爽やかな青春映画でした ☆3.5点
テレビ映画やミニシリーズ、ドラマなどの脚本や演出を手掛けているジェームズ・サドウィズによる長編映画初監督作で各地の映画祭で受賞した作品。
監督自身の実体験を元に、小説「ライ麦畑でつかまえて」に魅了された男子高校生が作者のJ・D・サリンジャーを捜す旅を通して成長する姿を描いた青春ドラマ。
主演はアレックス・ウルフ、共演にステファニア・オーウェン、クリス・クーパー
予告編
映画データ
本作は2018年10月27日(土)公開で、全国8館での公開です。
順次公開されて、最終的には38館程での公開となるようです。
日本での配給は東北新社=STAR CHANNEL MOVIES
劇場での予告編は1,2回目にしただけであまり記憶に無いんですけど、ポスターは目にしてました。
ライ麦畑とあったんで「サリンジャー系かぁ(読んだこと無いですけど)」と思いましたが、それほど見る気無かったんですけど、かなり前から予告がかかってて見たいと思っていた『マイ・プレシャス・リスト』(まさかのサリンジャー繫がりでした)が遅い時間じゃないと見れなくて時間が空きそうだったので観た次第です。
監督はジェームズ・サドウィズ
1952年生まれなんでベテランなんですが、初めましてです。
主にテレビシリーズを手掛けていたようで、本作が長編映画初監督となるようです。
主演はアレックス・ウルフ
近作は『パトリオット・デイ』『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観てます。
共演にステファニア・オーウェン
初めましての女優さんです。
「セックス・アンド・ザ・シティ」の前日譚として2013~2014年に放送されたドラマ「マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜」でキャリーの妹役を務めてたそうです。
共演にクリス・クーパー
近作は『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』『夜に生きる』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ジェイミー・シュワルツ: アレックス・ウルフ
ディーディー: ステファニア・オーウェン
J・D・サリンジャー: クリス・クーパー
ハンク・マーカス: ジェイコブ・ラインバック
テッド・タイラー: エリック・ネルセン
フレディ・ゴレシ: ジェイコブ・ローズ
ジェリー・シュワルツ: ゼファー・ベンソン
母: ルシア・スカラーノ
ティアニー先生: エイドリアン・パスダー
あらすじ
1969年、アメリカ・ペンシルベニア州。学校一冴えない高校生のジェイミーは、周囲ともなじめない孤独な生活を送っていた。そんなある日、若者のバイブル「ライ麦畑でつかまえて」に感銘を受け、演劇として脚色することを思いつく。しかし、舞台化には作者であるJ.D.サリンジャーの許可が必要だと知る。そこで、連絡を取ろうと試みるものの、隠遁生活をする作家の居所はつかめないまま。その最中、学校である事件が発生し、ジェイミーは寮を飛び出してしまう。そして、演劇サークルで出会った少女のディーディーとともに、サリンジャー探しの旅に出ることを決意するのだった。新たな一歩を踏み出したジェイミーが見つけた“人生のヒント”とは……?
(公式サイトhttp://raimugi-movie.com/about.phpより引用)
ネタバレ感想
色々な映画でちょこちょこ名前が出てくるサリンジャーですが、「ライ麦畑でつかまえて」って読んだこと無いんですよね。
なのでそんなに思い入れが無く、(監督の実話がベースになってるという)予備知識も無く観たので、映画の感想も書きづらいんですが、まず詳しいあらすじはこちらを参考にどうぞ。
映画は基本的にはオーソドックスな作りだったと思うのですが、主人公のジェイミーが第四の壁を突破して観客に語りかけてくるシーンが2回くらいあって、『デッドプール』みたいだなと思ったんですが、「ライ麦畑でつかまえて」が一人称の口語体で読者に語りかけるような文体となっているそうで、それを意識したんだと思うんですが演出としてはあまり上手く無かった気がします。
そして劇中、サリンジャーに会いに行く展開となる訳ですが、こういう映画にありがちで会えないパターンだろうと思ってたら、まさかの会えちゃう展開で「会えちゃった系か!」と思いました。
それで会えちゃった系で思い出したのが『フィールド・オブ・ドリームス』なんですけど、そういえばサリンジャーの名前を知ったのもこの映画がきっかけでした。
フィールド・オブ・ドリームスでは主人公であるケビン・コスナーが隠遁生活を送っている幻の作家テレンス・マン(演じるのはジェームズ・アール・ジョーンズ)を探して会えるんですけど、テレンス・マンのモデルがサリンジャーで、原作小説ではサリンジャーの名前になっていることが当時買ったパンフレットに書かれてた気がします。
なので『フィールド~』も本作も、会えないと思ってた人に会えちゃう展開でワクワクするんですが、『フィールド~』はフィクションですが、本作もフィクションだと思って観てました。
公式サイトの監督プロフィールにも、「これは実話で僕に起きた出来事だ。映画内でサリンジャーに会いに行くまでは、話の85%が僕の実体験で、それ以降の話では99%が僕の実体験になっている。」と書いてあったので、サリンジャーに会えた部分は創作なんだろなぁと思ったんですけど、本当に会ってたみたいでこれにはビックリしました。
それとこの映画を爽やかにしてるのが、ジェイミーに理解があって、運転免許も車も持ってないジェイミーに代わり車を出して運転までしてくれるディーディーの存在で、演じるステファニア・オーウェンの可愛らしさもあって魅力的なんですが、この人物は創作のようで、そこまで人生は映画的にはいかないかと思いました(笑)
上のインタビューを読むと、映画ではディーディーの協力もあって、サラッとサリンジャーを見つけられて他力本願な感じもしましたが、実際は監督自身が色々調べたようで、そのエピソードの方が「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」というメッセージが伝わってきたんじゃないかと思うんですが、作品としてもディーディーの魅力にジェイミーが負けちゃってる気がしたので勿体無い気がしましたね。
監督のインタビューを読むと、テレビ業界ではサリンジャーと会った話は有名だったようで、監督も積極的にその話を周囲にしてたんだと思いますが、高校生ぐらいで思いを行動に移して憧れの人に会えた経験というのは、その後の人生での大きな自信に繋がったと思いますし、そのエピソード自体も大きな価値を生んだと思われますが、「やるか、やらないか」とか「いつやるか?今でしょ!」といった言葉が頭に浮かびました。
ということで、鑑賞中はフィクションだと思ったサリンジャーとの出会いが、本作の一番のキモだと思うんですが、何かそんな話あったなと思い出したんですが、アラファト議長と会ったナオト・インティライミさんでした(笑)
あと未見ですが『デート・ウィズ・ドリュー』とか。
映画自体は爽やかな青春映画で、まぁまぁ面白いという感じでしたが、監督のインタビューのエピソードの方が面白くて、本作を作る過程なんかも「ググって調べた」とか、ちょっと『ブリグズビー・ベア』感もある感じがしました。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2018年 175作品目 累計157600円 1作品単価901円
コメント
感想記事を楽しく読ませて頂きました。
「ライ麦畑」を少年時代に読んでいた自分としては、劇中のサリンジャーの発言に賛同していまいましたw(実写化を絶対に拒否したサリンジャーの判断は正しい!!)
舞台化については一歩もゆずらないサリンジャーでしたが、純粋に自分の作品を愛してくれる少年に対してどこか嬉しいという気持ちも垣間見える演技が個人的には好きでした。
この映画についての情報が知りたかったので、eigamanzaiがここで紹介したサイトも見てみようと思います。
ありがとうございました。
AO野菜さん、コメントありがとうございました。
実在するサリンジャーを演じるのは勇気が要ったであろうクリス・クーパーの演技よかったですよね。
自分はまさかサリンジャー出てくるとは思わなかったので出てきたときは嬉しくなりました。
ブログ訪れていただきありがとうございました。