結構面白いですよ ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
世界有数の人口過密都市、東京・渋谷。昼夜関係なく人が行き交う雑踏に真っ黒に染まった凶悪な街の住人たちが紛れ込んで生きている。
ハロウィンの夜、渋谷スクランブル交差点で起きたある事件をきっかけに、気弱で心優しい草食男が彼らの標的となった。
巻き込まれたのは元中学校教師の【鈴木】(生田斗真)。
彼が場違いな黒社会に身を置くきっかけとなったのは、無差別で凄惨なあの事件によって殺された婚約者【百合子】(波留)の復讐のためだった。百合子が息絶えた事件現場で「本当の犯人は別にいる」というメッセージが書かれたメモを拾った鈴木は、そこに書かれたフロイラインという会社に潜入。
事件の背景に裏社会のドン【寺原会長】(石橋蓮司)とイカれた二代目【寺原Jr.】(金児憲史)の存在があることを知る。
そんな矢先、またもや渋谷で事件が起きる。
今度のターゲットは、なんと寺原Jr.。
鈴木は、寺原会長の腹心でフロイラインの女性幹部【比与子】(菜々緒)の命令で、寺原Jr.を襲った殺し屋【押し屋・槿】(吉岡秀隆)を追いかけるはめになる。
しかし、状況は二転三転、鈴木は組織から追われる身に……。また一方では、組織と繋がる殺し屋たちが蠢いていた。
人を絶望させる不思議な力を持ち“自殺屋”と呼ばれる自殺専門の殺し屋【鯨】(浅野忠信)。
彼を消すことを依頼された裏社会の交渉人【岩西】(村上淳)と、その相棒にして驚異的な身体能力を持つナイフ使いの若き殺し屋【蝉】(山田涼介)。
圧倒的な力を持ちながらも闇の中でもがく彼らの生きざまは非情ながらもどこか悲哀に満ち、黒社会での生き方を模索しているようでもある。
そして、出会うはずのなかった殺し屋たちと鈴木が交わるとき、意外な真実が明らかに。
果たして、鈴木は目的を果たし、この世界から抜け出すことができるのか──。(公式サイトhttp://www.grasshopper-movie.jp/about/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
えーと、伊坂幸太郎さんの原作は未読です。
ヤフー映画の評価が3.2弱だったのであんまり面白くないのかな?と思ったんですが、先の読めないストーリー展開で面白かったです。
主人公の鈴木役は生田斗真さんですが生田さん目当てだと少し辛いですかね。
同じ瀧本監督作で主演した『脳男』に比べ、鈴木は平々凡々な人間なので。
やっぱり周りの殺し屋たちの方が魅力的なので、そっちに持ってかれちゃいますね。
ナイフ使いの蝉役の山田涼介さんが一番光ってたんじゃないでしょうか。
岩西役の村上淳さんといいコンビでした。
自殺屋の鯨の浅野忠信さんと押し屋の吉岡秀隆さんの雰囲気は安定してますよね。
菜々緒さんも今回の役やドラマ・サイレーンの橘カラみたいな役とかすごくハマってると思います。
まー、映画の印象としては「殺し屋狂想曲」ですかね。
物語の筋はちゃんと見てれば早めに分かります。
鯨と蝉の依頼人は寺原達で都合が悪くなりそうになると殺し屋同士を戦わせる。
押し屋は寺原の息子を殺してるので、寺原達の敵であるだろうと想像つきます。
あとその際にいた謎の二人の男たちも正体不明でしたが、鈴木の命を脅かすことはなかったですし、鈴木の仇の1人を討ってくれたのでどちらかというと味方っぽそう。
鈴木が押し屋の家に入って家族と食事するシーンでは麻生久美子さんの表情から本当の家族ではないかな?と。
いわば家族のふりをする家族屋。
それでこの辺まで観てて、押し屋の家族の下の子が、鈴木の亡くなった恋人が救った子供なんじゃないかな?と思いました。
なので最後の種明かし見るまでは麻生さんが押し屋の依頼人で鈴木へのお礼に寺原の息子殺しを依頼したんじゃないかと思いました。
結果は外れてましたが当たらずとも遠からず。
鈴木の教え子で拉致された少女も、寺原会長が自宅を出たら自力で手錠を開錠したので、こいつも殺し屋だな、と。
しかも寺原会長を狙う方の殺し屋。
ということは押し屋なんかと同じグループ。
押し屋と教え子少女と謎の二人はここで鈴木の味方確定でした。
鯨と蝉の戦いはもう悲しいですよね。
殺し合いをさせようとした元々の依頼人の寺原は既に死んでるので戦う意味はないのですが、蝉は岩根の仇をとらなくちゃいけない。
鯨と蝉の決着は殺し屋の悲しい性ですね。
浅野さんと山田さんが幽霊になってキャンピングカーに乗って、って『岸辺の旅』かと思いました(笑)
瀧本智行監督ですが、演出が黒沢清監督っぽい感じがしましたね。
特に押し屋の家でのシーンとか押し屋と鈴木が公園にいるときとかの無機質な感じが。
伊坂さんの本は読んだことないのですが、映画は『アヒルと鴨のコインロッカー』と『重力ピエロ』を見ていてこの2作は雰囲気が似てるなと思ってましたが、今作は何か伊坂さんっぽくない作品だと思いました。
前記2本の舞台が仙台で、今作は一転して渋谷だからかもしれません。
あ、でもどんでん返し的なオチがきちんとあるところは伊坂さんらしいですかね。
そんなにつまらないとは思えなくて、酷評してる人はちょっと理解力が低いか、原作が命の人ですかね。
たぶん原作とは色々違うんでしょうけど、うまく纏めてたと思います。
きっと小説に比べると「グラスホッパー」という題の意味は薄まってるのでしょうが、自分としては前述したように殺し屋狂想曲として十分に楽しめました。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日本橋 ファーストデイ 1100円
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