おとなの事情 評価と感想/ゲスNo.1決定戦

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映画よりも舞台向きな作品の気も ☆4点

予告編

映画データ

おとなの事情 (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『おとなの事情』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:権威あるイタリアの映画賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀作品賞と最優秀脚本賞に輝いたコメディー。
http://cinema.pia.co.jp/title/171829/

ネタバレ感想

世界の映画祭でいっぱい賞を獲ってる作品ということで観てきました。

全国で上映が4館しかなく、東京ではシネマカリテのみの上映で、サービスデーを利用して観るにはかなりハードル高かったんですが、何とか観れました。
水曜サービスデーはほぼ売り切れな感じで、自分が買った時も残席3席でした。
4月下旬くらいから順次、全国でも公開されていくみたいです。

予告編とか何も見ないで行ったんですけど、事前の予備知識としては、幼馴染との夕食会での会話劇、ということくらいです。

あらすじやキャラクターマップは公式サイトが詳しくて、軽くネタバレしてます。

映画『おとなの事情』|3月18日(土) 新宿シネマカリテほか全国順次公開
イタリアのアカデミー賞で作品賞・脚本賞に輝く!!世界中で絶賛され、イタリアで空前の大ヒット!隠し続けてきた秘密の暴露から見えてきたのは、悩みながら生きる、おとな達の姿だった。

が、公式サイト見てなくても、関係性とかすんなり入ってくるので大丈夫です。

幼馴染なのは男性陣側で、そこにそれぞれの妻が加わり仲良くなった感じで、今回はロッコ(マルコ・ジャリーニ)とエヴァ(カシア・スムトゥニアク)夫妻の家に集まってます。
本来は4組8人が集まる予定でしたが、ペッペ(ジュゼッペ・バッティストン)が紹介しようと思っていた新しい恋人ルチッラが風邪で欠席したため7人となります。

夕食会での会話の流れからエヴァが「みんな、そんなに聖人君子なの?秘密はないの?」と口火を切ってスマホを見せ合うゲームを提案し、みんな引くに引けなくてゲームを始めます。

当初かかってくる電話やメールは秘密といっても他愛のないもので、エヴァが豊胸手術を受けようとしていたこととか、カルロッタ(アンナ・フォッリエッタ)が夫レレ(ヴァレリオ・マスタンドレア)に内緒で義母の老人ホームを探していたとか、カルロッタにかかってきたスティーブ・ジョブズという名前の電話がパソコンの修理屋だったとか、そんな感じです。

均衡が破られるのはレレがペッペにスマホを交換してくれとお願いしてから。
ペッペがタバコを吸いにベランダに出た際にレレがついてきて、スマホの機種が同じだから交換してくれと言います。
レレには毎晩22時にクレメンティーニという女性から写真付きメールが送られてきていて、それがカルロッタに知られるとまずいと。ペッペは今日は1人だからと頼む、という訳です。

渋々承知したペッペでしたが、22時にクレメンティーニから写メが送られてくると、自分のスマホとなりきって乗り切ります。
しかし、レレが持ってるペッペのスマホにルチオという男性からのメールが入ります。
レレもスマホを交換したことがバレたくないので、会社の同僚と言って誤魔化そうとしますが、ルチオに返信しないため頻繁にメールが入ります。
ルチオのメールは何をしてるのかを尋ねるものでしたが、正直に友人たちとの夕食会に出席してると返信すると、速攻でルチオから電話がかかってきて「風邪ひいて具合悪いから家で休んでるって言ったのに何してるのよ」と、恋人が嫉妬して電話してくるまさにそれで、一同はレレはホモだったの?となります。

レレはここでペッペがゲイであると悟るんですが庇い続けていると、コジモ(エドアルド・レオ)が、今までホモだったのを隠して騙してたのかと烈火の如くレレに怒り出し空気が悪くなります。
夫がホモだったことにショックを受けるカルロッタには、フェイスブック上だけでネット不倫していた相手からメッセージが届いたり、コジモには妻のビアンカ(アルバ・ロルヴァケル)には自分が勤務してるタクシー会社の配車係と嘘ついてたマリカから妊娠したと電話で告げられ修羅場になったりします。
ペッペは自分がゲイであることをみんなに打ち明け、新しい恋人はルチッラではなくルチオだと告げます。

この日は月食だったのですが、月食が終わると夕食会もお開きになり各組帰りますが、先程の修羅場は月食のせいだと言わんばかりに、何事も無かったかのように皆帰り、この映画は終わります。

んー、このラストがですね、コジモとビアンカの夫婦とかは別れなきゃ治まんないと思うんですけど、ちょっとリアリティ無いですかね。

この映画、実際、ゲスいのは何人もいないんですが、ゲスい順にランキングしたいと思います。

1位 エヴァ

実はエヴァはコジモと不倫してます。
しかもこのゲームの発案者。
エヴァとコジモはこの夕食会に出席してて、その最中にメールとか送り合う訳ないですからバレないですよね。
現にこの映画内でもバレてないです。

2位 コジモ

エヴァと不倫してるのはもちろん、妻のビアンカにはタクシーの配車係と信じ込ませていたマリカという女性と不倫してて妊娠させた模様。あと友人がゲイだったときの反応ですね。寛容の無さ。

3位 レレ

クレメンティーニという女性とどれくらいの関係があるか不明。
実際に会ったことがあるのか?妻のカルロッタと同じようにネット不倫なのか?
描写としては自宅のトイレに籠ってるときに写真を見てるシーンがあります。
あと、スマホ関係なくぶっちゃけてましたが、レレは死亡事故を起こして免停中。
カルロッタに運転してもらってましたが、実は事故を起こしたのはカルロッタで飲酒運転だったので身代わりになったとの事。
これ刑事罰だ。

同じく3位 カルロッタ

実際には会ったことのないフェイスブック上だけで繋がってる男性とネット不倫。
男性の指示でスリルを味わう遊びをしてます。
この日の夕食会にはノーパンで行けと。
まあ主婦の昼顔の手前という気もしますが、義母との生活のストレスでアル中の気があり。
出かける前にもワイン飲んでたんで、また飲酒運転ですね。反省していない。

5位 ビアンカ

元カレのセックス相談にのってあげてるのをコジモに報告しなかったことぐらい。
コジモがしてることに比べたら大したことないですが、2人と浮気してるのを気づかない、女としての感の鈍さはどうか。

同じく5位 ロッコ

妻のエヴァに内緒で心理カウンセリングを受けていること。
心理カウンセラーであるエヴァには、カウンセリングをバカにしてました。
ただそのおかげか娘との関係は良好。

同じく5位 ペッペ

ゲイであることを隠してたことくらいなのでゲスさはないです。
ただルチオには嘘ついて出かける必要無かったんじゃないか?と疑問が。
幼馴染との夕食会に行ってくると言えばいい訳ですし。
皆に紹介したいけど、ゲイだと打ち明けてないので出来ないと言えば、済みそうな話。
イタリアのアカデミー賞で脚本賞を獲ってますが、細かいところでやや詰めが甘い感じがしました。

本作はほぼロッコ夫妻の家で展開する会話劇なので、舞台の方が面白いんじゃないか?と思いました。
コメディ調ではありましたが、イタリアとかフランスとかは、やっぱり笑いの質が日本とはちょっと違っていて自分はそんなに笑いませんでしたが、隣の人は結構笑ってたかな?でも映画館が沸くほどでは無かったです。
(今年の未体験ゾーンで観た『インビテーション』も同じような密室劇でしたが、こっちはスリラーになっていった)

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日本でもこういう脚本の妙の密室劇で『キサラギ』とかあったんですけど、ここ最近、あんまり無いですね。

キサラギ面白いんで、未見の方はご覧になられるとよいと思います。っていう、おとなの事情とは全く関係ない感想でした。

鑑賞データ

新宿シネマカリテ 水曜サービスデー 1000円
2017年 53作品目 累計53100円 1作品単価1002円

コメント

  1. 通りすがり より:

    はじめまして、通りすがりの者です。
    この作品のラストで
    ホスト夫婦の会話の中で、エヴァがピアスを外しながら夫に向かって、何故ゲームに反対したのか問うシーンがあったと思います。
    「実際にはゲームは行われていなかった」が正解なんじゃないでしょうか?
    だとすると、ラストでの他のカップルのリアクションに辻褄があうと思います。
    結局は人間誰しも秘密があり、平たく言えば、みんな仮面をかぶっているから人間関係を上手くやっていけるってことかなぁと。もう少し深い意味もありそうですが、初見ではそんな風に感じました。

    • eigamanzai より:

      コメントありがとうございます。
      あー、ホントですね。
      こちらのサイト拝見したら、そう書いてありました。
      http://mihocinema.com/otona-zijyou-34215

      ところが、マンションの前ではコジモとビアンカが仲睦まじくキスをしており、レレとカルロッタも何事もなかったように帰っていく。ペッペもまた、笑顔でみんなに別れを告げる。

      エヴァは寝室で「どうしてゲームに反対したの?」とロッコに尋ねていた。ロッコの懸命な判断により、ゲームは事前に阻止されていた。今までの話は「もしゲームが始まっていたらどうなったか」という架空の物語だったのだ。しかしロッコは気づいている。エヴァのピアスが新しくなっていることに。それでもロッコは、決して妻のスマホを覗いたりはしない。平和を守りたければ、そうすることがベストなのだ。

      なるほど、腑に落ちました。
      ご指摘ありがとうございます。