おもしろかったなー! ☆5点
予告編
映画データ
あらすじ
「なにも起こらない日々」に焦りを感じながら、ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田(濱田岳)。
同僚の安藤(ムロツヨシ)に、想いを寄せるユカ(佐津川愛美)との恋のキューピット役を頼まれ、ユカが働くカフェに向かうと、そこで高校時代の同級生・森田正一(森田剛)と出会う。
ユカから、森田にストーキングされていると知らされた岡田は、高校時代、過酷ないじめを受けていた森田に対して、不穏な気持ちを抱くが・・・。岡田とユカ、そして友人の安藤らの恋や性に悩む平凡な日常。
ユカをつけ狙い、次々と殺人を重ねるサイコキラー森田正一の絶望。今、2つの物語が危険に交錯する。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
吉田恵輔監督作はひょんなことから観た『ばしゃ馬さんとビッグマウス』が思いのほか面白くて、近年見た邦画の中でも”桐島”に匹敵するくらい良くて、自分の中では要注目の監督さんです。
その後の『麦子さんと』と『銀の匙 Silver Spoon』も劇場で観ました。
本作『ヒメアノ~ル』は、予告編の前半と後半ではガラッと変わる雰囲気や、自分が好きなサイコスリラーのジャンルということもあって大変楽しみにしていました。
「行け!稲中卓球部」でお馴染みの古谷実さんの漫画原作は未読です。
映画は冒頭から濱田岳さんとムロツヨシさんの演技が、吉田演出にピタリとはまって何とも面白い空気を醸し出していました。
吉田監督の演出は、何気ない日常をゆる~い感じで描くのが特徴で、そこの部分がとても上手くて面白いのです。
ばしゃ馬さんでも居酒屋のシーンがあったのですが、今作の居酒屋シーンなどもとても面白かったです。
で、今までの吉田作品は人情喜劇のドラマ作品が主で、サイコスリラーのジャンルなんて想像もつかなかったんですけど、映画が始まって何十分後(4~50分後?)に現れたタイトルクレジットから一気にサイコスリラーに突入して、そのチェンジオブペースぶりといったら見事でした。
前半でゆる~い日常部分を描きながら、森田剛さん演じる森田正一の不穏さをちょくちょく挟み込み、後半それを一気に回収する展開は原作通り?だとしても、とても上手かったなぁと思います。
本作で特筆すべきは、やはり森田剛さんの演技で、あの雰囲気は凄かったです。
最初に濱田さんと会話する喫茶店のシーンでの空気感とか、平気で嘘を付く感じ、「この人、何を言ってるんだ?」みたいになる空気感は、『冷たい熱帯魚』のでんでんさんを彷彿させました。
日本映画でも稀にみる殺人鬼役だと思います。
吉田監督はばしゃ馬さんでも関ジャニの安田章大さんを起用してたのですが、このときの安田さんも非常に素晴らしくて、ジャニーズ使いがとても上手いなと思います。
本作に森田さんをキャスティングしたのも、森田さんの舞台での演技を見ていたからだそうで、キャスティング能力は非常に高いと思います。
またキャスティングといえば、森田にたかられている同級生・和草役の駒根木隆介さんとその彼女役の山田真歩さんは、入江悠監督の『SRサイタマノラッパー2』で共演してて、そこでの演技がとても良かったのですが、今作もとてもよかったです。
あの二人の殺され方で、森田の恐ろしさが更に引き立ちました。
濱田岳さんはおっぱい揉んだり安定の役得(笑)
ムロツヨシさんは言わずもがなの演技で素晴らしかったです。
佐津川愛美さんは初めて見た女優さんなんですが、前田敦子さんに似てるなと思いました。
ウィキペディア見たらかなり映画に出演されてて観た映画もあるんですが気づかなかったです。
これから要注目の女優さんだと思いました。
ところでラストは原作と違うんですかね?
仮に違ってたとしても、あれは良い改変で、吉田監督らしい優しさに溢れた展開だったなと思います。
サイコスリラーを観に行ってまさか泣く展開になるとは思いもよりませんでしたが、鑑賞後感を良いものにしてたと思います。
傑作です。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木 シネマイレージデイ 1400円
2016年 58作品目 累計68100円 1作品単価1174円
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