単純にアクションシーンがカッコいいんです ☆5点
ワーナー・ブラザースが進めているDCコミックスのキャラクターを実写映画化するDCエクステンデッド・ユニバースの第4弾でワンダーウーマン単独としては初の実写映画化。
監督は『モンスター』以来14年ぶりとなるパティ・ジェンキンス、主演はガル・ガドット、共演にクリス・パイン
予告編
映画データ
本作は公開前から評論家の評価がよくて、アメリカでの公開前から日本でも頻繁に劇場で予告編を流していたのでよく目にしていましたが、正直あまりそそられなくて観るか迷ってました。
まずDCエクステンデッド・ユニバースの第2弾で本作と直接関わりのある、昨年公開された『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』を見てなかったこと。
(DCエクステンデッド・ユニバース第3弾『スーサイド・スクワッド』の感想はこちら)
それから予告編が何となくダサくて、特に「美女戦士は天然系?」ってやつが好きになれなかったこと。
あと、主役もそんなに魅力的だと思わなかったんですよね。
でも結論からいうと大満足で、観に行って大正解でした。
監督はパティ・ジェンキンス
女性監督で長編は2003年にシャーリーズ・セロンにアカデミー主演女優賞をもたらした『モンスター』のみ。
その間にテレビドラマやテレビ映画は少し撮っていたようですが、本作の監督に決まる経緯が興味深いです。
記事を読むと14年越しの企画だというのが分かります。
主演はガル・ガドット
初めましての女優さんかと思って観てましたが『ワイルド・スピード』シリーズの4,5,6と出てました。
ハンの彼女ジゼル役で、6のユーロ・ミッションでハンを助けるために自ら犠牲になる役で泣けたのを思い出しました。
確かに凄い美人だったのは覚えていますが、本作とは髪色が違ってたので最後まで気が付きませんでした。
『トリプル9 裏切りのコード』にも出てたんですけど忘れてる…。
この記事読むとワイルドスピードみたいな大作に出てても順風満帆じゃなかったんですね。
共演にクリス・パイン
昨年の『スター・トレック BEYOND』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ダイアナ/ワンダーウーマン: ガル・ガドット
スティーブ・トレバー: クリス・パイン
アンティオペ: ロビン・ライト
ルーデンドルフ: ダニー・ヒューストン
サー・パトリック: デヴィッド・シューリス
ヒッポリタ: コニー・ニールセン
ドクター・マル: エレナ・アナヤ
チャーリー: ユエン・ブレムナー
エッタ: ルーシー・デイヴィス
サミーア: サイード・タグマウイ
チーフ: ユージーン・ブレイブ・ロック
あらすじ
ワンダーウーマンが生まれたのは、女性だけが暮らすパラダイス島。
ダイアナ(ワンダーウーマン)はその島のプリンセスだった。
ある日、不時着したアメリカ人パイロットを助けたことから、外の世界で戦争が起きてることを知る。
彼女は自身の力で「世界を救いたい」と強く願い、二度と戻れないと知りながら故郷をあとにする……。
そんな彼女は、初めての世界で何を見て、何のために戦い、そして、なぜ美女戦士へとなったのか!?(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
アメリカでは2017年6月2日(金)公開された本作、批評家の前評判はよかったものの興行的には未知数で、果たしてヒットするかは不明でしたが、蓋を開けてみればオープニング興収が1億ドル超えの大ヒットで、女性監督作品として史上最高興収を収めるなど記録づくめの作品となりました。
本作は長編を1本しか撮っていない久々の女性監督で、主人公のヒロインを演じる女優も初主演ということでしたが、昨年公開された『ゴーストバスターズ』のときのような批判が起きなかったのは良かったと思います。
フェミニズム的な要素でいえば、この『ゴーストバスターズ』や今年公開された『未来を花束にして』に繋がる作品だと思いますが、そういうことを抜きにしても単純に面白かったです。
物語は、連合国のスパイとしてドイツが開発している毒ガスの製法を記したノートを盗んだスティーブ・トレバー大尉がダイアナたちが住む島に不時着するところから始まります。
スティーブを追ってドイツ軍もやってきて島で戦闘になるんですが、ドイツ軍=ナチスの刷り込みがあり、ずっと第二次世界大戦の話だと思って観てました。
その割にはヒトラーって言葉が出てこなくて、皇帝という言葉が出てたので違和感を感じながら観てたんですが、鑑賞後に調べたら第一次世界大戦の話ということで、なるほど納得でした。
なのでアメコミヒロインものではありますが、ベースは戦争映画なので面白いんですよね。
時代的にも『未来を花束にして』で描かれた女性解放運動がイギリスで盛り上がってくる頃で、ワンダーウーマン誕生の物語を第一次世界大戦に設定したのは上手いと思いました。
序盤から中盤くらいまでのシーンでの見どころは、やっぱり監督がこだわったノーマンズランドをワンダーウーマンに歩かせるシーンで、このシーンはカッコよかったですね。
ゴーストバスターズのホルツマンのシーンみたいだなと思いましたよ。
とにかく全般的にアクションシーンがカッコいいんですよね。
最近はやたらと早いテンポの短いカット割りで、何やってるんだか分からないようなアクションシーンが多いですが、本作は引きで全体を映すような構図が多く、スローモーションを多用してるので見やすいです。
主演のガル・ガドットの太過ぎず細過ぎずバランスの取れた長身の身体がこのアクションシーンによく映え、彼女の魅力を最大限引き出してたと思います。
ダイアナ/ワンダーウーマンは島育ちのため外界(世界や人間)のことは知らないですが、日本版の予告にあるような天然系ではなく100か国語を話せる才女で、物事の本質を見抜いてるその力強い目や知性溢れる表情に魅了されてしまいます。
後半は物語的にも、それこそガル・ガドットが『ワイルド・スピード』で演じたジゼル・ヤシャールのような自己犠牲をスティーブが行うんで胸が熱くなります。
『ベイマックス』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートみたいな自己犠牲は、ここのところハリウッド映画の流行りですが、分かっていても思わず目が潤んでしまいます。
そしてラスボスである、軍神アレスとの対決もアハ体験となります。
アレスは全知全能の神ゼウスの子であるわけですが、これが物語序盤で語られるダイアナの出生の秘密に掛かってきます。
物語の序盤でダイアナの母でアマゾン族の女王であるヒッポリタが「ダイアナは粘土をこねて作った」と語りますが、実はダイアナはゼウスとヒッポリタの間に出来た子で、アレスは異母兄だということが分かります。
なので壮大な兄妹対決になるんですが、アレスを倒すのがアマゾン族の宿命とはいえ、単純な勧善懲悪劇には収まらないので、物語に深みが増したと思います。
ただ、ワンダーウーマンが魅力的な分、スティーブによって集められた「特攻野郎Aチーム」的な面々は、それぞれ違った人種や背景を持っているのでその狙いは分かるのですが、やや出オチで終わってる感も否めません。
特に凄腕の狙撃手として出てきたチャーリーは『トレインスポッティング』のスパッド役のユエン・ブレムナーだったので、もう少し活躍があるかな?と思いましたが、何かがトラウマになってて狙撃出来ないというもので、伏線も回収されずやや消化不良でした。
まあ、本作の設定は100年前で、このメンバーが今後のシリーズに繋がってくることは無いので、そんなに掘り下げる必要もないのかもしれませんが。
今年はこのあとすぐ11月には『ジャスティス・リーグ』が公開され、こちらにもワンダーウーマンが出てきます。
また一気に現代に戻るので、本作とは違ったテイストになると思われますが、このヒロイン誕生の物語は100年前の設定を含めて異色の出来になってると思います。
141分の上映時間も長いと感じることなく観れましたので必見の作品だと思います。
鑑賞データ
丸の内ピカデリー プレミアムフライデー会員料金 1100円
2017年 140作品目 累計148000円 1作品単価1057円
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