マニアック 評価と感想/トム・サヴィーニが関わった同名映画のリメイク

マニアック 評価と感想
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キャッチコピーの意味がわかりました ☆4点

予告編

映画データ

マニアック (2012):作品情報|シネマトゥデイ
映画『マニアック』のあらすじ・キャスト・動画など作品情報:1980年の伝説的スプラッターホラーを、『P2』の製作、監督コンビ、アレクサンドル・アジャとフランク・カルフンがリメイク。
http://cinema.pia.co.jp/title/161880/

あらすじ

ロサンゼルス。若い女性ばかりを狙った猟奇殺人が連続して発生していた。犯行は夜間に行われ、被害者の女性たちは全員、無残にも頭皮を剥がれていた…。
両親が経営していたマネキン店を継ぎ、マネキンの修復師をしているフランク(イライジャ・ウッド)には、誰にも言えない秘密があった。淫乱で残忍な母親に育てられたトラウマを抱える彼は、生身の女性をまともに愛することができなくなっていた。彼が心の平安を感じるのは、自分が修復したマネキンたちに囲まれているときだけだった。やがて、フランクの歪んだ欲望は、渇いた都会の夜をさまよい、暴走していく。彼は夜の街を独り歩きしている女性に狙いをつけ、躊躇なく殺害するとその毛髪を頭皮ごと剥いだ。そして、その頭髪を自宅に持ち帰ると、自分のマネキンたちの頭にかぶせるのだった。
ある日、フランクの前に一人の美しいブロンドの女性が現れる。アンナ(ノラ・アルネゼデール)と名乗る彼女はプロのカメラマンだった。彼女はフランクの作ったマネキンに興味を示し、マネキンたちを個展に出品する作品のモチーフとして使わせてほしいと頼むのだった。フランクにとって、自分の仕事の芸術性を理解する女性との出会いは初めてだった。彼はそれを運命と信じ、彼女の創作に協力する中、しだいに想いを募らせていく。
アンナはあくまでも友人としてフランクと付き合っていたが、フランクは一方的にアンナとの愛の生活を妄想していた。アンナの前では心優しい青年でいることができるフランクだったが、その一方で、心の奥にうごめく邪悪な欲望や怒りは、すでに爆発寸前だった。
ついにアンナの個展はオープニングを迎え、パーティが開かれた。大勢の人々が集まる場所が苦手なフランクだったが、彼はアンナのために足を運んだ。しかし、アンナの周りには醜い業界人たちが集まり、その誰もがフランクを気味悪そうな目で見るのだった。
完全に心のバランスを失ったフランクは再び狂気に堕ち、夜の街を行く。闇に響く絶叫は、想像を絶する惨劇の始まりに過ぎなかった…。

(公式サイトより引用)

ネタバレ感想

映画館で予告編を見て面白そうだなと思い鑑賞。

予告編を見てイメージしたのはウィリアム・ワイラー版『コレクター』でしたが、調べると80年代製作のトム・サヴィーニが手掛けた同名スプラッター映画のリメイクでした。

オリジナルはもちろん見てないのですが、2010年代らしくスタイリッシュな映像に仕上がっていました。
ショッキングピンクのタイトルや車からのドライブレコーダーで撮ったような映像と、80年代のシンセサウンドのような音楽は映画『ドライヴ』を思い起こさせます。

そして本作を特異なものにしている点は、ほぼ全編、完全主観映像で撮られているということです。
主人公のイライジャ・ウッドが写るのは鏡に映った姿だったりと、ごく限られています。

なので観客は第三者目線ではなく、この殺人鬼の目線でほぼ映画を見ることになります。

具体的には犯人と同じように覗き、ターゲットを見つけ尾行し、殺害し頭皮を剥ぐという行為を追体験し、また時折起こる偏頭痛の不快さも体験することになります。

映画を見る前は「本編90分ほどでちょうどいい長さの映画じゃないか」なんて呑気に思っていましたが、これ120分オーバーとかでしたら耐えられなかったと思います。
自分は割とグロ耐性はある方と思っていましたが頭クラクラしました。

物語としては母親へのトラウマから殺人鬼になるという、『サイコ』のノーマン・ベイツから続く王道のサイコパス映画です。

そして頭皮を剥いでカツラを作るという設定はノーマン・ベイツをはじめ様々な映画のモデルになったエド・ゲインですが、このエド・ゲインをモデルにした有名な映画に『羊たちの沈黙』があります。

本作のキャッチコピーに「羊たちの沈黙を超えた鮮烈なるショッキングバイオレンス・スリラー」とありましたが、『羊たちの沈黙』でバッファロー・ビルが踊っている時にかかっていた、ラザルスの「Goodbye Horses」という曲がこの映画でも象徴的に使われていて(ネットの出会い系で会った女の部屋のシーン)、一種のオマージュになっていると思いましたし、なるほどキャッチコピーの意味が分かりました。

またそれ以外でもデートで見る映画が『カリガリ博士』だったりと過去作のオマージュとなっています。

変な話、全編主観映像はわりとアダルトビデオであると思うのですが、スプラッター(比較的軽いが)映画でショッキングバイオレンス・スリラーで、っていうとふつうのこの手の物よりより痛く感じられましたし、リアルに感じてズシンと来ました。

とはいえ、肝心の所はボカシ気味ですので耐えられると思います。

『ドライヴ』の様と形容されるだけあって、ただのホラー映画にはなってないと思いますので興味のある方は是非ご覧になられるとよいと思います。

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