月と雷 評価と感想/普通や幸せの定義を求めて彷徨う人々

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行く者と留まる者 ☆3.5点

『八日目の蝉』や『紙の月』の著者・角田光代の2012年に出版された同名小説の映画化で監督は安藤尋
主演に初音映莉子と高良健吾、共演に草刈民代

予告編

映画データ

(シネマトゥデイ)

映画『月と雷』の作品情報:『ノルウェイの森』などの初音映莉子と『横道世之介』などの高良健吾が主演を務め、角田光代の小説を映画化した人間ドラマ。一か所に定住できない母親とその息子、そして彼らと一時的に同居した男の娘である主人公を取り巻く人間模様を映す。メガホンを取るのは、『花芯』の安藤尋監督。
(ぴあ映画生活)
『月と雷』は2017年の映画。『月と雷』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。
本作は2017年10月7日(土)公開で全国で16館での上映です。
順次全国公開され最終的には33館での上映となるようです。

予告編はテアトル新宿行くたびにかかっていたので目にしていました。
原作小説は未読で話の内容も想像つかなく、『モンスター』のシャーリーズ・セロンばりのドすっぴん顔をさらしている草刈民代さんが気になり観に行った次第です。

監督は安藤尋さん
近作は『海を感じる時』『花芯』を観てます。
『海を感じる時』で市川由衣さん、『花芯』で村川絵梨さんを脱がしていて、本作でも初音映莉子さんと、毎回凄いなぁと思います。


主演に初音映莉子さん
名前の印象は強いんですが、作品を見たことないかも。
お顔の感じもすっかり忘れてて、こんな感じだったかなぁと思いました。

主演に高良健吾さん
近作は『ジ、エクストリーム、スキヤキ』『ふきげんな過去』『シン・ゴジラ』『彼女の人生は間違いじゃない

共演に草刈民代さん
先月まで半年間続いた「やすらぎの郷」に出演されていましたね。
映画出演作は『Shall we ダンス?』しか見たことありません。

他に共演と配役は以下の通りです。

泰子: 初音映莉子
智: 高良健吾
佐伯亜里砂: 藤井武美
山信太郎: 黒田大輔
田中一代: 服部真湖
吉村: 市川由衣
泰子の父親: 村上淳
岡本: 木場勝己
直子: 草刈民代

あらすじ

あたしはこれから普通の家庭を築き、まっとうな生活を重ねていく。
結婚を控え、そう考えていた泰子の前に現れた、かつて半年間だけ一緒に暮らした父の愛人の息子、智。20年前、愛人・直子と智が転がり込んできたことで、泰子の家族は壊れたはずだった。根無し草のまま大人になった智は、ふたたび泰子の人生を無邪気にかき回し始める。「邪魔しないであたしの人生」、そう普通の幸せを願っているはずなのに……。
泰子は智とともに自分の母親、異父妹、そして智の母・直子を訪ねて行くことで、平板だった自分の人生が立ちどころに変わって行くのに気づき始める。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

うーむ、何とも捉えどころのない作品です。

映画は冒頭、幼い男の子と女の子が家の中で遊んでるんですが、家の中は散らかり放題でネグレクトされてるのかと思いました。
しかし母親らしき人物はおり、花柄の服を着た女性はタバコの煙をくねらせながら何をするでもなく外の景色を見ています。

ある日、その女性と男の子が出ていってしまい、女の子はひとりぼっちになってしまいます。
女の子が2人を探してると父親がもう2人は戻ってこないと言って迎えにきます。

てっきり、男の子は兄で母に連れられ、女の子は妹で父の方に残され離婚したのかな?と思いましたが違いました。

スーパーのレジ係をしている泰子は出入りの納入業者・山信太郎と結婚する予定ですが、泰子は父を亡くし天涯孤独の身なので太郎の実家はあまりいい顔してません。

そんなある日、泰子が仕事を終えて店を出ると「泰子ちゃん」と声をかけてくる男がいます。
男の名前は智で、泰子が幼い頃、半年だけ一緒に暮らしてた子でした。

智の母親は直子といって、男性の元を渡り歩いて暮らしてる女性で、泰子の父親もそうした男性の一人でした。
泰子は実母の記憶があまりありませんでしたが、直子の出現によって実母がいなくなった記憶はありました。
ただ不思議と智と直子との生活は、何をしても自由で怒られることもなく楽しかった思い出もありました。
そしてそれに比例するように、2人が出ていったときの喪失感も大きく、2人に人生を狂わされたとも思ってました。

やや強引なところがある智は、泰子がどうしてるかと思い会いたくなって訪ねて来たと言います。
直子は渡り歩いた所の住所を手帳につけていて、直子に聞いて来たと言います。
田舎で帰りのバスもなく無下に帰すことも出来ない泰子は、智を一晩で帰すつもりで泊めます。

泰子は夜寝てると、なんとなく智が気になり、別の部屋で寝ている智の布団に入ります。
幼いころ2人でそうしてると落ち着くのでした。
幼いころ2人でよくやったように背中を摩りあってると、そのうちにペッティングに移行し結ばれてしまいます。
結局、智はそのまま居付くことになり奇妙な共同生活が始まります。

智が居付いてから数日、智が泰子の実母を見つけてくれます。
智が人探し番組に応募するとあっさり見つかり感動の御対面となります。
泰子の実母は田中一代というフードコーディネーターでちょっとした有名人で既に再婚してました。
番組が終わり楽屋で泰子が一代に智を紹介します。
直子の息子だと言うとピンときました。
ただ一代が言うには直子に追い出されたわけではなく、その頃には婚姻関係が破綻してたとのことでした。
泰子のことも連れていこうとしたが、泣いて嫌がったので諦めたとのことで、そこに直子たちが入ってきたとのことでした。

翌日、泰子が二日酔いで仕事を休んでいると、心配した太郎が訪ねてきますが、出てきたのは上半身裸の智でした。
太郎は泰子に生き別れたお兄さんとか親戚か?と尋ねますが、きちんと説明するのが面倒くさい泰子は適当に答えます。
すると智に電話がかかってきて、直子が厄介になってた家から居なくなったと連絡があります。
智はとりあえずその家に向かいます。

泰子は番組で会って以来、実母には会ってなく連絡もしてませんでしたが、貰った住所を訪ねます。
実母の家は大きな家で、田中と佐伯の表札が出てました。
その家から若い女の子が出てきて声をかけるのをためらっていると、自転車で行ってしまいます。
泰子は必死にその女の子を追いかけて商店街で声をかけると「泰子さんですね、番組を見てました」と言われます。

公園で話をするとその子は佐伯亜里砂と言って父違いの妹でした。
泰子は家から追いかけていきましたが、商店街で見かけてビビビときて声をかけたと嘘を言います。
偶然の出会いに感動する亜里砂は、本当に一生会えなかったかもしれなかったと言います。
聞けば亜里砂は海外留学するそうでした。
その日は亜里砂に用事があり連絡先を交換して別れます。

智から泰子に電話があり、直子が見つかったとのことでした。
居なくなった男性が住んでる隣町の石材店の男性の岡本という人に拾われていました。
泰子が直子に会いたいと言うと、智と共に石材店に向かいます。

智は直子に会うと、ちゃんと前の家に出た理由を説明しろと言います。
とにかく前の家の男性は心配してるので連絡しろと言いますが、直子が渋るので手紙でもいいからと言って手紙を書かせます。
そんな相変わらずな直子を眺めていると、泰子は吐き気を催します。
岡本の家のトイレを拝借し吐いて出てくると、直子に「あんた妊娠してるんじゃない」と言われます。

泰子が家に戻ると亜里砂が訪ねてきます。
泰子は買ってきた妊娠検査薬の判定を待ってる間に話を聞くと、亜里砂は先日会ったときの態度は失礼だったんじゃないかと思い訪ねてきたとのことでした。
そして海外留学を延期したと言います。実の姉の存在が判明したばかりなのに勿体ないとのことでした。
亜里砂も帰りのバスが無い時間に訪ねて来たので泊めてあげると妊娠検査薬は陽性でした。
体調の悪い泰子が先に休むと、お腹が空いたといって亜里砂が起こしにきます。
台所に行って即席ラーメンの場所を教えますが、お嬢様育ちの亜里砂は自分で料理したことが無いと言います。
ラーメンを作ってあげたい泰子でしたが、つわりが酷くラーメンの匂いがダメだったのでお米を炊くことにすると、亜里砂は米研ぎもしたことが無いということで泰子が教えてあげます。
結局、亜里砂も居付くことになります。

泰子がスーパーの仕事から帰ってくると、亜里砂には作れないはずのカレーの匂いがします。
カレーの匂いに吐きそうになりながら家に入ると、直子が台所でカレーを作ってました。
直子は岡本と行ったカラオケ店での支払いで、財布の中の未記入の婚姻届けを見つけると出ていってしまったのでした。
智から電話があり、また直子が居なくなったと言われると、泰子は「知ってるよ、今、家にいる」と言います。
智もまたやってきて、4人の奇妙な共同生活が始まります。

泰子は妊娠したので結婚を取りやめるかも知れないと智に言います。
智は「どうして?」と聞き返し、事態が分かってないようでした。
泰子は太郎とはそういう行為がなく、智の子だと告げると子供のような智は不安になるばかりでした。
そして智は泰子を訪ねて来た訳を言います。

智はそれまで女性が切れたことがありませんでしたが、どの人とも長くは続きませんでした。
それは智には、生活が無いからで、付き合う女性からは、智は1年間の食事がお菓子でも構わない人でしょ、と言われたとのことでした。
そんな、生活が無い智は、泰子なら受け止めてくれるんじゃないかと思って来たとのことでした。

泰子も直子たちが居なくなってからのことを語ります。
直子たちが居なくなると、また別の女性が住むようになります。
その女性は直子とは違って、家の中の事はきちんとしてた人でしたが、泰子は逆に息が詰まりました。
そしてその女性が病気で亡くなると父はその後は新しい女性を入れませんでした。
その女性が死んで思ったことは、父は家政婦のような女性を求めていただけじゃないかということでした。

別の日、泰子がスーパーの仕事から帰ってくると、智と亜里砂が仲良く台所仕事をしています。
泰子はその姿に嫉妬します。
直子は居間で酒を飲んで縁側で涼んで呑気に過ごしてます。
泰子は直子が点々とする理由を聞きます。
直子は自分が長くそこにとどまっていると、やがて雷が落ちるのが分かると言います。
なのでその雰囲気を察知したら出ていくとのことでしたが、泰子には理解できません。

そして泰子はどうして自分たちを置いて出ていったのかを聞きます。
父に出ていってくれと言われたのか、それともふらりと出ていったのか。

直子は、「お父さんはいい人でいつまでも居ていいと言ってくれたけど、別居してた奥さんが戻ることになり、それでも居ていいと言ってくれたけど、悪いから出て行ったんだと思う」と言います。

泰子はそんなの嘘だと言います。
この親子に自分の人生が狂わされたのでなければ納得いかないようで、怒りは智と亜里砂にも向かいます。
智にはまたふらっと現れて私の生活をかき乱してと怒り、亜里砂には自分だけ裕福な生活をしてと怒ると、3人を家から締め出してしまいます。

泰子は怒り疲れて眠ると朝になります。
締め出すために閉めた雨戸が開いていて智がいます。
智は泰子となら生活が出来るといい2人で子供を育てて暮らそうといいます。

しばらくまた4人で暮らしてましたが、ある日直子がふらりと出て行ってしまいますが、智も探そうとはしません。
亜里砂は留学し、智と二人きりの生活になります。

ある日、智に電話が入ります。
直子が隣町で倒れて亡くなったとのことでした。
智は、また、案外近くに居たんだなと言います。

泰子が臨月に入ったある日の朝、目が覚めると智がいません。
家の中を呼びかけますが返事がありません。
泰子は廊下の窓を開け外を見つめ受け入れたような表情をして映画は終わります。

うーん、最後まで観ててもよく分からなったです。
普通に生きられない人たちの話で、泰子は普通に憧れてて、普通に生きられなかったのは直子たちのせいだと思って、それをある種の糧のようにして生きてきたんですけど、それは決して直子たちのせいでは無くて、自分も普通じゃなかったということに気づく、あるいは受け入れる、っていう話でしょうか。

劇中は度々死んだ父親が出てくるので、父親との関係性みたいのもあると思うんですが、正直よく分からなったですね。

智が現れて妊娠が分かると、泰子は太郎と距離を置くんですけど、泰子の仕事終わりに太郎が現れて、話をしようと強引にカラオケボックスに連れていくんですけど、そこで妊娠のことを聞かされるんですね。
でも太郎は自分の子じゃなくてもいいから、病院に行ってから入籍するか、入籍してから病院に行くかしようと言います。
おまけにそのカラオケボックスで泰子を犯そうとします。
こうしちゃえばどっちの子か分からないと言ってましたが、ここに至って普通に見えてた太郎も、そんなに普通じゃなかったってことですよね?
普通って一体何だろう?って疑問を投げかける作品なのかもしれません。

よかった点はラブシーンですかね。
子供のころやってたことの延長線上でそういう流れになり自然な感じがしました。
恋愛関係が無いのに成立してるという稀有なラブシーンだと思いました。


草刈民代さんのキャラクターも面白かったと思います。
ああいうキャラクターってネグレクトで幼児虐待で描かれることが多いですが、決して怒らないっていう。
男性に寄生していくのも普通なら毒婦になりそうですが、そうはならないっていう不思議なキャラクターです。
劇中「私の風来坊」をカラオケで歌う、あの地元スナックにいそうなファムファタル感、よく出てました。

上映時間120分もあるわりには、母親探しのテレビ番組のくだりは唐突な気がしたのでもう少し説明が欲しかったのと、父親との関係性をもう少し分かりやすく描いて欲しかった気がします。

鑑賞データ

テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2017年 169作品目 累計180600円 1作品単価1069円

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