イケメン好き女の末路 ☆3.5点
2002年7月に起きた「和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件」をモデルにした作品で監督は吉田浩太
主演は瀬戸さおり、共演に岡山天音、八木将康、山田真歩、佐々木心音、黒石高大、藤田朋子
予告編
映画データ
本作は2018年1月6日(土)公開で全国2館での公開です。
今のところシネマート新宿と心斎橋だけの上映みたいです。
監督は吉田浩太さん
初めて名前を聞く監督さんで作品も初めて観ました。
監督作でタイトルを知ってるのは『ちょっとかわいいアイアンメイデン』だけですね。
アマゾンプライム会員なら無料で見れるみたいです。
主演は瀬戸さおりさん
こちらも初めて知った方なんですが、瀬戸康史さんの妹さんだそうで初めて知りました。
『昼も夜も』という作品で兄妹で出演されてるみたいです。
映画には3~4作出演されてるようで本作が映画初主演となります。
共演に岡山天音さん
auの森家シリーズのCMでおなじみですが、斎藤さんのスキャンダルでCMは打ち切りになっちゃったのかな?
近作は『麦子さんと』『ディストラクション・ベイビーズ』『セトウツミ』『僕らのごはんは明日で待ってる』『帝一の國』『おじいちゃん、死んじゃったって。』を観てます。
共演に山田真歩さん
近作は『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『ヒメアノ~ル』を観てます。
共演に佐々木心音さん
近作は『TOKYO TRIBE』『最低。』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
原田エミコ: 瀬戸さおり
仁志真之助: 岡山天音
白石アキラ: 八木将康
白石香澄: 山田真歩
原田チヒロ: 佐々木心音
エイジ: 黒石高大
原田正恵: 藤田朋子
あらすじ
出会い系サイトのサクラとして働き始めた若きシングルマザーのエミコ(瀬戸さおり)は、工員の真之助(岡山天音)に目をつけ、金を貢がせることを思いつく。エミコに入れ込んでいた真之助を騙すのは容易く、「私はヤクザの組長の娘。結婚を認めてもらうには組への登録料が必要」などと騙し、大金を毟りとることに成功する。しかし、金は元夫(黒石高大)からの恐喝や生活費に消えてしまい手元には残らない。そんなある日、エミコは、解体作業員のアキラ(八木将康)と出会い一目惚れ。身も心も捧げるが、アキラには重度障害の姉・香澄(山田真歩)がいることを知る。香澄の存在に煩わしさを感じ、いっそ殺してしまいたいと思ったエミコが連絡した先は、真之助であった・・・。
(公式サイトhttp://ainoyamai-movie.com/pc/index.htmlより引用)
ネタバレ感想
この事件のニュースは憶えてるような憶えてないような、あやふやな感じです。
自分は見てないですが、2014年に奇跡体験!アンビリバボーで放送されたようなので、それで事件を知った方も多いようです。
事件の概要をウィキペディアで見ると、映画では若干の変更が加えられています。
参考 和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件 – Wikipedia
映画では元夫が金を恐喝してくるのと、貢ぐことになる男性(映画ではアキラ)との出会い方が違います。
夫であるエイジは、顔はいいが子供が生まれたばかりでもすぐ体を求めてきてパチンコばかりして生活力が無く、愛想を尽かしたエミコは、離婚して生まれたばかりの娘を連れて実家に帰ります。
実家では赤ちゃん可愛さに母の正恵は歓迎してくれますが、実家に寄生する兄夫婦は家賃と食費を入れろと言ってきます。
浮気相手に捨てられ実家に戻ってきた父親は家庭内では最下層という原田家でした。
エミコは求人誌で月収50万円の仕事を見つけ面接に行くと、そこは中国人女性社長が経営してる出会い系サイトでした。
サクラとして男性会員を多くつなぎとめることで収入が上がる仕組みで、「アナタ、綺麗だからいっぱい稼げるよ」と女社長に乗せられると仕事で使う携帯端末のローン契約を結ばされるのでした。
ちなみに実際の事件は2002年なのでまだガラケーの時代だと思いますが、劇中では出たばかりのiPhoneのローン契約も結ぶので2007年頃の設定になってるんだと思います。
サクラの仕事で家賃と食費を入れるエミコを見て、兄夫婦は「いつも家にいるのに?」と不思議がりますが、それより正恵が赤ちゃんを溺愛してるのが気がかりでした。
農家をしてる原田家の遺産をあてにしてる兄夫婦は、エミコや赤ちゃんにも分け前がいってしまうのを危惧したのでした。
サクラの仕事で生活費が賄えてたエミコは、様々なキャラクターを使い分け男性会員を繋ぎ留め、実際に会ったりせずに済んでましたが、ある日元夫のエイジが実家に押しかけてきます。
エイジは「エミコには大層、金を使ったから返してもらわんと」と言うと、正恵とエミコを脅して金を奪っていきます。
その後もちょくちょくエイジが金をせびりに来るようになるとエミコは困窮し、もう少しまとまった金が必要になるのでした。
エミコには以前、熱心な男性会員の真之助という男がいましたが、次第に会って欲しいと言われるようになると面倒臭くなり放置してました。
エミコは久しぶりに真之助に連絡を取ると会ってもいいと告げ、2人は初めて会うことになります。
普段は赤毛でヤンキー風のエミコは、ウィッグを付けて清楚系を演じ真之助を更に虜にすると、度々食事をするようになります。
すると真之助に見知らぬ番号から電話が入ります。
真之助が電話に出ると、掛けてきた者は組の名を名乗り、自分の名は小鉄と言います。
小鉄は真之助がエミコと付き合ってることを切り出すと、エミコの父親はヤクザの組長で自分はその子分だと言い、エミコお嬢さんと結婚を考えてるなら組長に認められなければならないと言い、組に入るように言います。
エミコと結婚したい真之助が二つ返事すると、登録料がかかると言ってお金を振り込むよう指示されます。
真之助は次にエミコに会うと「ヤクザの娘だなんてビックリした。でも認められるように頑張る」と言うのでした。
相変わらず金をせびりに来るエイジに手を焼いたエミコは一計を案じます。
小鉄のフリをして真之助に電話をかけると、ヤクザとして初めての仕事だと言って、組の縄張りを荒らしてるエイジを脅すように指示します。
真之助は公園で恐喝してるエイジに声を掛け「シマを荒らすんじゃねぇ」と言い、街から出ていけと脅すのでした。
エイジは大人しく従うフリをしながら、真之助の後を尾行し家まで行くと、真之助がヤクザでないのを見抜き逆に脅してきて、真之助は毎月一定額支払う羽目になります。
ある日、エミコが外出から帰ってくると、珍しく兄嫁のチヒロが娘とボール遊びしてます。
しかしエミコが物陰から見てるとチヒロはタイミングを計ってるようでボールを投げません。
すると遊び場に面している通りに一台のトラックが走ってきます。
チヒロはそのタイミングで通りの方にボールを投げると、娘が追っていきます。
急停車したトラックの前に回り込むとボールが破裂しただけで、娘は無事でした。
エミコはチヒロを睨みつけてると運転手が大丈夫と言って降りてきます。
運転手は子供が無事なのにホッとして、ボール割れちゃったねと声を掛けると、エミコと娘をトラックに乗せてボールを買いに行ってくれるのでした。
運転手の名前はアキラといい、その優しさとイケメンぶりにすっかり虜になるエミコでした。
それからのエミコは娘を母に預けっぱなしにして、アキラの職場に弁当を届けるなど積極的にアプローチします。
何度目かのデートで体を重ねると、その相性のよさから増々のめり込むエミコでした。
アキラとのデート代はエミコが払っていて、そのお金は真之助から巻き上げたものでした。
真之助にはやっぱりヤクザに向いて無いと言い、脱会料として100万円を要求するなどエスカレートしていきます。
金に困った真之助は、夜、職場に侵入して金を盗んだりします。
エミコはある日、アキラとのデートで結婚したいことを匂わすと、結婚は出来ないと言われ距離を置かれそうになります。
理由はアキラの姉の香澄が難病であるためで、唯一の肉親であるアキラは自分が支えたいと思っていました。
諦めきれないエミコは今までと同じよう足繁く弁当を運び、手術代と言って大金をアキラに渡します。
アキラは香澄にエミコのことを話すと、後日3人で遊ぶことになります。
3人でデートしてるとエミコは香澄に盛んに手術を勧めてきましたが、香澄は手術を受ける気はありませんでした。
デート中に違和感を感じた香澄は、後日、一人でエミコの元を訪れると、手術代を返し、弟に構わないでと言うのでした。
アキラと結婚するためには香澄が邪魔だと考えたエミコは香澄を殺害する計画を立てます。
エミコは真之助と肉体関係を結ぶと、自分の親友がレイプされたと言い、その男に復讐してやりたいと言います。
そしてその男には姉がいるから、姉にも復讐したいと言い、自分は男を殺すから真之助には姉を殺して欲しいと持ち掛けます。
エミコは香澄の忠告を無視してアキラにお弁当を届けに行くと、「こないだお姉さんが1人で来た」と言い、「お姉さんもこれからは自立して生きていくと言っててヘルパーを付けたいと言ってた」と言います。
そしてエミコは「いいヘルパーを知ってるから紹介する」と言うと、真之助をヘルパーに仕立てて香澄の元へ送るのでした。
ヘルパーに扮した真之助は簡単な問診を行うと体のコリ具合を見ると言ってマッサージを始めます。
マッサージが得意な真之助にすっかり安心した香澄は「あとはだいじょうぶ」と言って、アキラを送り出すとアキラはエミコとラブホテルに行きます。
香澄をうつぶせにして肩口辺りをマッサージしていると、真之助の手は一気に首に回り締め上げますが、香澄に抵抗されると紐を使って首を絞めて殺害するのでした。
映画的にはだいたいこの辺で終わって、ホテルを出てアキラと別れたエミコが、悪魔がどうちゃらと書いてある立て看板がある自宅へ帰る道を、物思いにふけながら歩いて終わる、って感じだったと思いますが最後忘れちゃいました。
でも、事件が発覚して、とか、逮捕されて、というところまでは描かれてないです。
「事実は小説より奇なり」と言いますが、この事件はまさにそんな感じです。
女が声色を変えて男を騙すって、そんなバカなと思いますが、映画では真之助だけだったのに対し、実際の事件では真之助、アキラ、香澄にあたる3人もの人物が騙されていたわけですからビックリするんですが、きっとモノマネとかやらせたら向いてる声質だったんだと思うんですよね。
上京してキサラとかに立ってれば、また人生違ったのに…と思いました。
映画では、おそらくモノマネが得意ではないだろう瀬戸さんが演じられてるので、真之助もよくこの声に引っ掛かるなぁと思うのですが、観客の心を代弁してくれるかのように電話を替わったエイジが「あんたヤクザじゃないだろ?一体誰なんだ」と言ってくれるので、やっぱり普通は騙されないよなと思います。
それから、この事件というかこの映画の場合は特に、殺人に向かうベクトルがおかしいよな?と思いました。
事件の詳細を知らずに観たので、てっきり金をせびりにくる元夫のエイジが殺されるのかと思ったら、好きになった人の姉ちゃんを殺すという斜め上の展開でビックリ!
『愛の病』っていうタイトルは確かにピッタリで、イケメン君に愛されたいっていう大脳辺縁系剝き出しの恋愛至上主義ってことはよく分かりました。
香澄が殺されるときにエミコのセックスがクロスカッティングされるのは『ヒメアノ~ル』っぽいと思いました。
この事件の場合は娘を見てくれる母親がいましたけど、わりと大阪2児餓死事件に近いかもと思いました。
この事件も映画になってますよね、まだ未見ですけど。
本作はやっぱり、この事件の肝は女が小鉄という第三者になりすまして3人を騙すところにあると思うので、改変しないでそのままやった方がよかったと思いますね。
声色の部分で演技のハードルは上がると思いますが。
元夫エイジの恐喝や兄夫婦のエピソードも物語がボヤけるので要らなかった気がします。
主演の瀬戸さんはヌードも辞さない演技で立派だったと思いますが、上映時間のわりには濡れ場が多く、そのせいで物語が詰め切れなかった気もして、そんなに濡れ場必要だったかな?とも思いました。
あと、あんまりカメラがよくなかったかなぁ。
なんかフィックスのところでもゆらゆら揺れててあんまり重さを感じませんでしたね。
『僕らのごはんは明日で待ってる』や『ハルチカ』の撮影監督さんなんですけどね。
『全員死刑』とかも実話系のやつは題材は面白いと思うんですけど、なかなか『冷たい熱帯魚』や『凶悪』のレベルにするのは難しいんだなと思いました。
鑑賞データ
シネマート新宿 TCGメンバーズ会員料金 1300円
2018年 9作品目 累計4400円 1作品単価489円
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