ダンケルク 評価と感想/これは物語やドラマではなく体験である

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そしてノーラン版クイズタイムショックでもあった ☆5点

第二次世界大戦の西部戦線の一つでナチスドイツ軍によりフランス最北端ダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人を民間船舶を総動員しイギリスに撤退させた史上最大の撤退作戦ダイナモ作戦を描く。監督はクリストファー・ノーラン

予告編

映画データ

(シネマトゥデイ)

映画『ダンケルク』の作品情報:第2次世界大戦で敢行された兵士救出作戦を題材にした作品。ドイツ軍によってフランス北端の町に追い詰められた連合軍兵士たちの運命と、救出に挑んだ者たちの活躍を描く。監督は『インセプション』などのクリストファー・ノーラン。
(ぴあ映画生活)
『ダンケルク』は2017年の映画。『ダンケルク』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。
本作は2017年9月9日(土)公開で全国で350館弱での公開規模です。
本作の予告編はかなり前から映画館で流れてて、半年以上前から流れてたと思いますが、非常に楽しみにしていました。

監督はクリストファー・ノーラン
『メメント』は渋谷のシネクイントに2回観に行った記憶があります。

『インソムニア』『インセプション』『インターステラー』と何故か「イ」から始まるノーラン作品は映画館で観てますが、バットマン3部作はDVD含めて未見です。
インターステラーは2014年のマイベストワンです。

主演は
といっても本作は公式サイトを見てもわかるようにキャストの説明が無く、明確な主役が存在しない感じです。

戦争には若者が駆り出されたということから、特に陸パート部分では世界的には無名の新人俳優をオーディションで選出してます。

世界的な有名どころでは、『ブリッジ・オブ・スパイ』のマーク・ライランス、ローレンス・オリヴィエの再来と言われたケネス・ブラナー、ノーランバットマン3部作のキリアン・マーフィー、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ、イギリスの人気男性グループ、ワン・ダイレクションのメンバー、ハリー・スタイルズ(映画初出演)などが出演してます。

他に共演と配役は以下の通りです。

トミー役: フィオン・ホワイトヘッド
ピーター役: トム・グリン=カーニー
コリンズ役: ジャック・ロウデン
アレックス役: ハリー・スタイルズ
ギブソン役: アナイリン・バーナード
ウィナント大佐役: ジェームズ・ダーシー
ジョージ役: バリー・コーガン
ボルトン中佐役: ケネス・ブラナー
謎の英国兵役: キリアン・マーフィ
ミスター・ドーソン役: マーク・ライランス
ファリア役: トム・ハーディ

あらすじ

フランス北端ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。

一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

噂には聞いていましたがこれほどとは思わず、ホント物語の中にポンと放り込まれるんですね。

先月末観た『関ヶ原』では関ヶ原の戦いに至るまでの経緯を半分くらいの時間で描き、残り半分の時間で合戦前夜からを描いていましたが、本作は映画が始まって2つ3つ表示されるテロップで説明されるだけで、観客はすぐダンケルク撤退戦の中に放り込まれます。

フィオン・ホワイトヘッド演じるトミー他何名かの兵士がいる街中にはドイツ軍からの「包囲した降伏せよ」のビラが舞ってます。
突然受ける銃撃に走り出す兵士たちはバラバラになり、トミーが夢中で逃げると土嚢を積んだ味方が防衛線を張ってます。
味方に撃たれないようイギリス兵であることを伝え、その防衛線を越え、住宅地を抜けると、辺り一面は白い砂浜で、すぐ先には海岸線が広がっています。

まず日本ではこういう景色は無いので驚きます。
日本なら住宅地があり海岸線と平行した道路があり、それから防風林があってその先に砂浜が広がって海岸線があるってパターンが多いと思います。

そしてその砂浜にはおびただしい数の兵士がいて、船に乗るために皆、寡黙に並んでいます。
負傷兵は担架で運ばれ優先的に船に乗せられますが、隊列を縫って進んでいくだけでも一苦労です。
やっと乗った船も時折飛来するメッサーシュミットに爆撃されると転覆し多くの兵士が海に投げ出されます。
船は1隻ずつしかやってこないので隊列は遅々として進みません。
絶えず流れるチチチチという時計の針の音に緊張感を強いられます。

本作は冒頭から台詞らしい台詞は殆ど無くて、その状況を映すだけで話が進んでいきます。
誰が誰であるとか、どの部隊であるとかは一切説明されないのでストーリー性を期待していくと置いてけぼりを食うと思います。
実際に序盤の私の感覚はそうで、「このまま話が進んでったら辛いなぁ」でした。

ただ私にはマーク・ライランスという楽しみがありました。
『ブリッジ・オブ・スパイ』での信念のあるスパイ役の演技に魅了された私は、本作の予告編で見せるマーク・ライランスの雰囲気や佇まいに非常に期待してたので、彼が出てきただけでもう目がウルウルしてました。

マーク・ライランス演じるドーソンが出航するときも、詳しい説明はされません。
また彼と一緒に他の船が一斉に救出に向かうという描写もありません。
救出に向かう民間船の視点で描かれるのはドーソンが操縦するムーンストーン号だけです。
ドーソンは途中で転覆した船の上にいるキリアン・マーフィー演じるイギリス兵士を救出します。
救出されたイギリス兵は当初は大人しくしていましたが、船がダンケルクに向かっていると分かると、イギリスに戻ってくれと懇願します。
ダンケルクには戻りたくないと。
爆撃によるPTSDだと理解しながらもドーソンはダンケルクに船を進めますが、暴れたイギリス兵によって不幸な事故が起こってしまいます。
ドーソンの息子ピーターの友達で一緒に船に乗っていたジョージが頭をぶつけて死んでしまいます。
ただ、この少年の死は最後までイギリス兵に伏せられていました。
イギリス兵が自分を責めることがないように。

これはあらゆる媒体で書かれているのでご存知の方も多いでしょうが、ノーラン監督は極力CGは使わないので、空での戦闘もイギリス軍側で登場するのはスピットファイア3機のみです。
そのうちの1機、隊長機は早々に撃墜され、トム・ハーディ演じるファリアの機体とジャック・ロウデン演じるコリンズの機体がメッサーシュミットとドッグファイトを繰り広げることになります。
ファリアの機体は早々に燃料計が壊れ、あとどれくらい飛べるか分からない中での戦いになりますし、コリンズも撃墜され海面着陸します。

面白いなと思ったのはファリアの視点では、コリンズは無事に海面着陸に成功し助かったと思うのですが、同じシーンがあとからドーソン、ムーンストーン号の海からの視点で描かれるんですよね。
ここではコリンズの機体は無事海面着陸するものの「ああ助かってよかった」では終わらず、キャノピーが開かず溺れそうになります。
同じシーンなのに緊迫感が違うんですよね。
息子のピーターがキャノピーを割って救出します。

ここで思ったのが、この映画、ちょっと時間軸が分かり辛くなることです。
ドーソンが救出したイギリス兵の乗った船がどのように転覆したか描かれるのですが、そのシーンはイギリス兵の回想かと思いました。
陸側の兵士たちの視点では頻繁に昼と夜が変わるので時間軸が分かり辛かったのですが、こちらのブログが大変参考になりました。

「ダークナイト」「インターステラー」を作り出したクリストファー・ノーランの最新作「ダンケルク」が2017年9月9日に公開されました。IMAXの前から2列目で、画面を見上げながら、スクリーンから出てくる爆音にさらされてきました。この映画は、I
確かに、「1.海岸の一週間」「2.海の一日」「3.空の一時間」って出てきましたが、そのままスルーしてました(笑)
この辺はホント、ノーラン監督らしくて上手いですね。
これ気づかないままでいる人多いんじゃないかな?

この時間軸の交差点凄いですね。
自分は冒頭にも書きましたが、「このまま進んでいったら辛いなぁ」と思ったんですが、後半凄い感動したんですよね。
モヤが晴れて多くの民間船舶が集結してるシーンで、ずっと桟橋に立っているケネス・ブラナー演じるボルトン中佐が発する一言で涙腺崩壊しそうになったんですが、この時間軸の交差点がピタリと一致するんですよね。
それぞれの話が1点に合わさって3倍の勢いで押し寄せてくれば、そりゃ涙腺も決壊しますね。
感動を科学してる訳で凄いなこれ!

最後、トミーが新聞読んでるシーンもいいんですよね。
予告編のときからこの45秒のバージョンが好きなんですが、台詞が韻を踏んでる感じがするんです。

最後になって自分が好きだった正体はこれかぁって分かったとき、嗚咽漏らして泣きそうになりました。
ノーラン監督がオーディションで選んだキャスティング恐るべしと思いました。

映画『ダークナイト』『インターステラー』のクリストファー・ノーラン監督が、初めて実話の映画化に挑んだ話題作『ダンケルク』。
「北の国から」の純のナレーションに近いのかな?
この素人っぽい雰囲気とか素朴さとか。

実際の話は40万人が撤退する話で、これをまともに描こうとすればハリウッド大作のようなCGに頼らざるを得ないと思いますが、この史上最大の撤退作戦を陸・海・空とそれぞれの視点からミニマムに描くことで、説得力を持って描けたと思います。
『ハクソー・リッジ』のようなリアルな描写とは違いますが、ああいうグロテスクな描写は苦手な人もいるのでそれはそれでいいと思います。

戦地に赴いた良心的兵役拒否者の信念 ☆5点 銃を持たない兵士として第二次世界大戦での沖縄戦で75人の命を救った衛生兵デズモンド・ドスの実話映画化。 監督はメル・ギブソン。主役のデズモンド役にアンドリュー・ガーフィールド
ムーンストーン号は1隻ですが、その後ろには何百という船が控えてるわけで、そのそれぞれの船にドラマがある訳です。
コリンズの海面着陸も空からの視点ではマクロな話ですが、海からの視点ではミクロで描かれていて、時間軸におけるマクロとミクロの視点の切り替えが非常に上手いと思いました。

ファリアの戦闘もそれまではミクロな戦闘ながらもマクロ寄りの視点で描かれるんですが、燃料が尽きてダンケルクの海岸線に不時着する際は手動で車輪を出しミクロな視点で描かれるのでドラマ性が生まれます。
最初から帰りのことは考えず、捕虜になる覚悟で飛んでいるファリア、カッコよすぎるでしょ。
トム・ハーディ、あなたにも泣けました、ありがとうございます。

うーん、ヤバいです。
感動の涙という点では今年間違いなくベスト級です。
こうやって感想を書いてるだけでも、ウルっとしてしまいますもの。

本作の鑑賞には激しくIMAXがおススメされていたので、素直にIMAXで観たんですが、映像も凄いですが音響も凄いですね。
映画の立ち位置としては、構成や映像面で2013年に公開された『ゼロ・グラビティ』に近い気がするのですが、アルフォンソ・キュアロン監督はSF映画で、クリストファー・ノーラン監督は戦争映画で新しい映像体験を提示してくれたんだと思います。

(エンターテインメント・ウィークリー誌のインタビューでも『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』や『ゼロ・グラビティ』が影響したと言ってるんですね)
クリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』は、なにかと彼の過去作品と比較して語られることの多い映画だ。“初めての”史実に基づいた戦争映画、“久々に”SF/ファンタジー要素を持たない物語、そして“デビュー作に次いで”短い上映時間……。こうしたメディアの反応は、本作が監督のフィルモグラフィにおいても革新的であること...
私は映画館で映画を観ることが好きでレンタルは殆どしないのですが、本作は映画館で観てこその映画で、出来ればIMAXがいいと思うのですがIMAXは全国でも29館ほどですので鑑賞環境としてはハードルが高いんですが、IMAXが無理でも出来る限り大きなスクリーンで観られるのがよい映画だと思います。

鑑賞データ

TOHOシネマズ新宿 TOHOシネマズ20周年特別クーポン 1100円+IMAX料金500円
2017年 149作品目 累計159200円 1作品単価1068円

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