トリックの上田教授曰く ☆4点
『なぜベストを尽くさないのか』と思わずにはいられない
阿部寛さん演じる良多が主人公の是枝裕和監督作品です。
予告編
映画データ
あらすじ
笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。
15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。
元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。
そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。
ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。
こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが―。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
是枝監督の映画を見るのは初めてです。
『そして父になる』も『海街diary』も見てません。
フジテレビでやってたドラマ「ゴーイングマイホーム」は見てました。
「風のガーデン」とか「北の国から」っぽい感じがして面白かったです。
本作はとりたてて何が起こるという訳でも無く、主人公・良多のクズっぷりにも1ミリも同情できないのですが、役者さんの演技で魅せてくれる面白い映画でした。
もう冒頭から母役の樹木希林さんと娘役の小林聡美さんの自然な演技に引き込まれてしまいました。
まあ、どうでもいいことを喋ってるんですが、ホントにそのお宅に伺って話を聞いてる感じで自然でした。
逆にここでノレない人は、その後も何もないので厳しいかな?と思います。
主人公の良多に関しては金欠なくせにギャンブル好き。
金が無いのに見栄っ張りで母親のお金をくすねようとしたり、40も過ぎてホントどうしようもない大人なんですが、世間に溢れてるニュースを見ますと実際そういう人もいるので、リアルといえばリアルなんですよね。
カルピスを薄目に作って凍らせるとか、冷凍したカレーでカレーうどん作るときに見える冷凍庫の中とか、私達の普段の生活感あるあるです。
そんな実際トレンディドラマのような部屋に住んでる奴多くないぞ、と。
舞台となった団地は実際、是枝監督が住んでた所みたいで、団地映画の傑作みたいなコピーも目にしましたが、最近では中村義洋監督・濱田岳主演『みなさん、さようなら』というのがありましたので似てるかなと思います。
映画は何が言いたいかテーマがドンっと出る作品でもなくて分かりづらいのですが、殆どの人は「成れなかった自分」というのがある訳で、でもそれでも生きていかなくちゃいけない訳で、そんな私達の背中をそっと押してくれる映画なのかな?と思います。
良多以外の登場人物はまたそれなりに生きていくでしょうし、良多は変わるか?といったら変わらないと思いますし、良多がその後、犯罪とかに手を染めなければいいかなぁ?くらいに思いました。
鑑賞データ
渋谷シネパレス メンズデー 1000円
2016年 56作品目 累計65700円 1作品単価1173円
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