雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 評価と感想/なので永遠に会えないと思う

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 評価と感想
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邦題とのギャップがw ☆4点

予告編

映画データ

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (2015):作品情報|シネマトゥデイ
映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『ダラス・バイヤーズクラブ』などのジャン=マルク・ヴァレ監督と、『サウスポー』などのジェイク・ギレンホールがタッグを組んだ人間ドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/169563/

あらすじ

デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、出世コースに乗り、富も地位も手に入れたウォールストリートのエリート銀行員。高層タワーの上層階で、空虚な数字と向き合う、味気ない日々。そんな会社へ向かういつもの朝、突然の交通事故で美しい妻を失った―。しかし一滴の涙も出ず、哀しみにさえ無感覚になっている自分に気づいたデイヴィス。彼女のことを本当に愛していたのか?僕の心はどこにいってしまったんだ―?「心の修理も車の修理も同じことだ。まず隅々まで点検して、組み立て直すんだ。」義父からの言葉が引き金となり、デイヴィスは、身の回りのあらゆるものを破壊しはじめる。会社のトイレ、パソコン、妻のドレッサー、そして自らの結婚生活の象徴である「家」さえも―。あらゆるものを破壊していく中で、デイヴィスは妻が遺していた幾つもの“メモ”を見付けるのだが・・・

(公式サイトより引用)

ネタバレ感想

『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレ監督作品で『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールが主演してます。

本作は映画館で予告編を見たこと無くて、映画サイトでタイトルだけ知って
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』じゃ、永遠に会えないじゃん
と脳内でツッコんでいて、切ないラブストーリーを想像してました。

それで、昨年公開された邦画で賞レースに関わってきそうな作品の中で、唯一、西川美和監督の『永い言い訳』だけ見れなかったんですが、本作もそれと似ているらしく、妻が死んだのに1滴も泣けない夫の話です。

自分がこのシチュエーションで思い出すのは80年代の往年の大映ドラマ「スクール・ウォーズ」の第23話・下町のヒーローの回です。

ラグビー部のたまり場になっている中華料理店のマスター大三郎(梅宮辰夫)が突然死んだのに葬儀では泣けない妻(和田アキ子)。弟の森田光男(宮田恭男)はそんな姉ちゃんを見て鈍感だと言うんですが、葬儀も一通り終わりお店もすぐに再開させます。営業中はお客さんで溢れ、仕事に打ち込んでいますが、営業終了後、一人店内で片付けをしてると号泣する妻なのでした。

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本作でも似たようなシーンありましたね。ジェイク・ギレンホール演じる主人公のデイヴィスが葬儀後、早い段階で出社するシーン。で、周りのみんなが驚いたっていう。

ただ、本作の展開はここからが普通と違うところ。
泣けない。
とにかく泣けない。
心が壊れちゃったんじゃないかっていうくらい、悲しみが湧いてこない。
心配した義理の父(クリス・クーパー)が、壊れたものは一度解体して組み立て直せばいい、心も同じ、ってアドバイスしてくれるんですが、そこからは、今までは壊れていても気にならなかったものが、一気に気になりはじめ、手始めに妻が水漏れするって言ってた冷蔵庫を解体しますが、解体するだけで直すまではいきません。

この作品、原題は「DEMOLITION」で解体とか取り壊し、破壊っていう意味です。
ポスターイメージなんかも海外版は全然違って、邦題と日本版ポスターとのギャップが凄いです。

自分なんかは観てて、『ナイトクローラー』の主人公がハンマートレーニングに目覚めて『サウスポー』になる話か(笑)と思って観てましたけど、とにかく壊す、壊す、ぶっ壊すで、面白かったです。破壊と再生。スクラップアンドビルド。

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そこに、クレームを付けた自動販売機設置会社の苦情係のシングルマザー(ナオミ・ワッツ)と仲良くなり、その息子とも心を通わせて、っていう話が加わり、あらすじを説明するのが何とも難しい話なんですけど、分かり辛いということもなく面白くてよい作品だったと思います。

監督のジャン=マルク・ヴァレの作品は
『ダラス・バイヤーズクラブ』

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を観てました。わたしに会うまでもジャン監督だったんだな。

本作は、透明感のあるクリアな映像が綺麗でした。ボケ感のある撮り方も印象的でしたね。
編集でのカットのつなぎ方が独特で、まだ続くような感じのシーンでも短く切って繋ぐんですが、透明感のある映像とあわせて空虚な感じを演出するのに成功してたと思います。

ナオミ・ワッツは毎回、観るたびにイメージ違う。
毎回観てるとニコール・キッドマンに似てる綺麗な女優さんだなと思うんですけど、最後クレジット観てて、ああ、ナオミ・ワッツか、ってなります(笑)

この映画は登場人物がみんな壊れて再生するっていうのがいいですね。
主人公デイヴィスは元より、なんとなく自動販売機設置会社の社長と付き合っていたカレンは別れる。
ゲイかと悩んでいたカレンの息子はバイセクシャルを打ち明けてボコボコにされて壊れるけど、そこから強く生きていく。
彼の存在がデイヴィスとカレンが再生するきっかけを与えてくれたと思いました。
妻の両親も、娘の清廉潔白さ、レガシーにこだわって空虚な奨学金制度を実行しようとしてましたけど、ダウン症の施設とかそういうところにお金を使うようになる。
なので、メリーゴーランドのラストはハッピーエンドでよかったです。

一応、邦題のタイトルは妻が残してたメモに書いてあった言葉なんですけど、これ夫に向けられたものなのかな?
浮気相手へか、ポエムのようなものだと思うんですがどうなんだろ?
まあ、シーン自体はあんまりピックアップされてなくてサラッと流されてた気がします。

テーマは深刻な感じですけど、息子とのやりとりで結構笑えるシーンもあって、楽しい映画だったのでお勧めです。

鑑賞データ

渋谷シネパレス メンズデー 1000円
2017年 27作品目 累計23300円 1作品単価863円

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