を訪れた秀晃は、入口にひとりの男が猫を抱いて出てくるところに出くわす。
その猫こそ、マルだった。
「マル! よかったな! 命拾いしたな、お前!」
ところが、その男、梅津郁巳(降谷建志)は無視して歩き出す。
「ちょっと、待って。そいつ、俺の猫なんだよ。ずっと探してて。な、マル!」
「リリィだよ」
「え?」
「リリィ。俺がさっきつけた名前。いま、もらってきたところ。猫って魂を9つ持ってるんだって。こいつの魂はもうリリィなんだよ」
ふたりの男はそんなふうに出逢った。ある時、秀晃はボディーガードのアルバイトを頼まれる。
それは、シングルマザーの女・土屋冴子(市川由衣)をストーカーから守ること。
そのストーカーは冴子が一ヶ月ほど前に別れた男、玉木敏郎(品川祐)だった。
秀晃は、冴子と玉木が話し合う喫茶店で、少し離れた席で見守ることに。
ところが、偶然この店を郁巳が訪れる。
話し合いがこじれ、冴子に手を上げた玉木を秀晃が止める。
と、なぜか、郁巳も加勢したことで、大騒ぎになり、警察沙汰になってしまう。
この一件で玉木の想いはさらに募り、次第に狂気じみた行動に駆られることになった。
冴子の息子、隼人を預けている託児所に、玉木が交際当時隠し撮りしたベッドでの冴子の下着姿の画像が次々に送られてきた。
玉木の仕業だった。
さらに玉木は託児所に侵入までしてきた。
玉木は何をしでかすかわからない。
冴子と一緒にいれば隼人の身にも危険が及ぶ。
託児所の勧めもあり、隼人を養護施設に預けることを決意した冴子を、秀晃は送り届けることに。
が、秀晃には免許も車もない。
郁巳がひと肌脱ぐことになった。
いつしか、秀晃と郁巳は互いをマル、リリィと呼び合うようになっていく。
そして、共に冴子を守るため東京へ向かうことになるが――。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
まほろ駅前シリーズみたいにユルい感じのバディ物で、本作は製作に東映ビデオも入ってるんですけど雰囲気も70年代80年代の東映、セントラル・アーツ、村川透って感じで超好きなんですけど、よくよくストーリー考えるとちょっとおかしくないかい?っていう。
まず猫を介して2人が繋がる縁ていうのはいいですよね。
お互いの名前も自分が付けた方の猫の名前で呼ばれるんでバディ感が増します。
ネコは9回生まれ変わるっていうのは『メン・イン・キャット』で知りました。
マルはAiDA警備保障ってトコで普段は交通誘導の警備員のバイトしてるんですけど、警備会社ってことで個人警護の仕事も請け負ってるので、元ボクサーというのを見込まれてストーカーに悩むシングルマザーの警護を任されます。
まず、マルは事情を聴くために冴子が勤めてるクリーニング店に行きます。
一か月前に別れた男がストーカー化してるとのことで、ケリをつけるために喫茶店で話し合いを持つので、少し離れたところから見守ってて欲しいというのが依頼内容でした。
マルはストーカーなら警察も対応してくれるから警察に相談すれば?と言いますが、事情があるようで警察には相談したくないようでした。
話し合いの日、マルがカウンター席から見守ってると、リリィが昼飯を食べにやってきます。
リリィはその店の常連でした。
カウンターに座ると「こないだの!」ってなって、「あっ、マル」「マルじゃねえから」みたいなユルい会話が続き、リリィが「猫がご飯食べないんだけど」なんて相談します。
冴子の方はストーカー男と別れたがっていて子供も暴力振るわれて怖がっていると伝えるんですけど、ストーカー男の玉木は全く聞く耳を持たない感じで、強引に冴子の手を取って連れ出そうとします。
その様子を見ててマルが助けようとするんですが、義憤にかられたリリィが手を出してやり過ぎちゃうと喫茶店のママが警察に通報しちゃって事が大きくなります。
マルは警備会社の上司から電話で怒られて、最後までしっかり対応しろと言われます。
玉木は建設会社で現場監督してるサラリーマンなんですが、喫茶店での出来事に逆ギレすると、ネットの掲示板にリベンジポルノを投稿しだし三鷹ストーカー殺人みたくなってきます。
冴子の子供が通ってる保育園にもリベンジポルノがばら撒かれると、他の親や、子供の教育上の観点からよろしくない、ということで保育園から児童福祉施設に連絡がいき、問題が片付くまで子供を施設に預けることになってしまいます。
マルは玉木が危ないってことと、せめてもの罪滅ぼしで冴子と子供を福祉施設まで送っていくことにしますが、車も持ってなく免許もありません。
元の原因はリリィにもあるのでリリィに車を出させて運転させます。
ちなみに古いセドリックはリリィが勤める整備工場の社長(川瀬陽太)の車です。
無事、福祉施設に子供を預け、冴子に今後のことを尋ねると、やはり警察は介さず、東京にいる柿沢(三浦誠己)というコンサルタントをしてる男なら力になってくれるとのことで東京に行くと言います。
とりあえず3人でリリィの自動車整備工場に戻って解散みたくなりますが、マルは乗り掛かった舟とばかりに東京まで送っていくと言い出し、リリィを巻き込みます。
リリィが長旅になるんで糞してくると言いトイレに行きマルも席を外すと、冴子の居場所を探し当てた玉木がやってきます。
冴子を連れてこうとしてる玉木をマルが見つけると玉木が逃げだします。
マルが逃げる玉木を、糞してる最中のリリィも巻き込んで捕まえて戻ると、冴子がスーツを着た男2人に連れてかれるところでした。
スーツの男たちは警察だと言い、冴子を保護しにきたとのことで、冴子も素直に応じてるようでした。
玉木を拘束したのもちょうどいいということで、玉木も連れてこうとしますが、リリィが2人を同じ車に乗せるのおかしくない?と気づきます。
警察でないのを疑うと、車で体当たりし、スーツの男が持っていた拳銃を奪うと、冴子を乗せて東京へと向かいます。
車は豊橋ナンバーだったので300kmくらいの旅になるのかな?
冴子によると柿沢という男に会えば力になってくれるとのことでしたが、東京時代の関係は全て消去してしまったとのことで連絡先が分からないとのことでした。
何か手掛かりが無いか聞くと、東京で働いてたときの職場の友人だった瑞希が柿沢を紹介してくれたとのことでした。
2人が「その職場は?」って聞くと、六本木のデリヘルでした。
すかさずデリヘル利用慣れしてるリリィがスマホでお店を検索して予約を入れようとすると、既に退店してるとのことでした。
店に聞いても移店先は教えてくれないですし、手掛かりは無くなったかに思われましたが、その子がスカウトを使ってなかったかを冴子に聞くと、使ってたとのことでそこを突破口にすることを思いつくリリィは風俗慣れし過ぎてると思います(笑)
東京に着くと、その店に女の子を紹介してそうなスカウトに、厚労省の役人のフリをして「伝染病にかかってる子を探してる」といって声をかけると移店先が見つかります。
リリィはすかさず予約して待合せます。
その様子をマルと冴子が見ていると、スーツの男たちが現れます。
マルと冴子が逃げると追いかけてくるので、マルがボクシングで相手を伸します。
ちなみにここは池袋で「孤独のグルメ」のシーズン1の3話に出てきた中国家庭料理 楊 2号店の前ですね。
話がそれました。
スーツの男たちを撒いて、リリィと瑞希(柳英里紗)と合流すると久しぶりーってなります。
瑞希の家に行って柿沢と会う手筈を整えてもらうと、冴子の過去が明らかになります。
冴子は六本木のデリヘル時代、柿沢を通して、与党の幹部議員・南雲壮介(高川裕也)の愛人のようになり、美人局的なことをして柿沢に情報を渡してました。
柿沢は冴子に南雲とのベッド写真を撮らせ、それをネタにロビー活動や政治ゴロのようなことをしていました。
目的は達せられたのでベッド写真は公にしませんでしたが、冴子は良心の呵責に耐えられず東京から逃げてきたのでした。
スーツの男たちは南雲の私設SPで、冴子に逃げられた南雲がずっと探してたのでした。
冴子の考えでは、玉木が暴走しリベンジポルノが拡散して冴子の存在を広く知られるのは、柿沢がいい顔しないんじゃないかってことで頼るんですが、この見立てはいまいちよく分かりませんでしたね。
やっぱ、最初に、普通に警察に相談した方がいいじゃんと思ってしまいました。
柿沢に指定されたファミレスに冴子を連れてくと、今回の件で見知ったことの口止め料として500万くらいの厚さの封筒を渡されます。
柿沢はマルと会うにあたり、マルの過去も調べてました。
マルはプロボクサー時代、後援会長の金で派手に遊び倒すとケツをまくって逃げたのでした。
柿沢によるとそのときの後援会長はヤクザの幹部になってて、付き合いがあるとのことでした。
マルとリリィはなんとなく釈然としませんでしたが、冴子が柿沢の元に戻るというので諦めて帰ります。
そうなんですよねぇ、冴子の過去が分かれば分かるほど、柿沢に頼らない方がいいんじゃないかなぁと思うんです。
玉木のストーカー事件は、東京での過去とは全く関係ないので、話をややこしくするだけじゃないかなぁと思って観てます。
すると玉木がどういうわけか、瑞希のマンションを見つけて入ってきます。
もう冴子しか目に入らなく暴走してる玉木は瑞希を殺します。
玉木がなぜ瑞希のマンションが分かったのか、柿沢か南雲がリークしたのか?、そこら辺は宙ぶらりんなんですがただのサラリーマンストーカーだった玉木がターミネーター化してきます。
柿沢はストーカー対策なんかは特にせず、また昔みたいに冴子を南雲の元に送って、ロビー活動を成功させようとしています。
マルとリリィは地元へ帰ろうとしますが、マルの冴子への思いをリリィに見透かされ焚き付けられると、冴子を救うために戻ります。
冴子を救うために戻ったものの居場所が分からないマルは、柿沢と繋がりのある昔の後援会長・羽柴(火野正平)の元を訪れます。
ホルモン焼肉を食ってる羽柴に詫びを入れるもブチ切れられますが、男気を見せたリリィに感心して許されると、柿沢と冴子がいるホテルを教えてもらいます。
南雲が冴子の部屋を訪れる前に現れたマルは柿沢の金で海外で暮らそうと言い、このホテルから逃げる算段をします。
南雲が部屋に入ってきて私設SPを帰すと、部屋に隠れていたマルが出てきて、冴子と逃げようとします。
しかし、南雲は柔道有段者で思わぬ抵抗にあいます。
なんとか南雲を倒して、地下駐車場で待つリリィと合流しようとしますが、リリィがいません。
マルは冴子を車に待機させてリリィを探しにいきます。
リリィは南雲のSPが捕まえていた玉木の姿を見つけると後をつけていました。
SPがリリィに気付くと、その隙に玉木は逃げて南雲の部屋へ向かいます。
マルが倒した南雲を見つけると南雲を刺し殺して冴子を追います。
待機してた冴子はSPに見つかると車で轢きます。
するとそこに玉木が現れ襲われます。
手負いのマルが戻ると玉木と格闘になりますが、弱ってるマルは苦戦します。
リリィが戻ってきてマルがやられてるのを見つけると玉木の頭を撃ち抜いて殺します。
リリィは後部座席にマルと冴子を乗せて車を走らせますが、マルがかなり苦しがってます。
まだ死にたくねぇと叫ぶマルの声にアクセルを一段と踏みしめるリリィでした。
エピローグ
リリィと福祉施設に戻った冴子は子供と再会します。
入院してたマルがアパートの部屋に戻ってくると猫のマル(リリィ)が戻ってきていて映画は終わります。
本作は、なんと言ってもユル~い感じで繋がる主演2人の軽妙なやり取りが面白いです。
降谷建志さんの自然な演技が心地よくて、榊監督と主演2人の生み出すグルーヴ感が気持ちよいのです。
市川由衣さんもよかったですね。
最初は清楚な感じですが、南雲とのシーンでは一転してセクシーで、ファミレスのシーンでも柿沢に指イラマされたりしてヌードは無いですが体張ってました。
市川さんクラスの女優さんでもオーディションで役を得たみたいで凄いなぁと思います。
フィルマークスで感想読んでたら2人の『キッズ・リターン』感とか「めんどくせぇのがドミノ倒しだよ」の北野映画感もありましたね。
東京来て黒スーツたちと追いかけっこになるのが池袋なのも「池袋ウエストゲートパーク」へのオマージュなんですね。
リリィと瑞希が待ち合わせた場所も池袋西口公園だったもんな。
でも、あれですね。
70年代80年代のこういう映画と違って主人公たちが免許持ってないとか、自分の車持ってないとか、等身大の現在の若者が描かれてて話しが広がってく感じが面白かったです。
鑑賞データ
テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2017年 121作品目 累計128300円 1作品単価1060
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