ダンケルクとセットで観ると感動も倍増 ☆5点
第61代イギリス首相ウィンストン・チャーチルの1940年5月9日の就任前日から6月4日の下院演説までを描いた作品で監督はジョー・ライト
主演のゲイリー・オールドマンは本作で第90回アカデミー主演男優賞を受賞、共演にクリスティン・スコット・トーマス
予告編
映画データ
本作は2018年3月30日(金)公開で、全国63館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には112館での公開となるようです。
予告編はシャンテでよく目にしていました。
辻一弘さんのアカデミー受賞もめでたいですね。
監督はジョー・ライト
『プライドと偏見』とかが有名ですけど作品は見たことないです。
監督作では『ハンナ』とか面白そう。
主演はゲイリー・オールドマン
えっ、1958年3月21日生まれで、もう還暦ですか。
意外でした。
近作は『チャイルド44 森に消えた子供たち』を観てます。
共演にクリスティン・スコット・トーマス
近作は『オンリー・ゴッド』を観てます。
共演にリリー・ジェームズ
近作は『二ツ星の料理人』『ベイビー・ドライバー』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ウィンストン・チャーチル: ゲイリー・オールドマン
クレメンティーン・チャーチル: クリスティン・スコット・トーマス
エリザベス・レイトン: リリー・ジェームズ
ハリファックス子爵: スティーヴン・ディレイン
ネヴィル・チェンバレン: ロナルド・ピックアップ
国王ジョージ6世: ベン・メンデルソーン
あらすじ
1940年5月、第二次世界大戦初期。ヒトラー率いるナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。 内閣不信任決議が出されたチェンバレン首相の後任として、外相のハリファックスが最適任者だという声があがるが、本人はこれを固辞。そこで、国民からの人気は高いが、たび重なる失策から政党内の “嫌われ者”であったウィンストン・チャーチルに白羽の矢が立つ。 朝から酒をたしなむ変わり者の夫を叱咤激励する妻クレメンティーンや、気難しくもウィットとユーモアに富んだチャーチルの言葉をタイピングする秘書エリザベスのサポートを受けながら、国難に陥ったイギリスの新首相に就任したチャーチルは、ドイツとの和平交渉をすすめるチェンバレンとハリファックスらに陰口を叩かれながらも、「決して屈しない」と徹底抗戦を誓う。
そんななか、ドイツ軍に追い込まれた英国軍は、フランス・ダンケルクの海岸まで撤退し孤立状態となっていた。30万人もの兵士が包囲され、救出するすべがない。ならば彼ら兵士を救うべく船をダンケルクへ向かわせるのだ、大型船はもちろん、ボートや小型船など民間の船もすべて召集して 。こうしてダイナモ作戦が実行された。
日に日にナチス・ドイツの勢いは増す一方で、英国にも上陸の危機が迫る。ヒトラーに屈するのか、それとも戦うのか。ヨーロッパのみならず世界の運命がチャーチルの手に委ねられた。日々悩み、葛藤するチャーチル。そんな彼の姿に、就任当初はチャーチルに対して懐疑的だった英国王ジョージ6世も心を開き、二人は絆を育む。
そしてついに、チャーチルは歴史的決断を下す 。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
ああ、『ダンケルク』で好きだった予告編は、チャーチルの演説からだったんですね。
「ネバーサレンダー」のフレーズは以前から聞いたことありましたが、誰が言ってたのか意識したことが無くて、今回初めて知りました。
『ダンケルク』も本作も、あの名演説を最後にもってくるんで、やっぱり感動しますよね。
チャーチルが演説が上手い人だとは知らなかったんですが、本作はそんな演説作成の裏側にもスポットを当てていて、原題は「DARKEST HOUR」ですが、暗い重いばっかりじゃなくて、タイピスト兼秘書のエリザベスとのやり取りなんかも面白く描かれています。
冒頭からクセのある人物として描かれるチャーチル。
チャーチルが口にする言葉をタイピストが打ち込まなければならないんですが、まず言葉が聞き取り辛くタイピスト泣かせです。
そして行と行の間を空けなければいけない。
秘書が出来ないと怒鳴り散らします。
怖い人物として描かれます。
でも、そんなチャーチルですが、奥さんのクレメンティーンには頭が上がらないんですね。
奥さんはチャーチルを叱り、おだて、励まし、ものの見事に操縦します。
この辺の奥さんとのやりとりなんかは『ヒッチコック』に近いなぁと思いました。
そして怖いと感じるのは秘書だけではなくて、時の英国王ジョージ6世もチャーチルを怖いと思っています。
『英国王のスピーチ』でお馴染みのジョージ6世
この作品では1939年9月3日のドイツへの宣戦布告での、国民に向けたラジオ演説までが描かれてるんで、前日譚として本作と併せて見るとより理解が深まるんじゃないかと思います。
戦時内閣として発足した第1次チャーチル内閣は、政敵にも関わらず前首相のチェンバレンと外相のハリファックスを内閣に残しますが、そのことが却ってチャーチルに迷いを生じさせます。
チャーチルの人気に抗えず首相にしたものの、早々に失脚させたい2人はイタリアのムッソリーニを介して、ヒトラーとの和平条約締結を画策します。
また、ハリファックスがジョージ6世の信頼を得ていたのに対し、就任したばかりで国王との関係がギクシャクしていたチャーチルには後ろ盾がありませんでした。
しかし率直な物言いをするチャーチルは国王からカナダに逃げるべきかと相談されると、国王が最善と思う策を指示すると言い、2人の距離が縮まっていきます。
連戦連勝のナチスドイツに対して打つ手がないチャーチルは弱気になりますが、チャーチルの部屋を訪れた国王の「街の声を聞くといい」というアドバイスで、それまでにバスも乗ったことが無かったチャーチルが地下鉄に乗ると、市民たちの「決して屈しない」の言葉に勇気をもらいます。
民間船舶を総動員してのダンケルク撤退戦も、当初から成功の見込みは低かったですが、30万人を救うためにカレーの部隊4千人を犠牲にするという非情に徹すると奇跡的な成功に導きます。
国王の後ろ盾と国民の声に後押しされたチャーチルからは迷いが消え、1940年6月4日庶民院(下院)での名演説を生むことになります。
ちなみに2009年のテレビ映画「チャーチル 第二次大戦の嵐」(原題:Into the Storm)でブレンダン・グリーソンが演じたチャーチルはこんな感じです。
本作で描かれるのはここまでで、就任から約1か月間の揺れる気持ちと決断するまでが描かれます。
作品の感じとしては2015年に公開された『日本のいちばん長い日』と似ていて、終戦内閣として組閣された鈴木貫太郎の就任から玉音放送までを描く感じと似ていたと思います。
鈴木貫太郎とチャーチル、昭和天皇とジョージ6世、組み合わせ的にも似ていますよね。
本作の見どころは何と言ってもゲイリー・オールドマンの演技ですね。
アカデミー賞を受賞したメーキャップも凄いですが、しっかりゲイリー・オールドマンも残っていて、そのバランスがちょうどいいと思いました。
125分の上映時間ですが、長いと感じることはなく、ゲイリー・オールドマンの演技に釘付けでした。
ただ残念なことに2列前の左斜め前にいた人が、上映中に頻繁にスマホを点灯させるんですよね。
右側の方の席に座ってたのでスクリーンを見るとどうしても目に入ってしまって、気になって細かい部分のストーリーが頭に入ってきませんでした。
こういう人ってエンドロール中に帰ってしまうことが多いのですが、この人はエンドロールが終わってもいたので注意しましたが、50代後半のダブルのスーツにごつい時計をした会社員でした。
会社だったら役員クラスにも見えましたけど、上映前にあれほど注意喚起がされてるのに分からないんですかね。
映画はホント面白くて感動したんですけど、どうにも後味の悪い鑑賞となりました。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2018年 56作品目 累計46000円 1作品単価821円
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