イット・フォローズ 評価と感想/ホラーの形態をとりつつも哲学的観念的な映画

イット・フォローズ 評価と感想
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人とつながるということ  ☆5点

予告編

映画『イット・フォローズ』予告編

映画データ

イット・フォローズ (2014) - シネマトゥデイ
各国の映画祭で高い評価を獲得し、クエンティン・タランティーノも絶賛の声を寄せたホラー。ある男との性行為を機に、他者には見えない異形を目にするようになってしまった女性に待ち受ける運命を見つめる。
イット・フォローズ|映画情報のぴあ映画生活
『イット・フォローズ』は2014年の映画。『イット・フォローズ』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

あらすじ

ある少女が恐怖におののきながら逃げ回っている。周囲の人からは一体何に怯えているのか分からない。少女は車に乗り込み、不安の表情で海岸まで走らせる。夜の海岸で両親に電話をする少女。泣きながら何かを後悔している。車のライトはつけたまま、相変わらず何かに怯えている。夜が明けると少女は無残な姿で死んでいた。

ジェイ(マイカ・モンロー)は好意を寄せる男の子ヒュー(ジェイク・ウィアリー)とデートをし、映画館の行列で暇つぶしに「誰になり替わりたいかゲーム」をしている。お互い周囲にいる人の誰になり替わりたいかを当てる他愛のないゲームだ。ヒューが当てる番になり、劇場の入り口に立っている黄色い服の女性を指さしていると言うのだが、ジェイにはそこに誰がいるのか全く見えなかった。途端にヒューは具合が悪くなったと映画館から出てしまう。ジェイはそんなヒューを不思議に思うも、遂に一夜をともにすることに。しかし、事が終わるとヒューが突然、睡眠薬を染み込ませた布でジェイを気絶させる。

意識を取り戻したジェイは廃墟にいた。下着のまま、イスに手脚を縛り付けられた姿で。ヒューはそこでジェイに話し始める。「あるモノがつけてくる。俺が感染した“それ”をさっき車の中で君にうつした。“それ”は時には知人に、時にはまったく知らない人に姿を変える。いろんな人間に見えるが、実態は1つだ。今から起きることをよく見ているんだ。」その直後、遠くから裸の女性がゆっくりと近づいてくるのが見える。ジェイは“それ”に殺される前に誰かにうつせ、と命令され、家の前に置き去りにされる。

その日からジェイだけに“それ”が見えるようになる。あるときは学校の廊下に老婆の姿で現れ、またある時は家の中に見たこともない大男の姿で現れ、またあるときは友人の姿で現れ、ゆっくりと近づいてくる。限りなく人間に近い姿で一直線に歩いて迫ってくる“それ”は近くにくるまで識別できない。

“それ”はゆっくりと歩いてくる。“それ”は人にうつすことができる。“それ”はうつされた者にだけにだけしか見えない。“それ”は様々な人間の姿になり変わる。 “それ”はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。そして、“それ”に捕まったら必ず死が待っている。

果たしてジェイは、いつ、どこで現れるか分からない“それ”の恐怖から逃げきることができるのかー。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

”それ”は人からうつすことができる。
”それ”はゆっくりと歩いてくる。
”それ”はうつされた者にしか見えない。
”それ”に捕まると、必ず死ぬ-。

アメリカでは”それ”が何?なのかで盛り上がってヒットに繋がったみたいですが、所謂、低予算で思いがけずヒットしたホラー映画で期待して観に行くと、期待を裏切られると思いますし、低評価になると思います。

もう少し哲学的・観念的な映画で、”それ”が何なのかに思いを巡らせないとこの映画は面白くないと思います。

ストーリーの骨格は和製ホラーの金字塔『リング』に近いものがあると思います。
”そのビデオを見ると、一週間後に死ぬ”
”しかし誰かに見せれば死は回避できる”

リング
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映画『リング』では自分の子供が偶然ビデオを見てしまって、その子供を助けるために誰かにビデオを見せねばならない母親の葛藤も描いていて、単なるホラーに留まらず家族愛とか親子愛とかも描いていたと思うのですが、この映画もテーマはわりとそういうところにあるんじゃないかと思いました。

私が考える”それ”とは、我々が日々暮らす中で感じる”不安”とか”恐れ”みたいなものだと思います。

でもその不安とか恐れといった恐怖が無いと、人間はわりとあっさりと死ぬと思います。
高いビルの屋上でも怖くない、駅のホームの端を歩いても怖くない、車が沢山通る大通りを横断しても怖くない。等々…

主人公のジェイ(マイカ・モンロー)はプレイボーイな感じのグレッグ(ダニエル・ゾヴァット)とセックスして”それ”をうつしますが、”それ”にあまり恐怖を感じなかったグレッグはあっさり死んでしまいます。

”それ”はうつされた方は100%見え、うつした方もしばらくは見えます。
つまり恐怖を共有出来るのですが、それは相手の不安や恐れといったものを思いやることに繋がるわけで、希薄な人間関係では成り立ちません。

この映画、見ず知らずの人間とセックスすれば”それ”をうつせますが、それだと問題解決にはなりません。
うつした人間が死んでしまえば”それ”は自分の元へ帰ってきてしまうからです。

なので、うつした人間をどうやって生かすかになると思うのですが、それってもう家族とかの関係になる訳で、”それ”という恐怖を共有して生きていく訳です。

幸いにして”それ”は突然にやってきません。
ゆっくりゆっくりと追いかけてくるだけです。
夫婦という二人の共同作業で乗り切っていくことが出来るのです。

ところでこのデヴィッド・ロバート・ミッチェルという監督、長編2作目だそうですが、カメラと音楽が素晴らしいです。
中々に力量がある監督だと思いまして、今後の作品は要チェックな気がします。

本作のテイストはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『複製された男』を彷彿させて、通り一遍なホラーとは一線を画してると思います。

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鑑賞データ

TOHOシネマズ六本木 TOHOシネマズデイ 1100円
2016年 3作品目 累計6500円 1作品単価2167円

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