日本で一番悪い奴ら 評価と感想/拳銃押収するための本末転倒さを描く

日本で一番悪い奴ら 評価と感想
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拳銃1丁2千万円 コスパ悪すぎw  ☆4点

予告編

映画データ

日本で一番悪い奴ら (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『日本で一番悪い奴ら』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『凶悪』などの白石和彌監督と『新宿スワン』などの綾野剛がタッグを組んだ、日本の警察における不祥事をモチーフにした作品。
日本で一番悪い奴ら : 作品情報 - 映画.com
日本で一番悪い奴らの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。実在の事件をもとに描いた「凶悪」で話題をさらった白石和彌監督が、2002年の北海道警察で起こり「日本警察史上最大の...

あらすじ

大学柔道部での腕を買われ北海道警察に勧誘された諸星要一(綾野剛)は26歳で北海道警察本部の刑事となるが、捜査も事務も満足にできず、周囲から邪魔者扱いされる。署内でも抜きんでた捜査能力を発揮する刑事・村井定夫(ピエール瀧)は諸星に、刑事が認められるには犯人を挙げて点数を稼ぐことが必要、そのためには協力者=S(スパイ)を作れ、と説く。諸星は自分の名刺をばら撒き、内通を得て暴力団組員を覚せい剤・拳銃所持で逮捕する。その功績で本部長賞を授与されるが、令状のない違法捜査に暴力団側が激怒する。幹部の黒岩勝典(中村獅童)と面会した諸星は無鉄砲な性分を買われ兄弟盃を交わし、黒岩が諸星のSとなる。諸星は31歳で札幌中央署暴力犯係(マル暴)に異動し、ロシア語が堪能な山辺太郎(YOUNG DAIS)を黒岩から紹介される。さらに太郎からロシアルートの拳銃横流しに精通するパキスタン人アクラム・ラシード(植野行雄)を紹介され、共にSとして付き合う。要人への銃撃事件の増加に伴い道警本部に銃器対策課が新設され、諸星は第二係長を拝命する。新設部署の面子のため手っ取り早く拳銃の摘発をしたいと上司に相談されると、所持者不明の銃をコインロッカーに入れて摘発を偽装する。これをきっかけに摘発手段はエスカレートしていき、ロシア人から1丁2万円でトカレフを購入して摘発件数を水増しするようになる。諸星は銃器対策課から予算を引き出し、太郎とラシードを拳銃の仕入れにロシアまで向かわせるが、1丁しか購入できなかった。そこで手頃な値段で拳銃を売る東京のヤクザを頼るが、拳銃が一般の宅配便で送られてきたため警視庁の知るところになり、この影響でヤクザの拳銃の販売価格が高騰する。諸星は資金不足を補うため、黒岩の提案でシャブを捌くことに。一線を越えた諸星は公私ともにSとの関わりを深めていく。黒岩はさらに大きな計画を諸星に持ち掛け、税関、道警を巻き込んだ日本警察史上最大の不祥事を引き起こす。

MovieWalkerより引用)

ネタバレ感想

『凶悪』の白石和彌監督作です。
『凶悪』は2013年のマイベストテンの5位にしていたので、今作は楽しみにしておりました。

凶悪 評価と感想/誰にでも凶悪になる要素はある
誰にでも凶悪になる要素はある ☆5点 予告編 映画データ あらすじ 雑誌ジャーナリスト・藤井に託された、死刑囚からの手紙。 そこには驚愕の内容が記されていた―― 自分は死刑判決を受けた事件の他に、誰にも話していない3つの殺人に関わっています...

今作の元ネタは言わずと知れた「稲葉事件」で北海道警の凄まじい不祥事を描いた稲葉氏自身の著作「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」がベースとなっています。

この事件は当時のニュース報道でリアルタイムで知っていますが、さすがに断片的な情報しか知らなかったので、今作で事件の全容が、なるほどよくわかりました。
タイトルで”日本で一番悪い奴「ら」”と言ってるのがミソですね。

舞台は稲葉氏が警察庁に入庁した1976年からを描いているので、映画も70年代テイストが色濃く反映されたものになっていました。
画面に出てくる画は、まんま「太陽にほえろ」の画で、懐かしい感じがしましたし、役者陣もあの頃の役者さんのような濃ゆい感じになってました。
特に中村獅童さんと青木崇高さんは濃かった(笑)

ストーリーの方は、もっと腐敗ぶりが酷いのかな?と思ってたので、正直そんなに驚かなかったのですが、昨今も続発する警察の不祥事のニュースに慣れてきてしまっているせいかも、と思いました。

事件の発端は、警察も民間会社と同じように営業成績を求められる感じで、郵便局などでも年賀はがきの販売ノルマがあるように、捌き切れない分は自腹購入したりして数字を合わせますが、こちらは拳銃を買って数字を上げるということをやっていて、本末転倒になってくる訳です。

面白いのは、最初は2~3万円で買えた拳銃も、警察が数字を上げねばならぬと躍起になるほど、需要と供給のバランスでどんどん高くなり、署内の予算では足りなくなってくるコトです。

結局、この事件が露見するきっかけになったのは、20キロ(末端価格6億円)の覚せい剤の取引を見逃す代わりに、200丁の拳銃を押収することでしたが、ヤクザ側はその機に乗じて130キロ(末端価格40億円)の覚せい剤を輸入。

6億円を200丁で割ると1丁あたり300万円(それでも高い)になりますが、実際は40億円で200丁を買った計算になる訳で1丁あたり2千万円。
もうこれは非常にコスパが悪い訳です。

しかも覚せい剤は持ち逃げされ、拳銃200丁も押収できなくて、この無謀な計画は破綻します。
あとはもう、ライク・ア・ローリング・ストーン。
転がり落ちる石の如くです。

映画は『凶悪』のシリアスな雰囲気と違って、コメディタッチでしたが、もう少しシリアスに寄せてもよかったかな?と思います。

主演の綾野剛さんは入庁から御自身の年齢くらいまでの役は良かったですが、さすがに年配の役は厳しかった気がします。
あと特殊メイクで餃子耳にしてましたが、ピアス穴がそのままだったのが気になりました。
あそこは消した方がよかったと思います。

他の出演者でよかったのは矢吹春奈さんで元ヤクザの情婦のクラブママを見事に演じてたと思います。
ヌードも抜き損になることなく、しっかりしたシーンだと思いましたし、大胆に演じられていたと思います。
映画で初脱ぎでの好例ではないでしょうか。

『凶悪』ほどのカタルシスを得られなかったのは残念ですが、あちらは”死”を扱っていてテーマが違いますし、致し方ないかなとも思います。

上映時間が135分とやや長いかなという気もしますが、及第点はつけられる出来で個人的には☆4つです。

鑑賞データ

渋谷シネパレス メンズデー 1000円
2016年 76作品目 累計88900円 1作品単価1170円

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