発想は小学生であった ☆3.5点
2016年のサンダンス映画祭で最優秀監督賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭では作品賞と主演男優賞を受賞した、ダニエル・シャイナートとダニエル・クワンからなる監督・脚本コンビのダニエルズによる作品で主演にポール・ダノとダニエル・ラドクリフ
予告編
映画データ
本作は2017年9月22日(金)公開で全国20館弱での上映です。
上映館数は少ないですが、TOHOシネマズシャンテに行くたびに予告編が流れていたので、予告編はよく目にしていました。
ダニエル・ラドクリフに色々便利そうな機能が付いてることや、ジーンズの青と青白い顔でラドクリフ版ドラえもん?と思いましたが、当たらずともやや遠いって感じでしょうか。
監督と脚本はダニエル・シャイナートとダニエル・クワンで担当しててダニエルズっていうコンビ名でM-1目指してます(嘘)
長編映画は初監督みたいで日本公開も初めてのようです。
主演にポール・ダノ
近作は『グランドフィナーレ』を観てます。
『グランドフィナーレ』が初めましてと思ってましたが『プリズナーズ』で拷問される彼でした。
主演にダニエル・ラドクリフ
近作は『エイミー、エイミー、エイミー!』でカメオ出演してるのを観てます。
もうハリー・ポッターのシリーズでしこたま稼いだのでエマ・ワトソンと同じで出たい作品だけ出る感じですよね。
『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』はネットフリックスかHuluで見ました。
共演にメアリー・エリザベス・ウィンステッド
近作は『10 クローバーフィールド・レーン』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ハンク: ポール・ダノ
メニー: ダニエル・ラドクリフ
サラ: メアリー・エリザベス・ウィンステッド
クリシー: アントニア・リベロ
プレストン: ティモシー・L・ユーリック
ハンクの父: リチャード・グロス
リポーター: マリカ・キャスティール
カメラマン: アンディー・ハル
警察官: アーロン・マーシャル
検視官: シェーン・カルース
あらすじ
無人島で助けを求める孤独な青年ハンク(ポール・ダノ)。いくら待てども助けが来ず、絶望の淵で自ら命を絶とうとしたまさにその時、波打ち際に男の死体(ダニエル・ラドクリフ)が流れ着く。ハンクは、その死体からガスが出ており、浮力を持っていることに気付く。まさかと思ったが、その力は次第に強まり、死体が勢いよく沖へと動きだす。ハンクは意を決し、その死体にまたがるとジェットスキーのように発進!様々な便利機能を持つ死体の名前はメニー。苦境の中、死んだような人生を送ってきたハンクに対し、メニーは自分の記憶を失くし、生きる喜びを知らない。「生きること」に欠けた者同士、力を合わせることを約束する。果たして2人は無事に、大切な人がいる故郷に帰ることができるのか──!?
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
えー、基本、おしり、おなら、うんこ、勃起で笑わすという小学生の発想のような映画でした(笑)
ハンクは船で嵐に遭ったらしく無人島で遭難しています。
島にある木やペットボトルにマジックでSOSや寂しいと書いて海に流してますが、船一つ通りません。
孤独に耐え切れなくなって首吊り自殺しようとしてると、波打ち際に人が流れてきます。
自殺を思いとどまり駆け寄りますが、その人物は呼びかけても反応が無く死んでるようでした。
ただ体の中が発酵してるらしく、時折、お腹が鳴るような音やおならのような音がしました。
ハンクは再び、首吊り自殺しようとすると、波打ち際の死体が激しく痙攣し始めます。
波にさらわれ海に引き戻されると死体はガスにより浮いていて時々排出されるガスによって旋回しています。
ハンクは再び波打ち際に駆け寄ると死体の上に乗りジェットスキーのように操り始めます。
死体のズボンを下ろし(ダニエルの)おしりを出すと肛門から勢いよくガスが噴き出して物凄いスピードで走るのでした。
ハンクはしばらく勢いよく走らせますがバランスを崩して海に落ちてしまいます。
気絶して打ち上げられた浜は、先ほどの無人島よりは大きく陸地の可能性がありました。
助けてと叫びますが周囲に人のいる気配はなく返事はありません。
先ほどの死体だけが転がっていました。
ハンクは死体をおんぶして陸地の中を入っていきます。
森の途中で散乱してるゴミの中から水着の表紙のSports Limited誌やワインのコルクを手に入れます。
しばらく進むと森の中に洞窟を見つけて、そこをねぐらにします。
夜になると雨が降ってきて洞窟の上からも雨が滴り落ちます。
滴り落ちた水はちょうど死体の口辺りに落ちていました。
ハンクは寂しくて死体に話しかけますが、もちろん反応はありません。
いつの間にか眠っていたらしく起きたら朝でした。
ハンクが目覚めると死体の口をアライグマがしきりに舐めています。
アライグマを食料にするために捕まえようとしますが逃げられてしまいます。
意気消沈したハンクは死体を置いて洞窟をあとにしようとしますが、死体の口から水が溢れています。
死体を起こし胸を押すと井戸水のように口から水が噴き出します。
拾ったコップに水を汲むと洞窟によってろ過された水で飲めるのでした。
水を押したあと暫く胸を押してると微かに動いているような反応があります。
ハンクは死体の口を広げたり閉じたり人形を喋らすかのように動かして話かけると、徐々に死体が喋りだすのでした。
死体は自らの名前をメニーと名乗りますが、歌うのが好きということを覚えてるくらいで他は何も覚えていませんでした。
ハンクがジュラシックパークのテーマ曲を口ずさむとメニーも口ずさみますがジュラシックパークなんか知らないと言います。
ハンクは森の中に落ちてる色々なゴミをかき集めて見せ、記憶を呼び覚まそうとしますが、メニーは何も思いだしません。
メニーは、人生、うんち、生きる、死ぬなど、あらゆることが分かってなかったので、ハンクが色々教えていきます。
色々教わったメニーでしたが、ハンクがしばしば口にする「故郷に帰りたい」という気持ちが理解できませんでした。
拾ったSports Limited誌の横に、たまたまメニーが倒れていると風でページがめくられていきます。
様々な女性の水着グラビアを見たメニーはいつの間にか激しく勃起しています。
驚いたハンクが雑誌を遠ざけると勃起はすぐ治まり、雑誌を見せるとすぐ勃起します。
体の向きを変えるとペニスが動いて一定の方向を指してるのに気づきます。
ハンクはペニスが指し示してる方に行ってみると道が開けてるのが分かります。
メニーの勃起は方位磁針の役割を果たしていたのでした。
ハンクはメニーをおんぶして森の中を進みます。
森の中を進んでると大きな獣の糞を踏みます。
すると獣の雄叫びが聞こえてきて、驚いたハンクは足を踏み外して谷底に落ちてしまいます。
落ちた反動でハンクのポケットからスマートホンが飛び出しメニーの前に転がります。
ハンクは遭難したときからスマホを持っていて10%だけ電池が残っていました。
時々電源を入れると待ち受けにしてる女性の写真を眺めていました、
その人はサラという名前でハンクがバスで一緒になる女性で一方的に片思いしていて、バスに乗ってくるところを盗撮したものでした。
サラのSNSを調べたハンクは彼女が既婚者だと知りますが、それでも思いは消えませんでした。
そんなハンクの待ち受けを見たメニーはその女性が気になりハンクに誰であるかを尋ねます。
やましさからはっきり答えないハンクは慌ててスマホを隠しますが、そのスマホは自分のものだとメニーは言います。
メニーはその女性が故郷で自分を待っていてくれてる人だと思い込むようになります。
本当のことを言い出せないハンクは、メニーの思い込みに乗ります。
ハンクがサラを演じ、メニーとおままごとのようなことをします。
2人がどのように出会って恋に落ちたかを想像して演じていると、ハンクの故郷に帰りたいという思いがメニーにもだんだん同化していきます。
谷底でそんな生活をしてるうちにメニーに、火打石の機能や、口から噴射する銃の機能、腕が斧になる機能があることが分かり、サバイバル生活が豊かになってきます。
銃の機能を使って谷底からロープを打ち上げると脱出に成功します。
森や川で猟銃代わりに獲物を仕留め、火を使って調理します。
獲物が取れれば食事は豪華になり毎晩がパーティーです。
メニーはハンクとの行動を通して、人間としての喜びを知っていきます。
2人が進んでいくと、川に渡したガス管のようなものが見え、そこを渡っていきますが、管が折れてしまい川に落ちてしまいます。
濁流に飲まれそうになりますが、メニーのお尻にしていたコルク栓が外れると、魚雷のように2人を打ち上げて助かります。
ダニエルのケツ毛で笑わせるって卑怯です(笑)
川を渡って森を抜けると道路に車が走っていてスマホの電波も繋がります。
ハンクはサラのSNSをチェックすると、そろそろ本当のことをメニーに話さなければと思います。
ハンクはメニーにスマホは自分の物と伝えますが、ちょうどそのとき熊が襲ってきました。
メニーの銃で追い払おうと準備してると、サラのSNSを開いたままのスマホを落としてしまい、メニーに見られてしまいます。
SNSに写ってるサラは夫の頬にキスしてる2ショット写真でした。
ショックを受けたメニーの銃は使い物にならなくなってしまいます。
ハンクはメニーのお尻の栓を抜いて引火させると、ロケットのように打ち上がって木の上に逃げます。
ハンクは下の道路を走る車に助けを求めますが聞こえるはずもありません。
写真を見て全てを悟ったメニーは泣くということを初めて経験します。
仲違いした2人。
木の枝に掴まっていたハンクは力尽きて地面に落ちると足を折ってしまいます。
熊に引きずられるハンク。
絶体絶命かと思われましたが、メニーが木から落ちてきます。
メニーはゾンビのように、ターミネーターのように這いつくばってハンクを引きずる熊ににじり寄ると、焚き火に自ら引火して火の玉ボーイとなって熊を撃退します。
気を失ったハンクはメニーにおんぶされサラの家の庭に連れて行かれます。
思いを伝えるようにメニーに促されますが、ハンクは抵抗します。
2人で揉めているとサラの娘が現れます。
ハンクは遭難して森の中から来たことを伝え、怪しまれないように努めますが、メニーが口から水吐いたりして泣かれてしまいます。
すると娘の異変に気付いたサラが勝手口から出てきます。
怪しまれる2人でしたが、サラの娘が事情を説明すると、助けを呼ぶと言って水を持ってきてくれます。
しかし、その間にメニーはどんどん衰弱し動かなくなってしまいます。
ハンクの呼びかけに反応することなくメニーは死んでしまいます。
警察と地元のテレビ局がやってくると、ハンクはメニーと呼ばれています。
遺体袋に入れられたメニーの遺体がハンクと呼ばれてます。
そこにハンクの父親がやってきて警察に遺体確認を求められますが、父親は動転して遺体を見れません。
ハンクは父親から隠れています。
メニーの遺体は身元不明の遺体として処理されようとしています。
ハンクはテレビ局のレポーターにマイクを向けられて「メニー、何があったの?」とインタビューを受けると、「自分がハンクで彼がメニー、死体の彼に助けられた」と言います。
ハンクはメニーの遺体に駆け寄ると、ストレッチャーからボードごと遺体袋を下ろし、サラの家の庭から森へ通じる傾斜を利用して、そりのように滑らせて逃がします。
ハンクは森に入ると遺体袋と共にボードに乗り勢いをつけて傾斜を下ると、そのまま川に飛び込みます。
川を下り海に出ますが、警察もサラも父もテレビ局も皆追ってきます。
追ってくる途中にはハンクとメニーがパーティをするために廃材で作った様々な装飾があり追ってきた人を驚かせます。
海にやってきたハンクはメニーを波打ち際に横たわらせて呼びかけますが反応がありません。
警察に追いつかれたハンクは逮捕されます。
今まで(勇気を持って告白するだとか)恥ずかしいことが出来なかったハンクは皆の前でおならをします。
警察に連行されるとまたおならの音がします。
皆がハンクを見ますが、ハンクは自分じゃないと言い振り返ると、メニーが再びガス(発酵)っています。
暫くするとメニーは痙攣を始めます。
ハンクが近づき耳元で何かを囁くとメニーは再びジェットスキーの機能で沖に出ていきます。
ハンクを乗せたときと違い、今度は背泳のような恰好で進むメニーの表情のアップ。
それを見つめるハンクの表情のアップでTHE ENDのテロップ。
苦笑する観客(笑)
終わった瞬間、みんなが苦笑していたのが印象的でしたね。
上映中も結構笑いが起きていて観客の反応はいい映画でしたよ。
メニーは最後まで観てても何者かは分からずポカーンです。
自分なんかは予告編くらいの予備知識で本編を観るので、何でスイス・アーミー・マンなんだろう?と思いました。
どこにもスイス要素なかったぞ?と思いまして。
他のTOHOシネマズではやってないですけど、シャンテなんでパネルに雑誌記事の切り抜きが貼ってあってそれ読んだら納得。
公式サイトにも出てますが、スイス・アーミー・ナイフ(十徳ナイフ)からなんですね。
でもやっぱり日本人なのでドラえもんの方を想像してしまいますね。
ポール・ダノ演じるハンクはのび太っぽいとこありましたし。
サラはさしずめ、しずかちゃんかな。
考えようによってはドラえもん第6巻、7巻の「さようなら、ドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」みたいな話で、おしりとかおならとか小学生向けかと思ったら、泣かされるっていう(笑)
97分という短めの映画ですが、セリフの量は結構多くて、何も知らないメニーの素朴な疑問が禅問答というか哲学的な対話になっていて、メニーが人間らしくなるのと同時に、ハンクにも色々気づかせてくれるっていう感じになるんですが、結構、難しめの話で理解できないところもあったりします。
特に終盤の怒涛の展開ですね。
メニーと暮らしてたとこが、サラの家の裏の森でわりと近かったことや、最初に打ち上げられた浜もわりと近かったってことですよね。
これはハンクと社会との距離を表してるんでしょうか?
考えてみれば最初の洞窟のあたりでも、雑誌をはじめ様々なゴミが落ちていて、人が生活しているところと近い気はするのですが、人が全然登場しないっていう描写になっています。
小学生くらいの友達のいない少年が、裏山で秘密基地作って、頭の中で妄想した友達と遊ぶ、っていう話にも見えなくもないです。
秘密基地のエロ本とかもあるあるですからなぁ。
そうすると第二次性徴期の思春期を描いてる気もしてきます。
こう考えるとなかなか一度で理解するのは難しい作品かもしれません。
見どころはやっぱりダニエル・ラドクリフの死体演技でしょう。
あのパントマイム的な演技は日本だと森山未來さんとかだと出来るのかな。
ポール・ダノの女装寸劇も面白いですよね。
ハンクは廃材アーティストとしての資質があるのかもしれません。
そういえば、アーミーナイフも小・中学生の頃は欲しかったなぁ。
ビクトリノックス(当時はウェンガー)のは高いんでパチモノだったですけど。
ウィキペディアのアーミーナイフの項目を見たら、虫眼鏡で火を起こせるとあってスゲーと思ったんですけど、現実は難しいらしいです。
あと、アーミーナイフと太陽光で検索してたら携帯用充電器出てきてこれはいいなぁと思いました。
(もう映画の感想全く関係ないな)
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2017年 158作品目 累計169100円 1作品単価1070円
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