アクションとビジュアルが凄い ☆4点
2004年に公開された『Mr.インクレディブル』の14年ぶりの続編で第20作目となるピクサーアニメ。
前作から3か月後を描いた作品で、監督も前作から引き続きブラッド・バード
声の出演も前作から引き続きクレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター、サミュエル・L・ジャクソン
同時上映にドミー・シー監督の短編映画『Bao』
予告編
同時上映短編『Bao』予告編
映画データ
本作は2018年8月1日(水)公開で、全国364館での公開です。
ピクサー制作のディズニー配給作品です。
北米では2018年6月15日(金)公開で、公開3日間のオープニング興収が1億8200万ドルと、2016年に公開された『ファインディング・ドリー』の1億3510万ドルを抜き、アニメ映画歴代1位のオープニング興収となっています。
また公開4週目には北米での興収がアニメ映画としては初めて5億ドルを突破し、累計興収も歴代1位のアニメ映画となっています。
実写映画を併せても北米での累計興収が5億3千万ドルだった『ダークナイト』を抜き、歴代9位の大ヒット作となっています。
前作は映画館で観た記憶があるのですが、その1回しか観てないので内容は忘れましたが、面白かった記憶はあります。
本作は2D字幕版で鑑賞しました。
監督はブラッド・バード
アニメ映画は『Mr.インクレディブル』や『レミーのおいしいレストラン』を監督してますが、ここ2作は実写映画の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』と『トゥモローランド』を監督してました。
キャラクターと声の出演は以下の通りです。
ボブ・パー/Mr.インクレディブル: クレイグ・T・ネルソン
ヘレン・パー/イラスティガール: ホリー・ハンター
ヴァイオレット・パー: サラ・ボーウェル
ダッシェル(ダッシュ)・パー: ハック・ミルナー
ジャック・ジャック・パー: イーライ・フシール
エヴリン・デヴァー: キャサリン・キーナー
ウィンストン・デヴァー: ボブ・オデンカーク
ルシアス・ベスト/フロゾン: サミュエル・L・ジャクソン
トニー・ライディンガー: マイケル・バード
ヴォイド: ソフィア・ブッシュ
エドナ・モード: ブラッド・バード
ヘレクトリクス: フィル・ラマール
大使: イザベラ・ロッセリーニ
チャド・ブレントリー: アダム・ゲイツ
リック・ディッカー: ジョナサン・バンクス
アンダーマイナー: ジョン・ラッツェンバーガー
スクリーンスレイヴァー: ビル・ワイズ
あらすじ
悪と戦い、人々を守ってきたヒーローたち。
だが、その驚異的なパワーに非難の声が高まり、彼らはその活動を禁じられていた——。
そんなある日、かつてヒーロー界のスターだったボブとその家族のもとに、復活をかけたミッションが舞い込む。
だがミッションを任されたのは――なんと妻のヘレンだった!
留守を預かることになった伝説の元ヒーロー、ボブは、慣れない家事・育児に悪戦苦闘。
しかも、赤ちゃんジャック・ジャックの驚きのスーパーパワーが覚醒し・・・。
一方、ミッション遂行中のヘレンは“ある事件”と遭遇する。
そこには、全世界を恐怖に陥れる陰謀が!
ヘレンの身にも危険が迫る!
果たして、ボブたちヒーロー家族と世界の運命は!?(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
詳しいストーリーはムービーウォーカーやウィキペディアからどうぞ。
あー、すっかり忘れてんですが、アベンジャーズでのソコヴィア協定みたいにヒーロー活動が禁止された設定だったんですね。
そして本作では、スーパーヒーロー保護プログラムが廃止(社会保障から漏れた人みたい)されて、パー一家がモーテルで暮らさなければならなくなる程、窮地に陥いるんですが、何かもう『フロリダ・プロジェクト』みたいで泣けてきました(ディズニー繋がり)
しかし、この窮地を通信会社を率いる実業家でスーパーヒーローが大好きなお金持ちであるウィンストン・デヴァーが救ってくれます。
まずはパー一家が快適に暮らせるよう豪邸を貸し与えてくれてます。
そしてスーパーヒーローの活動を可視化(GoProみたいの付けて)することによって市民の理解を得て、スーパーヒーローの活動が再び許されるように働きかけていきます。
このウィンストン・デヴァーはいい人で、それまで50万ドルの製作費の映画しか作ったことの無かったギャレス・エドワーズに、製作費1億6千万ドルの『GODZILLA ゴジラ』をポンと任せたレジェンダリー・ピクチャーズを率いてたトーマス・タルみたいな人で、スーパーヒーローオタクです。
そして今回は手始めにイラスティガールに任務を依頼するので、夫であるMr.インクレディブルは自宅で待機し主夫をすることになります。
今夏のアニメ映画では、邦画の『未来のミライ』も主夫映画だったので奇しくも被るんですが、どちらも育児に家事に悪戦苦闘する様子が描かれます。
ただMr.インクレディブルの方が子供たちと向き合った上での寝不足だったりとかしたので、未来のミライのおとうさんよりは不快に感じないと思います。
寝不足に陥ったMr.インクレディブルが、ジャック・ジャックのスーパースーツを作るためにエドナ・モードにジャック・ジャックを預けると、自身の睡眠不足は解消され、エドナにも母性が芽生えるのが、本作でほっこりしたところで同時に面白かったところでもありました。
何というか、他人に頼ることで見えてくるものがあると言いますか。
【「ベビーシッターを敬遠する」日本人のナゾ】 高い?育児放棄?はたしてその実態は… : https://t.co/wZCCHqgeWk #東洋経済オンライン
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) 2018年5月4日
さて、本作の敵はスクリーンスレイヴァー(画面の奴隷商人=まさにメディアコングロマリットに寡占されてる現在)で、あらゆるモニターをジャックすると映像を通して視聴者をマインドコントロールしてきます。
本作では、まず最初に電車の運転士が、運転席モニターを通してマインドコントロールされ、電車が暴走してしまいます。
ATS(自動列車停止装置)があるじゃないかというツッコミもありますが、スクリーンスレイヴァーの正体であるエヴリン・デヴァーがハッキングしてるんでしょう。
最近では電車内の広告もデジタルサイネージですし、職場ではパソコン、プライベートではスマートフォンにタブレットと、テレビだけだった昭和の時代と違ってあらゆるところにモニターが溢れています。
昨今はスマートフォンの普及に伴いブルーライトの弊害なんかも叫ばれたりしますが、テレビが登場した頃に言われたのは「一億総白痴化」でした。
スクリーンスレイヴァーを観て、真っ先にイメージしたのはデヴィッド・クローネンバーグ監督の『ヴィデオドローム』です。
ヴィデオドロームと同じ頃にメディア支配による弊害を描いた作品に『マックス・ヘッドルーム』なんかもありました。
あらゆるところに設置してあるモニターやディスプレイから情報が目に飛び込んできて、知らず知らずのうちに影響されてる確率は現在の方が高いのでしょうが、本作の世界観となっているミッドセンチュリー(1940年代~60年代)もちょうどテレビが普及しだしてきた頃で、後から(80年代~90年代)ですがサブリミナル的なものが有ったんじゃないか?と言われていた頃でもあり、マスメディアが誕生してからの永遠のテーマなんじゃないかと思います。
本作のヴィランであるエヴリンは、兄ウィンストンがスーパーヒーローの活動を合法化しようとしてるのに対し、表向きは協力するフリをしながら裏で妨害活動をしてますが、 それは人々がスーパーヒーローに頼り過ぎるのはよくないと考えてるためです。
エヴリンの両親は兄同様にスーパーヒーローの熱烈な支持者で、自宅に強盗が入った際にヒーローに助けてもらおうとした為、逃げ遅れて亡くなったのですが、スーパーヒーローの活動が法律で禁止された直後だった為、ウィンストンは法律のせいだと考えますが、エヴリンはスーパーヒーローに頼るのがそもそも間違ってるんじゃないか?と考えた訳です。
この辺は、世界を巡る安全保障の問題と似ていて非常に悩ましいところで、エヴリンが単純なヴィランではなく、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のサノスのように描かれてると思います。
ただ、正直テーマに関しては、「マーベル・シネマティック・ユニバース」や「DCエクステンデッド・ユニバース」のようなアメコミヒーロー映画が量産される昨今では、目新しいものでは無くなってる気がします。
なのでテーマ的にはそれらが作られる前に公開された前作の方が高いと思いますが、本作の見どころは14年ぶりに作られたことによってパワーアップしたCGにあると思います。
冒頭のアンダーマイナーとの戦いのアクションシーンからカメラワークなどが凝っていて見どころがありましたが、能力の覚醒を目の当たりにすることになるジャック・ジャックの描写が圧巻でした。
炎に包まれるシーンとか凄くないですか?ビックリしちゃいました。
ちなみに前作での炎に包まれるシーン。
水野晴郎さんじゃないですけど、「いやぁ、テクノロジーの進歩って本当にいいもんですね~」と思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日比谷 1か月フリーパスポート 0円
2018年 133作品目 累計125100円 1作品単価941円
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