よくよく考えると ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
とある5月、ソウル市内の市場を必死に逃げ惑う女子高生、彼女を追う屈強な男たちがいた。彼女の名はミンジュ。
ミンジュは次第に追い詰められ、そして路地の片隅で顔にテープを巻かれ、叫ぶ間もなく無残に殺された。新聞の小さな記事にも載らず、その事件は誰にも知られることもなく闇から闇に葬りさられた。ソウルの街は少女の死を呑み込み、人々は何もなかったかのように通りを行き交うのであった。
ミンジュは何故殺されたのか、それを問う人もいない。しかし、事件から1年たった頃、平穏を装うこの街のなかで、ミンジュの死の真相を執拗に追いかける謎の集団が、暗闇の中で不気味に動き始める。
ミンジュ殺害に関わったのは7人の男たち。謎の集団は、そのうちの一人を誘拐して、拷問を加え「去年の5月9日を覚えているか、その日何をした…」と執拗に問いただす。
恐怖と自責の念に襲われた容疑者は、全面的に自白して許しを請うのだった。謎の集団は変幻自在に変装して一人、また一人と誘拐して、自白を強要する。
それぞれの立場から語られる証言により、事件の背後に潜む闇が明らかになっていく…。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
韓国版・必殺仕事人といいますか、ハングマンといいますか、そういう感じではあります。
映画を観ていると、最初はどうして拷問して自供させているのか分からないのですが、一人、二人、三人と拷問していくうちに段々とその理由が明らかになります。
しかし最後の黒幕に辿り着いても事件の全容は、はっきりとは分からず(なぜミンジュは殺されたのか、とか)、また武装メンバーもどうやって仲間になったのかなどはっきりとは分かりませんが、そこはあまり重要ではなく、この映画自体が、現在の韓国社会への不満とか怒りのメタファーになっていることが分かります。
韓国社会と書きましたが、日本も同じような格差社会で閉塞感を感じてる人は多いのではないかと思います。
なので韓国に限らず先進国では普遍的な問題な気もします(ああ、ミンジュは民主ですね)。
それにしてもキム・ギドクの名前は以前から知っていたのですが、作品は前作の『メビウス』が初めてで、他の作品もまだ見た事がないのですが、世界三大映画祭では何かしらの賞を獲っていて、それでいて作品は低予算・短期間の撮影と、下手するとチープな感じになってしまうと思うんですが、演出や役者陣の演技の熱量で不思議と魅せてくれます。
監督の撮りたいエネルギーがダイレクトに伝わってくる感じで、日本映画(特にメジャー配給じゃない邦画)も見習うところが多いんじゃないかなぁと思いました。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2016年 6作品目 累計8900円 1作品単価1483円
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