バーバラと心の巨人 評価と感想/予想した通りでした

バーバラと心の巨人 評価と感想
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安心して観れました ☆3.5点

『ホーム・アローン』や『ハリー・ポッター』の監督のクリス・コロンバスが製作に入り、2008年に発表されたジョー・ケリーとケン・ニイムラによるグラフィックノベル「I Kill Giants」を実写映画化。
巨人を倒す使命があると思っている少女バーバラとそれを心配する周囲の人々を描いた作品。
監督は本作が長編デビュー作となるアンダース・ウォルター、主役のバーバラにマディソン・ウルフ、共演にゾーイ・サルダナ

予告編

映画データ

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本作は2018年10月12日(金)公開で、全国29館での公開です。
2019年1月頃まで順次公開されて、最終的には46館での公開となるようです。

劇場での予告編はシャンテに行った時に目にしまして、最初見たときに『怪物はささやく』に似てるなぁと思いまして、確認のために観に行ってみました。

監督はアンダース・ウォルター
初めましての監督さんでデンマーク人の監督さんです。
デンマークのミュージシャンのMVや短編映画を中心に撮っていて、2013年の『ヘリウム』という作品で2014年の第86回アカデミー賞で短編実写映画賞を受賞しています。

本作が長編映画デビュー作となるそうです。

主演はマディソン・ウルフ
『死霊館 エンフィールド事件』で悪霊に取り憑かれちゃう少女役の子でした。

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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ではトランボの娘役でした。

共演にゾーイ・サルダナ
近作は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『スター・トレック BEYOND』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』『夜に生きる』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観てます。

共演にイモージェン・ブーツ
近作は『聖杯たちの騎士』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

バーバラ・ソーソン: マディソン・ウルフ
カレン・ソーソン: イモージェン・プーツ
ソフィア: シドニー・ウェイド
テイラー: ローリー・ジャクソン
モル先生: ゾーイ・サルダナ
ミスター・モル: ノエル・クラーク
ミセス・ソーソン: ジェニファー・イーリー
デイヴ・ソーソン: アート・パーキンソン
テレサ・タッツォ: シアラ・オキャラハン
巨人: ジョン・ボイル(声の出演)

あらすじ

ウサギの耳を頭に付けたちょっと風変わりな少女バーバラは、今日もまたひとりで森にやって来ては、木々に自作の“餌”をなすりつけて回っている。町の人々は誰一人気づかないが、ここ最近、町に不穏な空気が流れ込んでいるのだ。そう、町に“巨人”が襲来する日が近いことにバーバラだけが気付いている。実は、バーバラは“巨人ハンター”なのだ。巨人を倒す呪文は“コヴレスキー”。奇跡の大逆転を遂げた大リーガーの名前と同じだ。巨人襲来を誰も信じないことはバーバラ自身もよく知っているから、バーバラは自分の殻に閉じこもり、どんどん孤立していく。そんな彼女を、兄のデイヴは“オタク”と呼びバカにし、妹と弟の世話や家事を一手に請け負う姉のカレンは、バーバラの言葉に耳を貸す時間がない。

ある日、一人で“罠”の見回りをしていたバーバラに、イギリスのリーズから引っ越してきた少女ソフィアが声を掛ける。バーバラがすることにソフィアは興味津々だが、バーバラは無視。次の日も、一緒に登校したがるソフィアを頑なに拒絶する。なぜなら学校でもバーバラは、不穏な巨人の気配や予兆を、おまじないで遠ざけるため忙しいのだ。そんな不審な行動に、新しく赴任してきたスクールカウンセラーのモル先生が目を留める。昼食時、イジメっ子のテイラーら3人組がバーバラをいじめにやって来るが、そこにモル先生から呼び出しが入る。だがバーバラはモル先生とのカウンセリングも拒絶。すべての人に心を閉ざし、交流を拒絶するバーバラだったが、またも話しかけて来るソフィアに、遂に重い口を開き、“巨人”について話して聞かせる。半信半疑ながら真剣に聞くソフィアに、少しずつバーバラも心を開きはじめる。そしてまたもバーバラをイジメにやって来たテイラーらを、ソフィアが機転を利かせて救い出し、2人は急接近していく。

巨人から町を守ろうとするバーバラの行動は、不穏な空気の濃度が高まるにつれ、益々常軌を逸していく。バーバラの味方であるソフィアでさえ疑問を感じ、「巨人はいない」と忠告するようになる。そしてある日、テイラーらに襲われたバーバラを家に送り届けたソフィアは、決してバーバラが上がろうとしない二階のある部屋で、バーバラが避けて来たものを目撃してしまう。バーバラの秘密を知ったソフィアは、どうにかバーバラの力になりたいと思うが、バーバラは耳を貸さない。姉のカレンに聞いて事情を知るモル先生は遂に、「巨人はいない。現実から目を逸らすな」と正面からバーバラに語り掛ける。現実を受け入れきれずパニックを起こし、嵐の中に飛び出していくバーバラ。そんなバーバラに、荒れ狂う波間から巨人が襲い掛かる―。

(公式サイトhttp://barbara-movie.jp/より引用)

ネタバレ感想

『怪物はささやく』は日本では2017年6月9日(金)の1年ちょっと前に公開されまして、予告編を同じシャンテで見た気がするんですが、リーアム・ニーソンが怪物の声をやっていたので見たいと思ったんですよね。

ただ結局この時はタイミングが合わず劇場では見逃しまして、今年の7月にWOWOWのW座で放送されたのを見ました。

『怪物はささやく』は鑑賞中からオチが何となく推測できる作品で、その内容は、末期がんで余命宣告を受けている母親の病気や訪れる死というものを受け入れられない少年の、心の中に作り出した怪物と対峙する様子を通して葛藤を描いた作品で、最終的に母親の死を受け入れ少年が成長する話をダークファンタジー調で描いたものでした。

『怪物はささやく』では最初から、母親が病気であることが観客に明かされているので、少年の葛藤=怪物 が割と推測できると思うんですが、本作ではバーバラの家族は年の離れた姉のカレンが母親代わりをしてるのと、年の近い兄のデイヴが登場するだけなので、鑑賞中しばらくは『怪物はささやく』と同じ話であると確信は持てませんでした。

ただ、母親代わりをしてるカレンが一杯一杯な様子は「何かあるな?」と感じさせ、友達のソフィアによって2階の部屋の存在が明らかになると、「やっぱり怪物はささやくと同じなんじゃないかなぁ」と思えました。

結局、物語的には最後の方でバーバラの母親が2階の部屋で自宅療養してるのが観客に明かされるので、それを観た瞬間は「やっぱり予告編で予想した通りだ!」と軽くアハ体験になったので気持ちよかったんですが、映画の鑑賞スタイルとしては完全に間違ってると思います(笑)

劇中は巨人=怪物だと思って観てたので、森に罠を仕掛けたりするバーバラの奇行も安心して観れましたが、一歩間違うと統合失調症のようにも見え、なかなかにヤバいなと思いながら、この事件が頭に浮かんだりもしました。

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まぁ本来はいい大人(カレンやモル先生)が見れば、バーバラの奇行の原因はすぐ気づきそうなもんですが、それだと話がすぐ終わっちゃうので、観客には事実を隠して話を引っ張ってる訳ですが、不思議とつまらないということは無くて、バーバラのことを理解しようするソフィア(この子ホントいい子ね)の存在や、ちょっとしたアクションシーンなんかもあって退屈すること無く観れました。

長編映画デビューとなったアンダース・ウォルター監督の演出は映像もわりとよかったですし、特に悪い所も無くてよかったと思います。

さて、本作は完全に「少女版怪物はささやく」で、ここまでそっくりなのは不思議なんですが、原作は本作の「I KILL GIANTS」の方が早くて2008年に出版されていて、全米では2008年~2009年にかけて話題になり、日本では2012年に開催された外務省主催の第5回国際漫画賞で最優秀賞を受賞しています。

I KILL GIANTS | 書籍 | 小学館
「私は、選ばれし〈巨人殺し〉」…そう信じ込んで、自分の殻に閉じこもっていたバーバラ。同じ学校に通うソフィアはそんな彼女に手を差し伸べ、束の間二人のあいだに友情が…
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一方、映画の方は先に公開された『怪物はささやく』はパトリック・ネスによってイギリスで2011年に出版され、2012年のカーネギー賞(イギリスの児童文学賞)とケイト・グリーナウェイ賞(イギリスの絵本に対する賞)を受賞してます。

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『怪物はささやく』はこうして生まれた!原作者が明かす想い|シネマトゥデイ
映画『パンズ・ラビリンス』のスタッフが結集した話題作『怪物はささやく』(全国公開中)について、原作者パトリック・ネス氏がニューヨークのウォルドルフ=アストリアでインタビューに応じた。

アメリカとイギリスで3年のタイムラグがありますが「怪物はささやく」がパクった訳ではなく、少年・少女向けの児童文学を描いていれば、テーマも被るでしょうし、テーマが被れば細部まで似てくるんだと思います。

しかし、奇しくも両作とも母親が不治の病で、父親の存在が薄い(怪物では父親は離婚していて、バーバラでは出てこない)「父性の不在」というのが興味深いところで、世界的な共通項になってきているのかなぁ?なんて思ったりもしました。

父親不在が子どもの向上心を阻害し、無気力にさせる? 子どもに父親が必要な理由 | ダ・ヴィンチWeb
『父という病』(岡田尊司/ポプラ社) 核家族化、子どもの数の減少、仕事による父親の不在。このような状況で、母子の結びつきがますます強まっている。父親は、長時間労働やたび重なる出張、単身赴任などの激務で家庭での存在感を失い、外で生活費を稼いで...
2013年、「父親の不在」を文学は告げている──内田 樹×高橋源一郎
面白い小説は、読者の共感を呼び、共有される。それは、社会の無意識を映し出し、ときに未来を予言する。だとすれば、いま世に流行る小説は私たちになにを告げようとしているのか? 現代ニッポンの知性が2013年のニッポンを予言する。 (本文中、(1)...

鑑賞データ

TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2018年 164作品目 累計145500円 1作品単価887円

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