ジブリ時代の終焉を象徴する ☆2.5点
スタジオジブリの制作部門閉鎖に伴い退社した人たちで新設した会社スタジオポノックの第一回長編作品で監督は米林宏昌。
原作は1971年に出版されたメアリー・スチュアートの児童文学小説「The Little Broomstick(小さな魔法のほうき)」
予告編
映画データ
最近のジブリ作品は『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』までは続けて観てたんですけど、ここ3作ほど観てなかったので久しぶりの劇場鑑賞となります。
監督は米林宏昌さん
前作の『思い出のマーニー』は観てなくて、アリエッティは観てます。
アリエッティは結構好きです。
主要キャラクターの声の出演は俳優さんが演じられてて以下のようになってます。
メアリ: 杉咲花
ピーター: 神木隆之介
マダム・マンブルチューク: 天海祐希
ドクター・デイ: 小日向文世
赤毛の魔女: 満島ひかり
フラナガン: 佐藤二朗
ゼベディ: 遠藤憲一
バンクス: 渡辺えり
シャーロット: 大竹しのぶ
あらすじ
赤い館村に引っ越してきた主人公メアリは、森で7年に1度しか咲かない不思議な花《夜間飛行》を見つける。
それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の“魔女の花”だった。
一夜限りの不思議な力を手にいれたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法世界の最高学府“エンドア大学”への入学を許可されるが、メアリがついた、たったひとつの嘘が、やがて大切な人を巻き込んだ大事件を引き起こしていく。
魔女の花を追い求める、校長マダム・マンブルチューク。
奇妙な実験を続ける、魔法科学者ドクター・デイ。
謎多き赤毛の魔女と、少年ピーターとの出会い、そして…。
メアリは、魔女の国から逃れるため「呪文の神髄」を手に入れて、すべての魔法を終わらせようとする。
しかしそのとき、メアリはすべての力を失ってしまう──。
しだいに明らかになる“魔女の花”の正体。
メアリに残されたのは一本のホウキと、小さな約束。
魔法渦巻く世界で、ひとりの無力な人間・メアリが、暗闇の先に見出した希望とは何だったのか。
メアリは出会う。驚きと歓び、過ちと運命、そして小さな勇気に。
あらゆる世代の心を揺さぶる、まったく新しい魔女映画が誕生する。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
オープニングは赤毛の魔女が魔女の花を持って逃げるシーン。
ポニョで出てきた深海魚みたいのに追いかけられるアクション。
赤毛の魔女は森に落ちて、ほうきも封印されるっていう冒頭なんですが、オープニングの掴みとしてはやや弱いかも?と思いました。
メアリが登場すると引っ越しの段ボールが片付けられなかったり、バンクスの手伝いをしようとしてカップを割ったり、外をほうきで掃こうとしたら却って落ち葉を広げてしまったり、興味ある事に対象がパッと移ってしまう描写がされていて、明らかにADHDの症状が描かれていたので『ファインディング・ドリー』みたいなテーマを描くのかな?と思いました。
メアリが魔法学校に行くと、気にしていた赤毛も魔法界では褒められ、人間の世界では欠点だと思っていたことが長所になるので、障害も個性なんだよ、ということが言いたいのかな?と思うのですが、この話はそこで終わってしまいます。
そして気になるのはメアリがマンブルチューク校長が勘違いするままに褒めてるのに、それを否定しないところです。
挙句の果てにはいい気になってる。
魔法学校の描写は完全に『ハリー・ポッター』ですよね。
シリーズの日本での累計興収が1000億円に届こうかという作品で、たいていの日本人は見てると思います。
なので既に実写のCGで見せられてるものをアニメで見せられても、さしたるワクワク感もなくボーっと眺めるほかありませんでした。
ただ、原作はハリー・ポッターより前に書かれているようですので、その辺は気の毒かなと思います。
なんならJ・K・ローリングが『The Little Broomstick』をパクったんですかね?
マンブルチュークとダンブルドアとかブル繋がりで似てますし。
舞台が魔法学校に移ると「ヴォルデモート、いつ出てくるの?」と思って観てました。
それから、声の出演なんですが、そろそろ俳優さん使うのやめませんかね。
遠藤憲一さんも小日向文世さんも大好きな俳優さんですが、はっきり言って全然あってませんでした。
特に小日向さんのドクター・デイはうるさくてしょうがない(アウトレイジならOKだけど)
劇伴もそうですが、この映画、音量調節間違えてませんかね?
劇伴で盛り上げてやろう感が伝わってきて酷かったです。
対照的にシャーロット役の大竹しのぶさんは、かなり自分を抑えてるなと思いましたが、やっぱり俳優さんが演じられてるとキャラクターを通り越して俳優さんの顔が浮かんでしまうんですよね。
新しいキャラクターが出るたびに、これ誰の声だろうと思ってしまって、今一つ世界観にのめり込めないです。
鑑賞中に唯一分からなかったのは満島ひかりさんだったのと、アニメの吹き替え作品がことごとくヒットしてる神木さんの神通力もここまでか、とか思って観てました。
物語はヴォルデモート出てこなくてマンブルチューク校長とドクター・デイが悪役っていうオチです。
大ボスに相当するキャラクターが出てこないので、物語としてはこじんまりとまとまってしまいます。
何でしょうかね、物語としてここが悪いみたいのは無いんですが、どうにもワクワク感もドキドキ感も無いんですよね。
メアリのキャラクターが描けてないんですかね?
なのでメアリの心情に寄ることもなく、ボーっと観てしまう。
上映時間103分の映画ですが、終始眠たかったです。
頑張って耐えましたけど。
盛り上がりに欠けるのは今年観た『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』みたいな感じかなぁ。
テーマも分かり辛かったです。
ドクター・デイが推し進める魔法科学は、行き過ぎる科学文明への批判ですとか、姿を変えられちゃう動物たちは遺伝子組み換えとか、放射能の影響とか考えられますし、そもそもの魔女の花がウランとかプルトニウムとも考えられるんですけど、総じて何が言いたいかは分からなかったです。
はっきり言ってこの程度の作品なら製作委員会組んでテレビ局とタイアップつけてっていうプレッシャーの中で、ヒーヒー言いながら制作する意味は無いんじゃないかなぁと思います。
ちょっと他の方のブログも読んでみたんですけど、概ね同じ意見ですかね。
スタジオポノック第一回長編作品にして、第一回で終わりになるんじゃないかと心配になるんですが、ジブリ時代の幻影を捨てて身の丈にあった作品を作った方がいいんじゃないかなぁと思いました。
ただ唯一いいシーンがあって、ティブが姿を変えられたギブに会うシーン。
ギブがいなくなって、ドクター・デイに捕まってるんだろうなぁというのは読めましたが、あのシーンだけはグッときましたね。
最後に、重ね重ねになりますが、あの冒頭のメアリのADHDシーンは何だったのだろうと思います。
あれだけは本当に永遠の謎です。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ TOHOシネマズデイ 1100円
2017年 116作品目 累計122900円 1作品単価1059円
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