わたしに会うまでの1600キロ 評価と感想/アメリカ版お遍路の旅

わたしに会うまでの1600キロ 評価と感想
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アメリカ版お遍路の旅 ☆4点

予告編

映画データ

わたしに会うまでの1600キロ (2014):作品情報|シネマトゥデイ
映画『わたしに会うまでの1600キロ』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』などのリース・ウィザースプーンが、1,600キロの距離を3か月かけて1人で歩き通した女性を演じたヒューマンドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/167022/

あらすじ

スタートしてすぐに、「バカなことをした」と後悔するシェリル。
今日から一人で砂漠と山道を歩くのだが、詰め込みすぎた巨大なバックパックにふらつき、テントを張るのに何度も失敗し、コンロの燃料を間違ったせいで冷たい粥しか食べられない。この旅を思い立った時、シェリルは最低の日々を送っていた。どんなに辛い境遇でもいつも人生を楽しんでいた母の死に耐えられず、優しい夫を裏切っては薬と男に溺れていた。遂に結婚生活も破綻し、このままでは残りの人生も台無しだ。母が誇りに思ってくれた自分を取り戻すために、一から出直すと決めたのだ。
だが、この道は人生よりも厳しかった。極寒の雪山、酷暑の砂漠に行く手を阻まれ、食べ物も底をつくなど、命の危険にさらされながら、自分と向き合うシェリル。果たして彼女が、1600キロの道のりで見つけたものとは──?

(公式サイトhttp://www.foxmovies-jp.com/1600kilo/より引用)

ネタバレ感想

アメリカにもあるんですね、こういうお遍路みたいの。

PCT(パシフィック・クレスト・トレイル)と言うんだそうですが、アメリカ西海岸を南北に縦断する自然歩道。

参考 パシフィック・クレスト・トレイル – Wikipedia

特に霊場を回る訳ではないですが、砂漠や雪原、森林などの広大なアメリカの自然が相手です。

就活より大切な“今”を求めて――。米国パシフィック・クレスト・トレイルへ。(井手裕介)
「あなたのカナダへの入国を許可します。ただし、トレイルを徒歩で経由した場合に限る」2週間前、帰宅してポストからエアーメールを取り出し、僕は思わず拳を握った。

主人公シェリル(リース・ウィザースプーン)が旅に出るきっかけは直接的には母親(ローラ・ダーン)の死ですが、この母と娘の関係が一筋縄ではないのも旅をしながらの回顧シーンで描かれます。

DV夫から逃れ、女手一つでシェリルと弟を育てる母。

シェリルが大学生になって手がかからなくなると、母もシェリルと同じ大学に通うようになりますが、学の無い母を見てるとシェリルは自分と同じ年齢の頃の母より、知識等何もかもが上回っているように思い、なんとなく下に見てしまいます。

いつ終わるとも分からない家のローンを払いながら、自分のことは後回しにして、いい年になった弟にもまだまだ甘い母に、複雑な思いもあったりします。

そんな複雑な思いを抱いてた母に、かなり進行したガンが見つかると45歳という若さであっという間に死んでしまいます。
母親の死を受け入れられないシェリルは自暴自棄になって麻薬や浮気に溺れ、それが夫の知るところとなり離婚に至ってしまいます。

また母親が飼っていた馬も病気になっていて治療するお金も安楽死の注射を打つお金もなく、弟にライフルで撃ってもらい殺しますが、そのことも姉と弟のトラウマとなり関係をギクシャクしたものにしています。

そんな思いをリセットしたくて、シェリルはPCT踏破の旅に出るのですが、旅人からモンスターと呼ばれたリュックは自分で背負いきれないほどの荷物が詰みこまれており、シェリルの心情とダブるものがあります。

PCTの厳しい自然の中での旅を通しながら、なんとなく素直に聞けなかった母の言葉も心に染み入り、母の死をきちんと受け入れるようになっていきます。

モンスターと呼ばれたリュックも、PCT踏破に不要な物を捨てて軽くなり、旅の成功を確実なものとすると共に、シェリルの心も軽くしていきます。

PCTの雄大な自然、トレイル中に出会う人々、フラッシュバックのように思い出される母親の格言めいた言葉。

「美しさの中に身を置きなさい。朝日と夕日は見ようと思えば 毎日見られる。水の中の魚は 眺めるだけで十分。それがすべて。」
「私が唯一教えられるのは、最高の自分の見つけ方と、それを手放さない方法よ」

PCT踏破の旅は、母の言葉を実践する旅でもありました。

鑑賞データ

角川シネマ新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円

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