騎馬無双はフィクションということで ☆3.5点
2009年に作家ダグ・スタントンが刊行したノンフィクション「ホース・ソルジャーズ 米特殊騎馬隊、アフガンの死闘」の映画化。
製作はジェリー・ブラッカイマー、監督はニコライ・フールシー、主演はクリス・ヘムズワース
予告編
映画データ
本作は2018年5月4日(金)公開で、全国194館での公開です。
劇場では、トム・ペティの「I Won’t Back Down」のカバー曲が流れる特報はよく目にしました。
2014年に公開された『ローン・サバイバー』チックな映画かな?と思って観に行きました。
監督はニコライ・フールシー
デンマーク出身の監督で本作が長編映画初監督作です。
これまでにCM制作を多く手掛け、フォトジャーナリストとしてコソボ紛争を取材した経験などもあるようです。
主演はクリス・ヘムズワース
近作は『キャビン』『ラッシュ/プライドと友情』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『ゴーストバスターズ(2016)』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観てます。
共演にマイケル・シャノン
近作は『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』『ノクターナル・アニマルズ』『シェイプ・オブ・ウォーター』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ミッチ・ネルソン大尉: クリス・ヘムズワース
ハル・スペンサー中尉: マイケル・シャノン
サム・ディラー: マイケル・ペーニャ
ドスタム将軍: ナヴィド・ネガーバン
ベン・マイロ: トレヴァンテ・ローズ
ショーン・コファーズ: ジェフ・スタルツ
バーン・マイケルズ: サッド・ラッキンビル
バワース中佐: ロブ・リグル
マルホランド大佐: ウィリアム・フィクナー
ジーン・ネルソン: エルサ・パタキ
あらすじ
2001年9月11日のその翌日、ミッチ・ネルソン大尉は、最も危険な対テロ戦争の最前線部隊に志願し、特殊作戦の隊長に任命される。わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍と手を結び、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧するのだ。だが、現地に着いた彼らに、次々と予期せぬ危機が襲いかかる。敵の数はまさかの5万人、しかも彼らは米兵の命に高額の懸賞金をかけていた。さらに、将軍から険しい山岳地帯で勝利を収めるための最大の武器は、ほとんどの隊員が1度も乗ったことのない“馬”だと言い渡される──。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
想像通り『ローン・サバイバー』チックな映画でした。
マイケル・シャノンはヘルニアになったり、自爆に巻き込まれて瀕死状態になったりしてあんまり活躍しなかったかな?冒頭でデスクワークすることになってたクリス・ヘムズワースを現場に戻すのに尽力したくらいな気がします。
映画は普通に観てても細かいところで分からないところがあったので、色んなサイトのあらすじを参考にして書きます。
主人公のミッチ・ネルソン大尉は希望してた内勤が通り、「今年は家族でクリスマスが過ごせる」と喜びながら、引っ越してきたばかりの新居を片付けていたところ、ニュースで9.11テロの映像を見ます。
すぐに基地に駆け付け現場復帰を願い出ますがバワーズ中佐に却下されます。
ミッチたち12人は元々グリーンベレーの隊員で、対アフガンを想定してウズベキスタンのK2基地(カルシ・ハナバード空軍基地)で2年間訓練していて、アフガニスタンの専門家という自負がありました。
ハル・スペンサー中尉以下は、ネルソンと違ってまだ隊に所属が残っていたこともあって、ネルソンに指揮してもらいたいことをバワーズ中佐に直訴するとネルソンの現場復帰が叶い、K2基地に飛びます。
K2基地に着くとマルホランド大佐より、北部同盟のドスタム将軍を支援して6週間でタリバンの拠点マザーリシャリーフを制圧する作戦が立てられます。
しかしアフガンを熟知してるネルソンは11月下旬になると雪で身動きが取れなくなるため「3週間で」と言って出撃します。
ネルソンたち12人の部隊はODA595と名付けられます。
通称アラモ砦と呼ばれるところで200人の兵を率いるドスタム将軍と合流したネルソンたちですが、山岳地帯では馬が武器になると言われ馬に乗って移動することになります。
しかし12人の隊員に対して6頭の馬しか用意されてなかったので、ネルソンは隊を2つに分けます。
1つはネルソンを長とする6人と、もう1つはスペンサーを長とする6人に分け、ネルソンたちが出発します。
ネルソンは出発して暫くすると、米軍をお客さん扱いするドスタム将軍がどうも気になります。
ドスタム将軍は事あるごとに「人を撃ったことがあるか?」と聞いてきて、実戦経験が無いことを軽視してるようでした。
牧場で育ったネルソン以外は馬に不慣れな隊員たちばかりなので、山道から落ちそうになりながらも、最初のタリバンの拠点と思われる場所に到着します。
目の前にはかなりの数の兵がいますが、ここまででドスタム将軍と信頼関係を結べてなかったネルソンは、目の前の拠点がタリバンのものと確信が持てません。
というのも北部同盟も1枚岩ではなく互いのグループで手柄を争ってるところがあるからでした。
ドスタム将軍に「本当にタリバンなのか?」と聞くネルソンに、ドスタム将軍は半ばキレ気味に「どうすりゃいい?」と返すと、なんと無線を手にしてタリバンの司令官に呼びかけます。
「ラザンか?米軍がタリバンか聞いてる?タリバンと言えば攻撃をしかけられる」
ドスタム将軍の行動に驚くネルソンでしたが、ドスタム将軍にとってタリバンの司令官ラザンは家族を殺された宿敵でした。
タリバンと確信したネルソンは空爆を指示します。
『ローン・サバイバー』の4人対200人よりありえない、12人対5万人なんですけど基本、空爆での攻撃です。
地上部隊は正確な座標を指示する感じです。
空爆が開始されるとドスタム将軍の隊は突撃していきますが、座標が少しずれててタリバンの反撃に遭います。
ネルソンは将軍を救うべく敵に近づいてさらに精確な座標を指示すると、最初の拠点を制圧しネルソン将軍からも信頼されるようになります。
ネルソンが米軍をお客さん扱いしていたのは、米軍に死者が出ると有志連合が手を引いてしまうと考えていたからでした。
またタリバンが米兵1人当たり10万ドルの懸賞金をかけてることもあります。
しかし、そんなことは知らないアラモ砦に残ってるベン・マイロ隊員は、小便をしようとしても付いてくるドスタム将軍の部下の少年兵に辟易しますが、これも自分たちを必死に守ろうとしてるのを知ると絆が生まれるのでした。
ネルソンたちは順調に進軍すると、ドスタム将軍が家族を殺された村を制圧します。
しかし制圧を確認しようと村に入ったとき、隠れていた残党が反撃をしてきて、ネルソンたちは初めて接近戦を経験します。
残党がロケットランチャーを持っていたことから、味方への近距離制限を解除して空爆を指示し残党も壊滅させます。
山間部を抜けたネルソンたちはスペンサーたちと合流しますが、スペンサーはヘルニアが悪化してて辛そうです。
マザーリシャリーフ制圧の可能性が見えてきたネルソンたちでしたが、マルホランド大佐からネルソンたちよりマザーリシャリーフに近い別の隊が北部同盟のアッタ・ムハンマドを支援して進軍していることを聞かされます。
アッタと仲が悪いドスタム将軍の暴走を危惧したネルソンは将軍の説得に当たりますが、将軍は一部の騎馬兵士を残して戦闘を降りてしまいます。
仕方が無いのでネルソンはマザーリシャリーフへの最後の補給路であるターンギー峠を残された兵力だけで攻略することにします。
ネルソンは隊を3班に分け、挟み撃ちの攻撃を仕掛けることにしますが、スペンサーの班が投降したと見せかけたタリバン兵の自爆攻撃により負傷してしまいます。
スペンサーは瀕死の重傷に陥り、ベンは救助ヘリコプターを要請します。
ターンギー峠に迫っていたネルソンたちでしたが、タリバンには40連発式の自走多連装ロケット砲BM-21があり猛攻を受けます。
BM-21はロケット砲を撃ち尽くすと装填に2分掛かり、その間がチャンスだとネルソンは言いますが、生きて帰れないかもしれないとも言います。
するとネルソンの覚悟を悟ったかのようにドスタム将軍の騎馬隊が戻ってきます。
BM-21がロケット砲を撃ち尽くしたタイミングでネルソンたちが突撃するとドスタム将軍たちもそれに続き、現代(2001年)の戦場に騎馬隊が蘇り、武田信玄の騎馬戦みたいなクライマックスになります。
装填に手間取るBM-21をネルソンが押さえると、戦況が不利と見たラザンが車で逃げだします。
しかし泥道で車がスタックすると、馬に乗って追って来たドスタム将軍に追いつかれ、ラザンは射殺されます。
ターンギー峠を制圧したネルソンは要請した救助ヘリを着陸させると、スペンサーを急いで収容させ見送ります。
ネルソンはほっとしたのも束の間、辺りを見回すとドスタム将軍がいませんでした。
「マザーリシャリーフへ向かって北部同盟のアッタと鉢合わせしたら!」と考えたネルソンは急いで将軍を追います。
しかし、ネルソンが着くと先にマザーリシャリーフを制圧していたアッタとドスタム将軍は握手していました。
ドスタム将軍は駆け付けたネルソンに、今日はアッタにマザーリシャリーフを譲り、明日は自分がと言い、アメリカともいつ敵になるか分からないと言いますが、ネルソンとドスタム将軍の友情は続き、ドスタム将軍は2014年にアフガニスタンの第一副大統領となるのでした。
ネルソンは作戦通り3週間以内でマザーリシャリーフを制圧しクリスマスを家族で過ごします。
スペンサーも一命を取り留めて、最後、実際の12人の写真が映ります。
ラストはグランド・ゼロにある「馬に跨る特殊作戦部隊」の銅像が紹介されて映画は終わります。
9.11の報復として2001年10月7日から始まったタリバンへの攻撃は「不朽の自由作戦」というらしいんですが、開戦にあたってコリン・パウエルは地上部隊に圧倒的数量を投入することを主張し、ドナルド・ラムズフェルドは少数精鋭の地上部隊と空爆を主張したらしいんですが、結果として本作で描かれてるようにラムズフェルドの作戦が採用され、攻撃は空爆が中心となります。
なので映画として戦闘シーンの迫力は『プライベート・ライアン』や『ハクソー・リッジ』に比べるとかなり劣ります。
また、クライマックスの騎馬隊の突撃は、シーンとしては迫力がありますが、ネルソンたちの馬にあまりにも弾が当たらないので、ここは誇張されて描かれてるんだと思います。
タリバンの司令官ラザンが、村で8歳以上の女児に教育させてた母親を銃殺するシーンや、ラザンとドスタム将軍の対立関係を単純にして見せてることなどと併せて、あくまでエンターテインメント作品として仕上げているんだと思います。
本作はつまらない訳じゃないですが、特別に面白いという訳でもなくて、史実として「こういうことがあった!」ということを知るくらいの映画じゃないかと思います。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日比谷 シネマイレージデイ 1400円
2018年 82作品目 累計74000円 1作品単価902円
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