アンドレイ・チカチーロ ☆3.5点
予告編
映画データ
あらすじ
1953年、スターリン政権下のソ連で、子供たちの変死体が次々と発見される。年齢は9歳から14歳、全裸で胃は摘出され、山間にもかかわらず死因は溺死。だが、“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、すべて事故として処理される。秘密警察の捜査官レオは親友の息子の死をきっかけに、事件解明に乗り出す。捜査が進むほどに、国家に行く手を阻まれ、さらに、愛する妻にも不当な容疑が。真実が容易に歪められるこの国で、レオは真犯人に辿り着けるのか──?
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
このミステリーが凄い!に期待していくと、謎解きの部分で少し肩透かしを食らうかもしれません。
原作は未読です。
2008年発表された当時、話題になったのも知らなかったです。
映画は旧ソ連(スターリン)政権下で発生した連続児童殺害事件を軸に、スパイの摘発に絡んだ秘密警察組織内部の権力争いも描いていて、所謂サスペンス・ミステリーとは一線を画しています。
そもそも旧ソ連政権下では、社会主義・共産主義は理想国家、地上の楽園であって殺人などの犯罪は起きる筈が無い、という前提に立っているので、捜査そのものに消極的です。
なので所謂FBI物などに比べると、謎解きの部分は弱くなってしまいます。
また、殺害事件を捜査しようとすること自体に妨害が入るので、見ている観客としては物語に集中し辛く、スパイの摘発・権力争いにも話が飛ぶので、ちょっと分かり辛いのですが、殺害事件の捜査の終結と共にそれらの話も収束するので、見終わったあとは案外分かりやすかったりもします。
それで、このレビューを書くにあたり、あまりにも原作のことを知らなかったのでウィキペディアで見てみますと、小説はアンドレイ・チカチーロをモデルにして描いているというじゃないですか。
それで、そのままチカチーロの項目を読んでみると、ほぼまんま今回の映画のお話と一緒な訳です。
大量連続殺人鬼として有名なチカチーロですが、その詳しい経歴までは知らなかったので、この映画の旧ソ連政権下という特殊な状況(捜査に消極的であるとか)がチカチーロの大量殺人を許してしまったということがよく分かりました(これアメリカとかでしたらもっと早く逮捕できましたものね)ので、見てよかったです。
ラストもハッピーエンドだったのでよかったですが、如何せん中盤が中だるみな気がしましたので、星としては3.5です。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木 TOHOシネマズデイ 1100円
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