リアルを追求したら。あっ、察し ☆3点
予告編
映画データ
マーティン・スコセッシ先生が製作総指揮で、『ハイ・ライズ』のベン・ウィートリー監督によるクライムアクションです。
アカデミー主演女優のブリー・ラーソンのアクションって珍しいと思って観て参りました。
ファーストデーなので、何を観ようかなぁと思ったんですけど、本作はまだ全国で13館での上映で、東京23区内では新宿武蔵野館と渋谷TOEIのみ。
仕事終わりのちょうどいい時間に2館ともやってたんですけど、新宿武蔵野館は早々に売り切れてて(ネット予約出来るからだと思います)、ダメ元で渋谷TOEI向かった(ネット予約無いので)んですけど、結果的には3~4割くらいの入りで余裕でした。
なので本作は渋谷TOEIの方が見やすいと思いますよ。
渋谷TOEIは会員制度による割引とか無いので、入ったこと無かったんですが、よくよく思い出すと小さい頃じいちゃんに連れてってもらって、東映ヒーロー戦隊モノとか見たかもしれません。
座席配置は昔ながらの映画館で段差は無くフラットでスクリーンは見上げる形でしたが、座席は新しい物でしたので座り易かったですね。
前後の間隔も広いですし。
東映配給作品(『CUTIE HONEY -TEARS-』とか)ですと、丸の内TOEIと渋谷TOEIでしか上映しない場合があるので、ハードルが高いのですが、もう少し来たい映画館だなと思いました。
シネパレスみたいにメンズデーがあればいいのになぁ。
映画の感想は、「初期のタランティーノ」といった感じでした。
それと終盤、スプリンクラーが作動して雨が降るので石井隆監督作品ぽかったかな?
倉庫にスプリンクラー、光のコントラストはそこまで無かったですけど。
あらすじ
1978年のボストン。銃取引のため、寂れた倉庫に2組のギャングがやってくる。しかし交渉はこじれ、口論の末、壮絶な銃撃戦に発展。クセ者ぞろいの悪党たちが、全員瀕死の発狂状態の中で、罵声を浴びせながら銃を撃ちまくる。最後まで生き残るのは一体……
(ぴあ映画生活より引用)
ネタバレ感想
映画は冒頭、監督からのメッセージコメントが出るっていう珍しい展開で、それによると、映画を作るにあたりFBIの資料を読み漁ったところ、銃による怪我では致命傷(頭貫通するとか)でない限り、人はなかなか死なないらしく、往生際の悪さを描いた映画で、ほぼ倉庫でのワンシチュエーションによる銃撃戦をシリアスな中にもユーモアを交えて描いた作品です。
舞台はボストンと明記されていて、時代設定は明記されてなかったんですが、衣装や車の感じから1970年代かな?と思ったんですが、1978年でした。
2組のギャングの構成は
銃を買う側が、アイルランド系のクリス(キリアン・マーフィ)とフランク(マイケル・スマイリー)のコンビ。
そこに銃を運ぶのに重いからってことで、フランクの義理の弟(妹の旦那)でチンピラのスティーヴォ(サム・ライリー)とその友人バーニー(エンゾ・シレンティ)をバイト的に引き入れます。
あとクリス側の仲介役としてジャスティン(ブリー・ラーソン)がいます。
銃を売る側は、ヴァーノン(シャールト・コプリー)と金庫番のマーティン(バボー・シーセイ)のコンビ。
下っ端的手伝いでハリー(ジャック・レイナー)とゴードン(ノア・テイラー)。
ヴァーノン側の仲介役としてオード(アーミー・ハマー)がいます。
本作では描かれてませんでしたが、銃を買う側がアイリッシュ系のギャングで1970年代のボストンってことは、『ブラック・スキャンダル』のモデルのジェームズ・ホワイティ・バルジャーの手下かもしれませんね。
(と思ったら違っていてIRA支援のための武器の買い付けだったようです。そういえばIRAがなんちゃらとか言ってました。公式サイトのギャングに引っ張られ過ぎた)
取引は最初から不穏な空気が流れてて、まずM16を注文したのに用意されてたのはAR70で、ヴァーノンは同じライフルだからいいだろって言いますがクリスはキレます。
ヴァーノンが、30丁も用意するのは大変なんだと説得すると、クリスも渋々受け入れますが、今度は出どころはどこだと聞く始末。
マーティンが正規品の過剰在庫だと言うとクリスは納得しますが、今度は試射させろと言います。
ヴァーノンは渋々OKしますが、オードが念のため、ヘンなことをしないよう銃を向けると言います。
試射するクリス。
空気読まずにバッカンバッカン撃ってます。
一触即発の雰囲気でしたが、クリスは銃の性能に納得して交渉成立。
金を渡し、マーティンが紙幣計数機で数えて売買成立。
木箱1箱にライフル3丁入れたものを10箱分、車に積んでハリーに待たせていたので呼び入れます。
すると顔色が変わるスティーヴォ。
前夜、バーでハリーともめ事を起こしていたのでした。
スティーヴォはハリーに気づかれないように隠れます。
木箱を下ろしてると、クリスが木箱開けて確認すると言います。
辟易するヴァーノンでしたが、渋々承知して、木箱を開けさせていると、スティーヴォに気付くハリーでした。
ハリーによれば、前夜バーで従妹の17歳をスティーヴォがナンパしたら断られたらしく、その腹いせに従妹が暴行されたとのことでした。
以前から女関係にだらしないスティーヴォに怒っていた義兄のフランクは謝らせますが、スティーヴォは素直に謝ったと思ったら、従妹やハリーを侮蔑する言葉を並べます。
これに怒ったハリーが拳銃を抜いてスティーヴォの肩口を撃ったことから銃撃戦が始まります。
延々60分くらい?やってたでしょうか。
途中、誰かが手引きした、どちらの敵か味方かも分からないスナイパーが2人登場して、12人でのバトルとなります。
もうこの辺は、モデルガンじゃない実弾のサバイバルゲームです。
そして冒頭の監督メッセージ通り致命傷に至らないので、みんな肩庇ったり、足引きずりながら、匍匐前進したり柱に隠れたりします。
ただそんな中でも金は欲しいからトランクを手に入れようとする中で笑いが起きたりもします。
銃撃戦の撮影にあたっては、位置関係を含めリアルさを追求するために「マインクラフト」で緻密なシミュレーションをしたようです。
ただですねぇ、上記の記事にもあるように、監督の「映画で見る銃撃戦とこんなに違うのか」という着眼点はいいと思うのですが、逆に言えばそれを映画でやらないのは画にならない、つまらないからだと思うんですよねぇ。
正直、60分の銃撃戦だけでは飽きてしまって、ところどころウィットに富んだ会話もあるんですが、タランティーノほどでは無いですし、伏線になる設定も、最初にクリスが聞いた、ここは何の倉庫だったんだ?に対するスプリンクラーとアレですし、そういう脚本の巧みさみたいのは弱いかなと思いました。
銃撃戦といえば、マイケル・マン監督、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ主演『ヒート』も結構長かったと思ったんですけど、調べたら6~7分でしたか。
映画館で観た当時は、30分くらいな気がしましたが案外短かった(笑)
ベン・ウィートリー監督は『ハイ・ライズ』を監督されてたので、デヴィッド・クローネンバーグ監督みたいなインテリな雰囲気を想像していましたが、写真見る限りオタク気質な感じっぽいんで、この着眼点はなるほどなと思いました。
ブリー・ラーソンが出てる映画は何気に観てるなぁ。
近年で一番観てる女優さんかもしれません。
ただブリー・ラーソンが拳銃持ってる画は珍しかったですけど、あんまり役には合ってないかなぁ。
上手いからこなしちゃうんですけどね。
個人的にはもっと両サイドとも魅惑するファムファタール的な女性、例えばヘイリー・ベネット(←大好きなだけ)とかだったらよかったかなぁと思います。
うーむ、取り立ててつまらなくは無いですけど、カタルシスも無いので取り立てて面白い訳でもありません。
銃で撃たれてもなかなか死なないリアルというのを見せたかった映画で、それ以上でもそれ以下でも無い気がします。
ただ、死なない代わりに相当痛いでしょうが、その痛みは伝わってこなかったので、そこはリアルで無い分、気楽に観れるかなぁと思います。
鑑賞データ
渋谷TOEI ファーストデー 1100円
2017年 67作品目 累計68000円 1作品単価1015円
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