可もなく不可もなく ☆3.5点
予告編
映画データ

あらすじ
司会者リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)の軽快なトークと財テク情報で高視聴率を稼いでいるTV番組「マネーモンスター」。番組ディレクターであるパティ(ジュリア・ロバーツ)はセットの陰に潜む不審者に気がつく。突然鳴り響く銃声。犯人(ジャック・オコンネル)が銃を手にリーを人質にとり、番組がジャックされた。
株の情報操作が意図的に行われ、全財産を失くしたとTVを通じて視聴者に訴える犯人。その原因は、数日前のO.Aでリーが発した情報だった。犯人の主張の中で、リーは自分自身も誤情報を無自覚にタレ流していたことに気づく。一体何が起きているのか―。
ウォール街の闇に封じ込まれた情報操作を暴くため、リーは人質から”共犯”へと立場を逆転させる。一方で警察の銃口は彼らに狙いを定めていた。事件の中継を通じて、徐々に見えてくる”真実”。その核心が暴かれようとしたとき、彼らと全米の視聴者が直面する、知ってはならない「結末」とは―。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
ジョディ・フォスター監督作は初めて観ました。
ハリウッド王道を走ってきた彼女らしく、非常にオーソドックスな作りで、力技で持っていくような男らしい作風でした。
スピーディーな展開でダレるところもなく面白かったんですけど、細かい所で色々気になりました。
まずあの犯人ですね。
9.11以降テロに敏感になってるニューヨークにしては、テレビ局の警備が杜撰かなと。
これはプラスチック爆弾のジャケットとも繋がってくるんですが、あの犯人そんなに頭よくないですよね。
綿密に計画を立てて何かを成し遂げるというタイプではない。
警察は早い段階で犯人の家を突き止め、犯人の彼女に説得にあたらせたりしてますが、犯人に爆弾作成に関する知識や資金が有るか無いかなどは早い段階で分かりそうなもんです。
彼女による説得のシーンも、ただ笑いをとるためだけのシーンになっていて、その後、何も無いのも、もやもやしました。
あと、敵側が分かり辛かったですね。
アイビス社とかウォルト・キャンビーとか。
アイビス社が開発したアルゴリズム取引だそうですが、アイビス社は何をやっているところなのかよく分かりませんでした。
ネット証券会社みたいなところなんですかね?
そこの会社自体の株価がどうこうっていうのが、あまりピンときませんでした。
財テク番組でマネックス証券の株が買いだとか、DMM証券の株が買いだとか、言ってるみたいなものなのでしょうか?
アルゴリズムを開発したソウルとか、ゲームばっかりやってるハッカーとか、色々出てくるんですけど、展開が速くて、何となくああそうなのかなと思って見てましたが、細かいところはあまりよく分からなかったです。
南アフリカの鉱山に投資した話とか色々盛り込んでくるんですが、如何せんスピーディーなので、ああ、そうなんだなーと流して見るしか無かったです。
今年、金融の話を描いた映画では『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』と『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を観たのですが、どうも本作はそれらの作品とは違って金融の話が主ではないようで、ジョディ・フォスター自身も「今回の映画で描きたかったのは、キャラクターたちの葛藤や、人間同士の力学がどう変化するのかということ。だから金融や株といった要素は背景に過ぎないの」と言っていて、金融映画だと思って期待して観るとアテが外れると思いました。
メッセージ性のない娯楽サスペンスと割りきって見れば面白いですが、それなら2時間ドラマでもいいかなという気もします。
あととても残念だったのは犯人が射殺されてしまうことですね。
ああ、やっぱり貧乏人は死ぬしかないのかと思いました。
貧乏人は死んで金持ちはのうのうと生きてる(何らかの刑事罰は受けるようですが)ラストで、ジョディ・フォスターといえども弱者に寄り添った視点ではないのだなぁと思いました。
ただ、レーガン大統領暗殺未遂事件を起こしたジョン・ヒンクリーにストーカーされていたジョディ・フォスターが、こういう映画を撮ったというのは感慨深い気がします。

鑑賞データ
TOHOシネマズ新宿 モク割 1100円
2016年 66作品目 累計77100円 1作品単価1168円
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