メタメタB級ロックミュージカル風 ☆5点
ミュージシャンの近田春夫が1980年に発表したアルバム「星くず兄弟の伝説」を原案に、1985年に手塚眞監督で映画化された同名映画の続編で監督は引き続き手塚眞
主演は三浦涼介と武田航平、共演に井上順と夏木マリ、高木完や久保田慎吾やISSAYといったオリジナルキャストも再集結
予告編
映画データ
本作は2018年1月20日(土)からテアトル新宿での公開で、順次全国公開されて最終的には18館での公開です。
前作の存在を知らなかったのですが、テアトル新宿で予告編を見て、なんじゃこりゃ(笑)と思いました。
前作は年代的に『トミー』とかから影響を受けてるんでしょうかね?
(ウィキペディア見たら『ファントム・オブ・パラダイス』って書いてありました)
監督は手塚眞さん
漫画家の手塚治虫さんの息子さんで、一時期はテレビなんかでもよく見かけましたけど、久しぶりにお名前を聞いたような気がします。
当時から映画監督とは知っていましたけど作品を見たことはありませんでした。
主演に三浦涼介さん
仮面ライダーオーズのアンク役の方です。
出演映画は『るろうに剣心 京都大火編』を観てます。
主演に武田航平さん
こちらは仮面ライダーキバの紅音也役の方です。
映画は『HiGH&LOW』シリーズに出演されてるようですが未見です。
共演に浅野忠信さん
近作は『岸辺の旅』『グラスホッパー』『淵に立つ』『新宿スワンⅡ』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
カン: 三浦涼介
シンゴ: 武田航平
ウサコ: 荒川ちか
チェザーレ伊東: ISSAY
チェリー喜美雄: 藤谷慶太朗
カン: 高木完
シンゴ: 久保田慎吾
カンコ: 谷村奈南
シンコ: 田野アサミ
ムーンエンジェルズ: 椿かおり
ムーンエンジェルズ: 矢吹春奈
ドクター雅智: ラサール石井
ラン(カンの思い出の彼女): 板野友美
天使: 芹川有里
天使: 鮎川陽子
天使: 植田せりな
スペースポートスタッフ: 野宮真貴
クリスト: 浅野忠信
ベタール卑美子: 夏木マリ
アストロ南北: 井上順
ロックの神様: 内田裕也
あらすじ
近未来、東京の下町――
かつて「スターダスト・ブラザーズ」として一斉を風靡したカン(三浦涼介)とシンゴ(武田航平)。東京の下町にあるバーのオヤジとなったシンゴ(久保田慎吾)は過去の栄光を夢見、「地球がダメなら月でもう一度スターに!!」との思いで、売れっ子DJとして活躍するカン(高木完)を誘ってリ・エイジングスタジオで若返り、月へと旅立つ。
月世界で彼らを迎えたのは、どうしようもなくダメな芸能プロダクション「アストロ・プロモーション」。社長のアストロ南北(井上順)は地球では売れっ子スターだったと自称するが、この事務所にはウサコ(荒川ちか)とチェリー喜美雄(藤谷慶太朗)というパッとしない二人のタレントしかいない有様。しかも新・星くず兄弟の初ステージは場末のショーパブだった。すっかり意気消沈した二人に酔っぱらいの老人(内田裕也)が「スターになりたかったら〈ロックの魂〉を探せ」と声をかける。
こうして謎の〈ロックの魂〉を求めて、スターダスト・ブラザーズ二人の月世界の冒険がはじまる。一方、月の芸能界を支配する組織「フラッシュバブル」の女ボス、ベタール卑美子(夏木マリ)と片腕チェザーレ伊東(ISSAY)は、星くず兄弟の活躍を封じるべく、刺客を送り込むことに。
果たして、スターダスト・ブラザーズ二人は〈ロックの魂〉を手に入れることはできるのか!?
はたまた、スターになることができるのか!?(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
本作は予告編を見ても分かるように、まあB級もC級もD級もいいところで、演者が映画内の出来事に言及したりしてメタ的な構造になってるんですが、映画の途中でカットがかかって監督まで出てきて「今、どこのシーンまで撮ったっけ?」とか助監督に聞いたりしてるので、メタメタな映画となっております。
昔は結構、こういうサブカル臭プンプンな映画もあった思うのですが、最近ではここまで自由な映画も珍しくて、本編中にカットがかかってスタッフが映るっていうのは『アンチポルノ』くらいですかね。
ストーリーは有って無いようなものなんですが、そうでもないか。
上映時間128分をもたせるんで、それなりにありますが、途中途中、歌が挟まれるんでそんなに長くは感じませんでしたね。
設定は近未来の東京スカイツリー近くの下町のバーで、3人の天使がずっと見守っています。
シンゴ(久保田慎吾)は、かつての自分の映画「星くず兄弟の伝説」をバーで流しては感傷に浸ってます。
3人組の客が腕のいい美容整形のリ・エイジングスタジオの話をしてたのを聞いて、ロックでかつての夢をもう一度と思います。
シンゴは、今はクラブDJとして成功してるカンに相談があると言って睡眠薬入りのビールを飲ませて眠らせるとそのままリ・エイジングスタジオに連れていきます。
リ・エイジングスタジオで美容整形マシンに入ると、機械の調子が良すぎて、2人はすっかり若いイケメンのカン(三浦涼介)とシンゴ(武田航平)になるのでした。
地球で成功を目指すのは厳しいと考えた2人は月に向かいます。
月に着いた2人は、地球の雑誌でスターを募集していたアストロ・プロモーションを訪ねますが、所属タレントはウサコとチェリー喜美雄しかいないという弱小プロダクションでした。
社長のアストロ南北に会った2人は、その胡散臭さから逃げ出そうとしますが、いつの間にかウサコによって契約書にサインさせられていて所属することになります。
最初の営業先は場末のショーパブ。
客からブーイングを浴びせられすっかり意気消沈する2人でしたが、ステージを降りると、店員に「もう1杯、もう1杯」とねだる白髪の老人(内田裕也)に気づきます。
店員に邪見にされてるのを見た2人は、老人の酒は自分たちが奢ると店員に告げると喜ばれ、スターになりたいならロックの魂を探せと老人に言われるのでした。
ロックの魂はウサギが餅をつく場所にあるという噂を聞き、早速探そうとする2人に、アストロ・プロモーションに新人が入ったのを聞きつけた、月で一番大きい芸能事務所「フラッシュバブル」の女ボス、ベタール卑美子がロックの魂を奪おうと刺客を送ります。
刺客の放った毒矢に倒れたシンゴを解毒するために、月にできたリ・エイジングスタジオ月支店に行くと、解毒が効き過ぎて2人はカンコとシンコの女性になってしまうのでした。
ウサギが餅をつく場所とされる月の砂漠に入るとクリストというギター弾きに出会います。
クリストが砂漠の酒場から来たということを聞いた2人は、酒場ならロックの魂の手掛かりが掴めると考え先を急ごうとしますが、砂漠では旅人を襲っては殺している集団で、アイドルの成れの果てのムーンエンジェルズに牛耳られているためクリストが案内してくれます。
しかし、バイク集団のムーンエンジェルズに見つかってしまい取り囲まれてしまいます。
シンコは自分たちはロックをやっていてロックの魂を探しに来たと言うと、音楽で満足させたら通すと言われます。
クリストの超絶ギターテクもあって満足させると通れることになりますが、追って来ていた刺客が放った銃弾でクリストは死んでしまうのでした。
シンコとカンコが酒場に着くと、なぜかウサコが営業に来ていましたが、女性に変わっているためウサコは気づきません。
ライブが終わると、ロックの魂のことを聞いて回りますが、聞いた途端に酒場の客が豹変し乱闘騒ぎとなります。
しかしそこにムーンエンジェルズが現れると乱闘騒ぎが収まり、この先にウサギが餅をつく場所があると言われます。
2人は砂漠の中の岩場に出ると、太陽に照らされた影でウサギが餅をつく様子が型取られているのに気づきます。
そしてウサギが餅つく場所に入っていくと広間が現れ、ショーパブでお酒を奢った白髪の老人が現れるのでした。
すると老人は「コミック雑誌なんかいらない」を歌い出します。
実は老人はロックの神様で歌い終えるとロックの魂をくれ、カンコとシンコの姿も男性に戻してくれるのでした。
ロックの魂を手に入れた2人がステージに立つと拍手喝采を浴びます。
しかしロックの魂を諦めきれないベタール卑美子が現れると、「まだそんな物を求めているのか」と言ってアストロ南北も現れます。
アストロ曰く、ロックの魂はプラシーボ効果で石自体に力なんてないと言います。
そして驚いたことにこの2人は夫婦でウサコは2人の娘なのでした。
2人の仲に嫉妬した卑美子の部下・チェザーレ伊東はアストロ南北に向かって銃弾を放つと、庇ったシンゴに命中し絶命してしまうのでした。
その様子を見ていた3人の天使のうちの1人が可哀想と言い、助けると言います。
他の2人は助けたら天使に戻れないと言いますが、それでもいいと言って助けると東京の下町のバーに戻ります。
自分の店で寝ていたシンゴ(久保田慎吾)は「何だ、夢オチか」と言って目覚めると、店を閉めて帰ろうとします。
すると人間になった天使がやってきて「もう閉店ですか?」と尋ねます。
シンゴがまだ大丈夫ですよと言って営業してると、チェザーレ伊東がやってきて店の中で2発発砲すると、手塚監督のカットの声がかかって映画は終わります。
しかし、この映画の撮影現場を密着取材していた女性記者がラストがこれでいいのかと疑問を呈します。
助監督やスタッフに尋ねると、あなたが撮るなら協力すると言われ、女性記者の思うラストが描かれます。
舞台はシンゴが撃たれたあとのステージに戻ります。
アストロ南北が若者に向かって夢を忘れちゃいけないと切々と歌い上げて、シンゴも生き返って皆で歌って大団円で終了します。
映画はミュージカル風なんですけど、ハリウッドのミュージカル映画、例えば『ラ・ラ・ランド』みたいにセリフから自然と歌になっていく感じじゃなくて、ライブシーンであったり、突然歌い上げる感じで歌声も録音したものを被せてるんでチープ感満載です(笑)
それでも序盤から元祖渋谷系の女王・野宮真紀さんの登場とかアガりますし、楽曲も総じて楽しいです。
カメオ的に出演してる人も豪華で、前作から引き続き出演してるのが、ラッキィ池田さん、サンプラザ中野さん、黒沢清監督、高田文夫さん、伊武雅刀さんあたりでしょうか。
また、本作からは毒蝮三太夫さん、浦沢直樹さん、加藤賢崇さん、庵野秀明監督、山本政志監督、犬童一心監督、吉村元希監督、石井岳龍監督、林海象監督も出演されています。
内田裕也さんが「もう一杯、もう一杯」言ってるのは八名信夫さんの真似してるのかな?と思ったり
井上順さんが出てくると新春かくし芸大会を思い出して、ハリウッドのバタ臭い感じの似合うよなぁと思ったり
夏木マリさんの特撮モノの怪人感が楽しかったり
とにかく総じて楽しいですね。
ラストの方は、天使が人間になっちゃって『ベルリン・天使の詩』っぽいなと思ったら
それも、あっさり裏切る展開とか、頭おかしくて好きですね。
テアトル新宿プレミアムフライデー夜の回で観たんですけど、お客さん30人くらいしか入ってなくて、しかも若い人がほとんど居なかったので肝心の映画のメッセージは伝わらないんじゃないかと思いましたけど、個人的には2018年初で新宿タイガーさんと同じ回(だいたい年に2、3回同じ回になる)で観れましたし、いい1年が送れそうな気がしましたね。
鑑賞データ
テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2018年 19作品目 累計9700円 1作品単価511円
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