CBSドキュメント+再現ドラマの趣 ☆4点
監督ピーター・バーグ×主演マーク・ウォールバーグのコンビが放つ『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』に続く実録モノの第三弾で2013年4月に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件を描いた作品。
予告編
映画データ
本作は2017年6月9日(金)公開で全国で200館くらいの公開規模です。
映画館での予告編はそんなに見かけ無かった気がするんですけど、この監督と主演のコンビなので楽しみにしてました。
アメリカでは2017年1月に公開されて、興収3千万ドルくらいしかいかなかったみたいで、ローンサバイバーの1億4千万ドル、バーニングオーシャンの6千万ドルと段々と尻すぼみになっちゃいました。
監督はピーター・バーグ
監督作はこのコンビの2本しか見たことありません。
主演はマーク・ウォールバーグ
昔は『テッド』を地でいくようなめちゃめちゃ悪かった人みたいなんですけど、その反動で真面目なのやりたくなるんですかね。
『エイミー、エイミー、エイミー』ではネタにされてました。
共演にケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J・K・シモンズとなかなか豪華です。
あらすじ
2013年4月15日。
殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)は朝からボストンマラソンの警備に駆り出されていた。
オリンピックの次に歴史の古いこのマラソン大会は、毎年祝日である“愛国者の日(パトリオットデイ)”に開催され、117回目を迎えるこの日も50万人の観衆で賑わっていた。
次々と走者がゴールインする最中、トミーの背後で突如大爆発が起こる。
歓声は悲鳴に変わり、逃げ惑う人々と折り重なって倒れる負傷者で現場はパニックとなった。
到着したFBIのリック(ケヴィン・ベーコン)は現場に散乱した金属片を見ると「これはテロだ」と断言。
テロだとFBIに管轄が移る。
犯人逮捕に燃えるトミーは歯ぎしりをするが、病院を回って負傷者たちの話を丁寧に聞いてまわるのだった。
やがて監視カメラに映る不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”が容疑者として浮上し、事件はアメリカ全土を揺るがす緊迫の事態へと発展していくのだった……。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
映画は冒頭すぐにはマーク・ウォールバーグが出てこないで、あるカップルだったり、中国系の人だったり、若い警察官だったり、J・K・シモンズ演じる警察官だったりの前の日の晩の様子がさらっと描かれます。
これが何で描かれてるのかいうと、話が進んでくうちに分かるんですが、事件の被害者だったり、関係者だったりするんですね。
これらの人の前の晩の様子が描かれたあと、マーク・ウォールバーグ演じるトミーの前の晩の様子が描かれます。
トミーは理由は分からないですが、本来は殺人課の刑事なんですが、今は制服警官がやるようなことをやらせられてます。
あと、膝を故障してます。
ボストン警察警視総監のエド・デイヴィス(ジョン・グッドマン)にも「早く(殺人課に)戻してくださいよ」とか言ってます。
翌朝、マラソンのスタートは9時半くらいからなんですが、3時間前くらいから配置につきます。
トミーはゴール付近の担当でした。
エリートランナーたちは2時間10分くらいでゴールして、トミーの警察の署長も走ってたりしてて3時間半くらいで完走してます。
一般ランナーも続々ゴールしているスタートから約5時間後の14時45分頃ゴール付近で爆発が起こります。
トミーは何が起こったか分からない状態で爆発のあった方に行こうとすると、別のところでまた爆発が起きます。
現場は地獄絵図で怪我をして倒れてる人や、沿道から逃げようとしてる人でごった返してます。
爆発があったことを知らないランナーもゴールに向かってくるので、レースは中止だと叫びます。
トミーは無線で指示し、救急車が通れるように6ブロック封鎖します。
とにかく全力で怪我人の救出にあたります。
爆発から47分後、別のところに向かっていた警視総監のエドが引き返して戻ってきて現場に着きます。
2時間後にはFBIのリック・デローリエ特別捜査官(ケヴィン・ベーコン)のチームが到着します。
テロだと捜査の指揮はFBIに移るんですが、警察はテロだっていうんですが、FBIはまだ分からないと言って慎重です。
リックが爆発物に仕込まれたと思われる金属片を見つけると、テロだと判断し指揮権がFBIに移ります。
このあともそうなんですけど、わりと慎重なFBIに対し感情的な警察と、縦割り行政な感じが描かれます。
FBIに指揮が移ると、捜査本部が必要ってことで、それもなるべく広い所ということで、倉庫みたいな所が選ばれます。
そこに机や椅子やパソコンやコピー機がダーッと持ち込まれ、爆発があった区域の現場も再現されます。
具体的には現場で落ちてたものを同じように配置し、捜査の手掛かりにします。
トミーは地元で起きた悲惨な事件がFBIの指揮に移ってしまって歯がゆい思いをしてます。
捜査のベクトルがズレてると感じたトミーは、病院で手当てを受けてる被害者の証言を聞いた方がいいんじゃないかとリックに進言します。
リックはそれを聞き入れ事情聴取を警察に任せます。
トミーが病院で被害者たちに怪しい人物を見なかったか聞いてると、爆発の怪我で足を切断した女性の父親に会います。
女性がまだ眠っていたのでトミーが遠慮すると、父親が聞いてくれと言います。
お嬢さんが何か言ってなかった聞くと、犯人のことは分からないが、一緒にいた恋人の安否が分からなくて、確認してほしいと頼まれます。
冒頭に出てきたカップルでした。
その間に、FBIは防犯カメラの映像を解析してます。
また一般市民からの映像提供も呼びかけます。
沿道にいた多くの観客の携帯やスマホのカメラにマラソンの映像が収めらてるはずで、そこからの映像も解析しようという訳です。
しばらくすると映像解析している担当者が白い帽子を被った一人の不審人物に気がつきます。
その人物は爆発が起きた際、他の沿道の観客は皆、爆発した方を向いてるのに、その人物だけは反対側へ歩き出そうとしているのでした。
現場の地理に詳しいということでトミーはリックに呼び出されると不審人物の映像を見せられます。
映像に写ってる時点から逆算して容疑者がどのルートを通って歩いてきたかをトミーに推測してもらって、その場所の防犯カメラを確認すると容疑者が写っていました。
最終的に容疑者は白い帽子を被った男と黒い帽子にサングラスの男と判明します。
映像は犯人を知っている人間が見れば一目で分かる解像度でしたが、顔認識で身元判明させるには不鮮明でした。
警察は映像を発表すれば市民が探してくれると言いますが、FBIは慎重で先延ばしにします。
新聞では容疑者としてサウジアラビア人が浮上と報じられ、トミーが自宅に帰ると心配して集まってきた知人からアルカイダなのかと聞かれ、不安が勝手な憶測を呼んでるのが描かれます。
事件から3日経った4月18日。
容疑者の映像がテレビのニュース番組で流れることがリックの耳に入ってきます。
捜査関係者が漏らしたのでしょう。
覚悟を決めたリックはニュース番組より早く映像を発表して市民からの情報提供を募ります。
映像が流れた犯人は逃走を企てます。
まず拳銃を手に入れるためにマサチューセッツ工科大学の警備をしてる警官をパトカー内で殺害します。
冒頭に出てきた若い警察官でした。
次に犯人たちは住宅街の路肩に車を停めていた中国系の青年を人質に取って車を奪います。
車は黒のベンツのSUVで冒頭に出てきた中国系の人でした。
犯人は乗ってきた車から荷物を積み替えるとニューヨークを目指します。
犯人たちは自分達がボストンマラソンのテロの犯人で、MITでも警察官を殺してきたことを話します。
ニューヨークではタイムズスクエアに爆弾を置こうとしていました。
犯人たちはキャッシュカードの暗証番号を聞き出すとATMで金を下ろしニューヨークに向かいます。
途中でガソリンスタンドに寄ると白い帽子の方が買い出しに、黒い帽子の方は運転席でルート検索をしています。
助手席に座っていた青年はそのすきに逃げ出しガソリンスタンドで助けを求めると、犯人を追っていたトミーが駆けつけます。
興奮気味に話す青年の話を聞き、君は勇気があると褒め称えるトミーに、青年は盗まれた車にはGPSが付いてると言い、GPSのコードを言います。
GPSを探索するとマサチューセッツ州のウォータータウン地区を車が走っています。
冒頭のJ・K・シモンズ演じるジェフ・ピュジリーズはウォータータウン警察の巡査部長でした。
ウォータータウン警察のパトカーが犯人たちの乗った車を発見すると激しい銃撃戦になります。
犯人は銃にとどまらず、小型の爆弾も使ってきました。
ジェフも遅れて現場に着くと、裏に回り黒い帽子の男の脚を撃ち抜きます。
銃撃が止み、黒い帽子の男を逮捕しようとすると、逃走を図ろうする白い帽子の男が運転する車が、地面に倒れている黒い帽子の男を乗り上げて逃走します。
車は封鎖してるパトカーに激突して突破すると、夜の闇に消えてしまうのでした。
犯人の乗った車はほどなく見つかりますが、人影はなく徒歩で逃げたようでした。
ボストン警察とFBIはウォータータウン地区一帯に屋内退避命令を出し、住民たちに家から出ないよう呼びかけるとともに、一軒一軒回ってローラー作戦を展開します。
その日の夕方になって、ある老夫婦の家の前をトミーが通ると、その家の主人が庭先に出ています。
危険なので家に戻るように言うと、庭先に停めてあるボートの様子がおかしいと言います。
誰かが入った形跡があると。
トミーが様子を伺うと、確かに船には血が付いていて誰かが入った様子がありました。
トミーが様子を伺っていると、奥さんから通報を受けた警察も到着し、辺りをぐるっと警察が取り囲みます。
ボートの中の状態が分からないので警察の膠着状態が続くとFBIのSWATチームが到着し警察と交代となります。
この辺も縦割り行政っぽいです。
ボートの中で不審な動きがあったので、一斉射撃すると犯人が腕を上げて投降してきたので逮捕しますが、犯人は結果的にもう武器は持ってませんでした。
エピローグでは4月20日から再開されたボストンレッドソックスの試合での追悼セレモニーの実際の映像が流れ、映画に登場した実際の関係者のインタビューが流れて終わります。
ちなみに日本では未公開ですが、アメリカでは本作の2か月ほど前にドキュメンタリー映画がやってたようですね。
本作はCBSフィルムズの制作だったので、CBSドキュメント+再現フィルムの趣が強かったです。
お金をかけたアンビリバボーみたいな感じです。
実際、CBSの「60ミニッツ」に出演したエド・デイヴィスの視点から描かれたようで、そこからの映画のようですね。
この事件はもちろん最近なので知ってますが、事件のこと調べると、すぐ捏造とか出てくるんであまり興味無かったんですよね。
なので犯人逮捕時に銃撃戦があったとか知りませんでした。
ピーター・バーグ監督の演出は前2作に比べると抑え目で、まあ事件の性質が違うからですが、個人的にはバーニングオーシャン>ローンサバイバー>パトリオットデイという感じですかね。
やっぱり、最近起きたばかりの事件ですし、被害に遭われた方も多いので、情緒的な演出だったなぁと思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズスカラ座 シネマイレージデイ 1400円
2017年 96作品目 累計102400円 1作品単価1067円
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