ノーラン+三谷幸喜みたいな感じ? ☆5点
映画や演劇、俳優養成の専門学校ENBUゼミナールによるシネマプロジェクト第7弾で製作費300万円の低予算ゾンビ映画+α。
監督は短編映画で国内外の映画祭で受賞している上田慎一郎で長編劇場映画デビュー作品。
キャストはオーディションで選ばれた無名俳優陣。
予告編
映画データ
本作は2018年6月23日(土)公開で、新宿のK’s cinemaと池袋シネマ・ロサの都内2館のみでの公開でしたが、シンデレラストーリーは以下の通りです。
自分は劇場では予告編を見てなくて、公開されるのも知らなかったんですが、公開されると評判がいいのは漏れ伝わってきて、見たいなと思いました。
しかし、K’s cinemaでは連日満席のようでしたし、両館ともオンライン予約できないので、見るのを諦めてましたが、アスミック・エースによる配給が決まり、拡大公開されたため見ることが出来た次第です。
本作のヒットの仕方は、同じようにワークショップから派生した低予算映画で2013年に公開された『恋の渦』を思い浮かべたんですが、それを遥かに凌駕する勢いで日本では前例が無い感じだと思います。
アメリカでの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年)』や『パラノーマル・アクティビティ(2009年)』に似てきた感じで、今年の邦画実写興収トップテンに入ってきたら面白いなと思います。
本作を鑑賞するにあたり、特にネタバレを避けてた訳ではありませんが、予告編は見ておらず、ワンシーンワンカットのゾンビ映画である、というくらいの知識での鑑賞です。
監督は上田慎一郎さん
これまで短編を中心に8本の映画を監督し、国内外の映画祭で20のグランプリを含む46冠を受賞してるそうですが、初めて名前を知りました。
本作が劇場長編デビュー作になるそうです。
主演や共演はホントに無名の方ばかりなので公式サイトのキャストをご覧下さい。
(↑関西弁のプロデューサー役の竹原芳子(どんぐり)さん強烈だったなぁ(笑))
他に共演と配役は以下の通りです。
日暮隆之(監督): 濱津隆之
日暮真央(監督の娘): 真魚
日暮晴美(ポンッの人): しゅはまはるみ
松本逢花(ヒロイン): 秋山ゆずき
神谷和明(イケメン): 長屋和彰
細田学(アル中): 細井学
山ノ内洋(腕取れちゃう人): 市原洋
山越俊助(坊主の人): 山崎俊太郎
古沢真一郎(プロデューサー): 大澤真一郎
笹原芳子(関西弁の人): 竹原芳子(どんぐり)
吉野美紀(スクリプター): 吉田美紀
栗原綾奈(撮影スタッフ): 合田純奈
松浦早希(撮影スタッフ): 浅森咲希奈
谷口智和: 山口友和
藤丸拓哉: 藤村拓矢
黒岡大吾: イワゴウサトシ
相田舞: 高橋恭子
温水栞: 生見司織
あらすじ
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画を撮影していた。本物を求める監督は中々OKを出さずテイクは42テイクに達する。そんな中、撮影隊に 本物のゾンビが襲いかかる!大喜びで撮影を続ける監督、次々とゾンビ化していく撮影隊の面々。
”37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイバル!”……を撮ったヤツらの話。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
なるほど、本作は予告編や公式サイトが既に若干ネタバレ気味であるのですね。
自分は「……を撮ったヤツらの話」を知らないで観たので、純粋に楽しめました。
ワンシーンワンカットのゾンビ映画だと思っていたので、同じホラー映画でワンシーンワンカットの『ある優しき殺人者の記録』みたいなのを思い浮かべて観てました。
本作の序盤は、廃墟でゾンビ映画を撮ってたら、本物のゾンビに襲われるという話でしたが、観てる最中は「じゃあ、これは誰が撮ってるんだろう?」とか思って観てました。
「POVじゃないと成り立たないじゃん」とかツッコミ入れつつ観てたんですけど、37分経つとエンドロールが流れ『ワンカット・オブ・ザ・デッド』という劇中映画であることが分かります。
そしてここになってやっと本作『カメラを止めるな!』のタイトルや監督クレジットが出てきます。
この中盤くらいにタイトルが出てくるのは『ヒメアノ~ル』方式ですね。
非常に長い前フリといいますか、オープニングといいますか、そういう感じです。
で監督クレジットが出てくると、時間軸は1か月前に戻り、「なるほどそういうことだったのか!」(予告編を見ていなければ)と分かる次第です。
劇中映画内の監督・日暮は、ゾンビ専門チャンネルの開設に伴い、30分の生放送でゾンビ作品を撮って欲しいと依頼を受けます。
そしてプロットは「廃墟でゾンビ映画を撮影してたクルーが本物のゾンビに襲われる話」で、しかもワンカットで撮って欲しいと言われます。
「早い、安い、それなりの仕上がり」を自負していた日暮でしたが、いくら何でもゾンビ作品を生放送でワンカットは無謀だと言いますが、結局押し切られる形で引き受けることになります。
1か月先の生放送を目指して稽古の様子が描かれますが、ここでは一癖も二癖もある出演者たちの様子が描かれます。
そしていざ本番を迎えると、様々なトラブルに見舞われ、『ワンカット・オブ・ザ・デッド』で違和感を感じたシーンが、実はトラブルによるものだったことが明らかになるいう仕掛けで、ここが本作の肝になります。
この後半部分のドタバタ劇は所謂グランドホテル方式で『ラヂオの時間』や『ザ・マジックアワー』などの三谷幸喜作品っぽい感じがしました。
特に生放送のラジオドラマがグダグダになっていく展開の『ラヂオの時間』に似てたんじゃないかと思いましたが、上田監督がインタビューで既に答えてました。
2016年に放送された「トットてれび」の第3話でも生放送ドラマのドタバタ劇が描かれてました。
ただ、本作が優れていたのは、時間軸を『ラヂオの時間』みたいに通常通り見せないで、観客に生放送を疑似体験させてから、タネを明かしていったことです。
手品だったら、先に手品を見せてからタネ明かししてく感じです。
先にタネ明かしされて手品見せられても面白さ半減しますからね。
この辺の終わりから見せる展開はクリストファー・ノーラン監督の『メメント』みたいで非常に上手かったなと思います。
あとは、そうですね、人間ピラミッド のくだりが『湯を沸かすほどの熱い愛』みたいだなと思って、邦画の良作に人間ピラミッド必須だなと思ったりしました。
あと、劇中内の日暮監督が生放送でのトラブルに対処する中で、監督や父親としての威厳を取り戻していくのもよかったですよね。
それにしても現在、「カメラを止めるな」で検索すると何かしら新着のニュース記事が毎日引っ掛かる感じで、これは非常にいいことだと思いますね。
アンチが湧くっていうのも、それだけ認識されてるってことですもんね。
俳優陣では「よろしくでーす」と甘ったるい声を出してたアイドル松本逢花役の秋山ゆずきさんが小島みなみさんに似てて可愛いなと思ったのですが、これからブレイクするんじゃないかと思いました。
久しぶりに水着ちゃん👙
久しぶりの#グラドル自画撮り部
だね( *ˊᵕˋ)✩︎‧₊
グラドルちゃんぢゃ
ないけど( ・ᴗ・̥̥̥ ) pic.twitter.com/hY2xwnQObU— 秋山ゆずき (@akiyamayuzuki) 2015年6月5日
秋山に水着需要ってあるのかな?
水着になった所で
撮ってくれる人っている?#水着#撮影会 pic.twitter.com/MAxMEgUKQL— 秋山ゆずき (@akiyamayuzuki) 2016年4月3日
こちらも映画同様、シンデレラストーリーになったらいいなと思います。
映画の方は8月17日現在54館で上映中のようですが、8月下旬から9月いっぱいにかけて100館以上増えるので、10億といわず20億、30億とヒットして欲しいなと思います。
8月21日に雑誌FLASHに突然、盗作騒動が掲載されましたが、元となる舞台があったようですね。
カメラを止めるな!
めちゃ面白かった。
作り手のみんな、映画が好きなんだなぁと思えた。
あの頃命かけて大好きな仲間と作ってた作品がこんな感じで命を与えられてて、本当にうれしかった。
最高でした。#カメ止め #カメラを止めるな pic.twitter.com/DDL08m7Tzu— ワダリョウイチ (@Rookey_rw) 2018年7月8日
ワダさん、ありがとう!!楽しんでもらえて良かった。嬉しい。 https://t.co/HzAMG2Nxqv
— 上田慎一郎 (@shin0407) 2018年7月8日
上田さん、最高でした。めっちゃ映像で遊んでましたね!大谷さんと一緒にゲラゲラ笑いながら見てました!
すごく面白くて、あんなに会場中がみんな笑ってるいい空気感の映画は初めてでしたよ!
なんだかめっちゃうれしかったです!
最高!
たぶんまた見に行きます!— ワダリョウイチ (@Rookey_rw) 2018年7月9日
自分の感覚では原案が妥当な気がしますが、いい落としどころが見つかるといいですね。
鑑賞データ
TOHOシネマズ上野 1か月フリーパスポート 0円
2018年 128作品目 累計123100円 1作品単価962円
コメント