2016年のシッチェス脚本賞 ☆4点
予告編
映画データ
ヒューマントラストシネマ渋谷で毎年行われている「未体験ゾーンの映画たち」での鑑賞です。
今年の未体験ゾーンでは『インビテーション』に続いて2作品目の鑑賞です。
相変わらずシッチェスの言葉に弱く、2016年のシッチェス映画祭の脚本賞受賞作品です。
本作はシッチェスの開催国スペインとアメリカの合作になります。
スペイン映画もゴヤ賞なんかにかかってくる映画ですと、文芸作品してたり、軍事政権下のを絡めて難しかったりして、面白くなかったりするんですが、本作は面白かったですね。
全編英語でロケ地もアメリカっぽいので、ほぼアメリカ映画かな。
あらすじ
動物保護センターで働く青年セス。バスで偶然同級生だったホリーを発見し、声をかけるが彼女はセスを全く覚えておらず邪険にされてしまう。悔しい思いをしたセスはSNSで彼女のことを調べ上げ、バイト先を突きとめ執拗に彼女に取り入ろうとするが、逆に馬鹿にされる始末。思いつめたセスはホリーの家に侵入し待ちぶせ、帰宅した彼女を拉致し、自分の働く動物保護センター地下の檻の中に監禁。状況把握もできないまま監禁されたホリーは下着1枚の姿で、ペットさながら飼育されることに。飼い主気分を堪能していたセスだったが…。
(「未体験ゾーンの映画たち」公式サイトhttps://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017より引用)
ネタバレ感想
主人公のセス(ドミニク・モナハン)は動物保護センターに勤めてるんですが、退勤時のバスで偶然、高校時代の1学年下の下級生ホリー(クセニア・ソロ)を見かけて声をかけるんですね。
高校時代、美人なホリーに秘かな思いを寄せていたので下級生でも名前と顔を覚えてたんですけど、ホリーの方は当然ながら、全然イケてないセスなんか知らなくて、その日は適当に世間話をしてホリーの方が先にバスを降ります。
セスの方はバスでの偶然の出会いに運命的なものを感じ、此処で会ったが百年目、ホリーへの思いが再燃してインターネッツを使って色々調べ始めます。
日本のドラマなんかですと、グーグルやフェイスブックの画面が架空のものに置き換えられてること多いですが、海外の映画だとわりと本物使ってること多い気がするんですが、本作はホリーのこと調べるのに使った検索サイトは架空の物でしたし、フェイスブックももどきの物でしたが、あれ許可取るの大変なのかな?
グーグルもどきやフェイスブックもどきで彼女の趣味趣向を把握したセスは、彼女が働いてるカフェへ偶然を装って出かけて行きます。一応、最初、バスで会ったときにウェイトレスとは聞いてましたが、場所までは聞いて無いんで完全にストーカーなんですが、恋する男は盲目です。あくまで偶然を装い彼女に会いますが、何と彼女はこないだバスで会ったことを覚えてない!(←ここポイント)
落胆するセスでしたが、めげずに彼女の好きなバンドのチケットが偶然2枚あると言ってデートに誘いますが、あえなく撃沈します。おまけに彼氏がいるとまで言われてしまいます。
彼氏がいるなんて嘘だとセスはムキになりますが、おいおいそんなにムキになるなよと、調べているのがバレるやんけ。
でも、まだ彼女は気づいてなさそうです。
めげないセスは、今度は、彼女が好きな花を職場のカフェにたくさん贈ります。
花を贈られても心当たりのないホリーは、喧嘩して疎遠になってる彼氏エリック(ネイサン・パーソンズ)が送ってきたかもしれないと、彼が働いてるバーに確認しに行きます。
当然のことながら何のことか分からないエリックでしたが、この機会にヨリを戻そうとホリーにアプローチします。
ホリーは少し考えるのとタバコ吸うのに外へ出ますが、セスが尾けていました。
セスは花を贈ったのが自分だと気づかないホリーに業を煮やし、自分が贈ったと名乗り出ますが「え、あんた誰?カフェで会っただけだし、何それ、キモい、え、尾けてたの?」(正確ではないがこんなようなこと)と言われてしまいます。
弁明しようと腕を掴んだセスに更に拒否反応を大きくしたホリーはエリックに助けを求めます。
かくしてエリックにぶちのめされるセスなのでした。
セスはうだつの上がらない動物愛護センターの職員です。
犬のえさやりと掃除。保護されて可愛がってた犬も安楽死の殺処分が決まったら、素直に従うしかありません。
獣医さんに処分回避を求めますが、じゃあ家で飼えば?と言われてしまいます。時給9ドルの安月給ではペット可のトコには住めません。
ある日、犬舎の掃除をしていると、現在では使われてない地下の部屋に、更に地下に通じる階段を見つけ、全く利用されなさそうな地下部屋を見つけます。
この地下部屋の発見により、セスはホリーを拉致ろうと計画します。
インターネッツで工具を買い揃え、檻の作り方を調べて自作します。
ホリーにばれないよう数日間尾行し、職場で使ってる鎮静剤を自分でも試して、ホリーの家に忍び込んで鎮静剤を打って眠らせます。
職場の愛護センターには大きな段ボールに入れてホリーを運びますが、警備担当のネイト(デヴォン・マクドナルド)の目を誤魔化さないといけません。シラミ取り剤だと言って運びます。
かくして無事、地下部屋での監禁に成功するセスなのでした。
で、普通の監禁モノだったら、こっから、ホリーがどう脱出するかなんですが、ここが脚本賞をとったところでネタバレしますと
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監禁したホリーは
レクター博士だったんです。
どういうことかと言いますと、ホリーにはクレア(ジェネット・マッカーディ)っていうルームメイトが居たんですが、エリックがクレアと浮気してたんですね。
それに気付いたホリーは、クレアとドライブ中に問い詰めるんですけど、興奮して交通事故を起こしちゃうんです。
運転してたホリーも怪我するんですけど、助手席のクレアはもっと瀕死の状態なんですが、ホリーは持ってたナイフでクレアの目を突き刺して殺しちゃいます。
これで目覚めちゃうんですね。殺人鬼としての血が。
とにかく人が死ぬ瞬間を見るのに興奮を覚えるようになるんです。
セスはバーでエリックに殴られたときに、ホリーが普段からひっきりなしに書いている手帳を拾って、それを読むんですが、そこにはホリーの闇が書かれていたんですね。
その内容は半信半疑のものでしたが、拉致る前に数日間尾行してたときも、ホリーはホームレスを殺したので、内容が嘘でないことが分かると、監禁は、そんな彼女を救いたい、という目的に変わります。
それとホリーはときどき殺したクレアの幻影と話してるときがあって、人格が二重みたいになるんですけど、そんなこともあってバスで会ったセスを覚えていなかったのかな?と(ただ興味が無かっただけかもしれませんが)
セスは基本的には、気の弱い心優しい青年ですので、監禁してるといえどもホリーにイニシアチブを握られっぱなしです。
ホリーはサイコパスなんでなおさらです。
セスの不審な行動に気付いたネイトは地下室に監禁されているホリーを発見して助けようとするんですが、ホリーの教唆によって操られたセスに殺されてしまいます。
監禁されてる自分を助けに来た人を殺すって新しい発想(笑)
ネイトはセスによってブロックで頭をグチャっとされてしまいます。
自分が助かるより、そんなに人が死ぬのを見たいのか!
おまけにネイトは大男だったんで、檻の中からセスに死体処理の方法までアドバイスする始末で、一部は犬のエサにするっていう…。
『冷たい熱帯魚』状態になってました。ボディを透明にするんだ!
ホリーはセスに、愛の証として指を詰めさせ、言葉巧みに檻の鍵を開けさせると、キスするフリしてセスの喉を掻っ捌いて殺しちゃいます。
まぁこの辺は観てる我々も、セスお前殺されるのに何で開けるかな?と思って観てます。
それで、オチはホリーが貸倉庫借りてて、その中で死んだと思われたセスを飼ってるという。
喉を掻っ切られているので声も出なくて、野生児みたくなってて『Mr.タスク』みたくなってましたよ。
可愛そうなセス。やっぱり動物好きに悪い奴はいないなと思いました。
(『冷たい熱帯魚』の元になった埼玉愛犬家連続殺人事件はどうなんだ?という苦情は受け付けません)
まあ映画的には、ホリーが無事逃げられたのはいいとして、セスをどうやって運び出したんだよ、というツッコミは残りますが、面白いからいいです。
ところで、この監禁されて被害者だと思われてた女性が、加害者だったって話は「その女アレックス」を思い出したんですが、あれ映画化するって話どこいったんだろう?
映画化されたら序盤はこんな感じになるんだろうな?と思いました。
ていうか、観てて、結構、その女アレックスからアイデア得てるんじゃないかな?と思いましたよ。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2017年 35作品目 累計33000円 1作品単価943円
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