疑惑のチャンピオン 評価と感想/ベン・フォスターの鬼気迫る演技は必見!

疑惑のチャンピオン 評価と感想
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ドーピングの為なら血液を入れ替えます ☆5点

自転車レースの最高峰ツール・ド・フランスで前人未踏の7連覇を達成しながらも、ドーピング疑惑が絶えなかったランス・アームストロングを13年に渡り追及してきた英サンデー・タイムス紙の記者・デイヴィッド・ウォルシュのノンフィクションを基に映画化。
監督はスティーヴン・フリアーズ、主役のアームストロング役にベン・フォスター、共演にジェシー・プレモンス、ダスティン・ホフマン

予告編

映画データ

疑惑のチャンピオン (2015):作品情報|シネマトゥデイ
映画『疑惑のチャンピオン』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:自転車レース「ツール・ド・フランス」を何度も制しながらも、薬物使用によりタイトルはく奪、競技から永久追放されたランス・アームストロングを描く伝記ドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/168294/

あらすじ

1993年にサイクルロードレースの最高峰〈ツール・ド・フランス〉にデビューした若きアメリカ人、ランス・アームストロング(ベン・フォスター)は、勝利への飽くなき野心に満ちあふれていた。
しかしスイスの薬局で血液中の赤血球を増加させる薬を購入し、レースで優勝した直後、激しく咳き込んで吐血してしまう。
医師から、重度の精巣ガンに冒されすでに脳にも転移していると宣告された彼は、絶望のどん底に突き落とされる。
過酷な大手術とリハビリを経て快復したアームストロングは、競技生活に復帰しチャンピオンに返り咲くため、スポーツ医学の権威であるイタリア人医師ミケーレ・フェラーリ(ギヨーム・カネ)の指導を仰ぐ。
フェラーリはサイクリストのパフォーマンスを向上させる独自のプログラムの実践者だった。
こうして再出発の態勢を整えたアームストロングは、1999年の第86回〈ツール・ド・フランス〉に乗り込み、驚異的な快走を披露して見事に優勝を果たすが、ガンを克服してのセンセーショナルな復活劇にかねてからアームストロングの才能を高く評価していたスポーツ・ジャーナリスト、デイヴィッド・ウォルシュ(クリス・オダウド)は疑念を抱く。
上り坂が苦手だったアームストロングが、短期間のうちにこれほど飛躍的にスピードが上昇するようになったのは、あまりにも不自然ではないかと……。
その後も彼は無敵の快進撃を続け、2005年の〈ツール・ド・フランス〉で7連覇を達成。
しかし、その偉業と共に巧妙な手口でドーピング検査をすり抜けながら、ウォルシュからの追及を躱し続ける闘いも繰り広げられていた。
サイクルロードレース史上に偉大な記録を打ち立てた最強のチャンピオン、ランス・アームストロング。
果たして彼は英雄か、それとも……。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

長い間タブー視されていた問題にジャーナリズムが切り込むという展開は、今年公開された『スポットライト 世紀のスクープ』に近いものを感じました。

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自分は熱心に自転車ロードレースを追っていた者ではないですが、ニュースなどで絶対王者アームストロングの名前は知っていました。
しかし彼がヒーローとなった要因にガンからの復活という背景があることまでは知らなかったです。

映画はドーピング描写が凄まじかったんですが、検査のために血液を入れ替えることまでやっていて、まさに人の形をしたマシーンで驚きましたね。

そしてドーピング描写も面白かったのですが、この話が面白いのが、アームストロングというヒーローの存在が自転車競技をよりメジャーなものにし、そこに様々な利権が生まれたため、彼のドーピング疑惑が、組織的に見て見ぬふりをされたことです。

彼のツール・ド・フランス7連覇はチームのサポートにより作られたチャンピオンであり、この問題の構造は2011年に起きた大相撲の八百長事件とわりと近い気がしました。

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1980年6月。ナンバー編集部のある編集者が、とても情熱的な記事を書きました。大相撲を愛するその編集者は、巻頭記事を自ら執筆し、また大特集のタイトルに、巻頭記事と同じ題名を付けました。「大相撲の『八百長』ってなんだ!?」

監督のスティーヴン・フリアーズの演出は、上映時間103分の中で13年の出来事を収めているので展開が早くて面白かったです。
人によってはもっと丁寧に描いて欲しいと思うかもしれませんが、個人的にはこれくらいがちょうどよかったです。

特筆すべきは、ランス役を演じたベン・フォスターの演技です。
演出の展開が早いからといって雑になることはなく、重要なシーンでは彼の演技をじっくりと見せてくれました。
ガンになる前と後の体つきも凄いですが、常に鼻先と顎がやや上を向いているような雰囲気は『フォックスキャッチャー』のスティーブ・カレルを彷彿しました。

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実際、役作りのためにドーピングまで行なったそうで(薬が精神にどういった影響を及ぼすか知るため)、賛否両論あるみたいですが、自分は彼の演技に鬼気迫るものを感じました。

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ただ、調べてみてもこの作品で何か主演男優賞を獲ったとかないみたいなので、勿体無いなぁと思いました。
個人的には今年観た中では『レヴェナント』のレオ様を超えて最優秀主演男優賞をあげたいくらいです。

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また脇役もいい感じでして、フロイド・ランディスを演じたジェシー・プレモンスはどこかで見た顔だなぁと思ったら「ブレイキング・バッド」に出てた人でした。
ブレイキング・バッドでも後からチームに加入するんですけど、すぐに先輩を尊敬して、簡単に悪事に手を染める役柄が本作と似ていて、こういう役似合ってるなーと思いました。

それから音楽もよかったです。
変な劇伴つけるくらいなら有名曲使っちゃえってことでラモーンズとかレディオヘッドとか流しててカッコよかったです。

この映画、全国で50館くらいなので小~中規模公開くらいになるんでしょうか?
大作ではないですが、なかなかの傑作で見て損はないと思います。おすすめです。

鑑賞データ

シネ・リーブル池袋 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2016年 77作品目 累計89900円 1作品単価1168円

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