お年寄りを敬いましょう ☆4.5点
1979年の日本未公開作『お達者コメディ/シルバー・ギャング』(監督マーティン・ブレスト)のリメイクで監督はザック・ブラフ
主演にモーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン
予告編
映画データ
本作は全国でも50館弱の公開規模なので映画館で予告編も見たこと無く知らなかったんですけど、例によって公開カレンダーを眺めてたところ、名優共演なのにコメディってことで面白そうと思い鑑賞。
監督はザック・ブラフ
名前は全く聞いたことの無い方で俳優さんをしてるみたいなのですが、ナタリー・ポートマンやピーター・サースガードが出演した自身による監督・脚本・主演作『終わりで始まりの4日間』という作品でインディペンデント・スピリット賞新人作品賞を受賞してるみたいです。
主演にモーガン・フリーマン
一番最近で映画館で観てるのだと『テッド2』になります。
主演にマイケル・ケイン
本作では仲良しジーサン3人組でしたけど、昨年のマイベスト作『グランドフィナーレ』ではハーヴェイ・カイテルと幼馴染設定というのに痺れました。
上の2人は『グランド・イリュージョン』シリーズでも共演してますね。
主演にアラン・アーキン
昨年の『クーパー家の晩餐会』ではアマンダ・セイフライドにときめくおじいちゃん役でした。
共演にマット・ディロンとクリストファー・ロイドとアン=マーグレット
あらすじ
ジョー(マイケル・ケイン)は、離婚して戻ってきた娘とその孫ブルックリン(ジョーイ・キング)と一緒に暮らしながら、親友のウィリー(モーガン・フリーマン)とアル(アラン・アーキン)とブルックリンの公園でローンボウリングをして過ごすのが日課だ。
3人は40年間ウェクスラー社で働き、定年後は悠々自適な年金生活を送るはず……だったが、会社の所有者が変わったことで、彼らの年金は消えてしまった!!
さらにジョーは、住宅ローンが一夜にして3倍になり、家を差し押さえられる危機に直面。
銀行へ相談に行くことに。
しかし、担当の銀行員はまったく聞く耳を持たず、怒りが爆発!
その瞬間、マスクを着けた3人組の強盗が銀行に押し入り、客たちを床に伏せさせ、次々と現金を奪っていく。
ジョーのところにも首にタトゥーのある強盗の1人がやって来て財布を差し出すが「年寄りを敬うのは社会の義務だ」と言って、なぜか受け取らずに去って行った。
強盗たちが銀行にいた時間はわずか数分間、しかも誰も傷つけることなく、警察にも決して捕まらなかった!
消えた年金、問題のある住宅ローン、これからの人生、自分たちの置かれた状況を何とかしなければならないと考えた結果、ジョーはウィリーとアルに“あの3人”のように銀行強盗をしないか? と持ちかける。
まずは自分たちの強盗としての能力を試すため、いつも買い物をしている食料品店で万引きを試みるが……防犯カメラにバッチリ記録され、警備員に追いかけられ、あっけなく捕まった挙げ句、若い店長(キーナン・トンプソン)に説教されてしまう。
それでも諦めきれない3人は、盗みのノウハウを教えてくれるコーチを探すことにする。
あるツテを使って、動物保護施設の運営と泥棒、2つの顔を持つ“ジーザス”(ジョン・オーティス)という男を紹介してもらい、彼の指導のもと3人の仲間たちは銀行強盗になるための特訓をはじめる。
そんななか、ウィリーは腎臓が悪く移植が必要なことを誰にも相談できず、アルは自分に好意を持っている女性(アン=マーグレット)との関係に戸惑いながらも、ついに! 運命の“決行”の日がやってきて──。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
いや、これ、思いがけず面白くて、よく飛行機の機内映画で何気なくつけたら面白くて当たりだったっていう映画あると思うんですけど、そういうタイプの映画でして、ハッピーエンドで伏線の回収とかも効いてて、なかなかに良かったですよ。
感想書くのに調べてて「なるほどな!」と思ったのは、オリジナルの『お達者コメディ/シルバー・ギャング』はもちろん未見なんですが、監督が『ビバリーヒルズ・コップ』や『ミッドナイト・ラン』のマーティン・ブレストなんですよね。
ミッドナイト・ランはかなり面白くて、ロバート・デ・ニーロも自分が出演した映画の中で一番楽しかった作品に上げてるくらいなんですが、原案がいいんだろうなと思いました。
3人はウェクスラー社っていう鉄鉱会社で働いてた仲間なんですが、ウィリーとアルはルームシェアして一緒に住んでて、そこがたまり場みたくなってます。
ジョーは出戻ってきた娘と孫娘のために家のローンを組んだのですが、銀行は最初に融資するときはキャンペーン金利をアピールするばかりで、あとから金利が上がることをロクに説明しなかったんですね。
それで急に月々の返済額が3倍になって支払いが滞って、黄色い警告の封筒が届いたんでジョーが銀行に訪れたところ、銀行強盗に出くわすわけです。
ジョーは捜査に訪れたFBIの捜査官アーレン・ヘイマー(マット・ディロン)にタトゥーのデザインを伝えて、それが公開されるんですが犯人は捕まりません。
ウィリーは人工透析を受けてて、医者からそろそろ腎臓移植が必要と言われてるんですが、離れて暮らす娘や孫娘にも打ち明けられずにいます。
アルは近所の子供にサックスを教えてるんですが、その祖母アニー(アン=マーグレット)に気に入られ、言い寄られて困ってるって状態で三者三様なんですが、ある日、ウェクスラー社が買収され工場もベトナムに移転するとなって、年金も打ち切られることが判明します。
ジョーの元へは黄色の警告だった封筒が赤に変わり、ローンを支払わないとあと30日で家を取り上げられる事態になって、3人の中で一番逼迫します。
ジョーは自分が見た銀行強盗の鮮やかな手口から、現状を打破するには銀行強盗しかないと考え、自分の状況を話した上でウィリーとアルに持ち掛けます。
ウィリーは移植の件を話してませんが、どっちにしろお金が必要なのでOKしますが、アルは反対します。
とりあえず予行練習のためスーパーで万引きをするんですが、反対してるアルは2人をスーパーに車で連れてくだけの役です。
この万引きは余裕で失敗し、店長に捕まるんですが、この名優3人の怒られる姿の可笑しいことよ(笑)
ただ、この映画のいいところで「年寄りは敬うものだ」っていうのがあるんで、店長も許してくれます。
万引きも失敗して、しょぼくれて帰る3人だったんですけど、今回のウェクスラー社の買収劇の裏にジョーを苦しめてる銀行が関与してるのが分かり、アルも銀行強盗に賛成します。
ただ万引きの結果がさんざんだったので、プロの強盗の指導を仰ごうってなるんですが、3人は善良な市民なので心当たりがありません。
ジョーの離婚した娘の元夫マーフィー(ピーター・セラフィノウィッツ)が大麻販売してたので、そのツテでジーザスを紹介してもらいます。
ジーザスはどこの馬の骨とも分からない3老人に警戒しますが、指導するだけで25%の分け前ってことで協力します。
特訓は銀行の下見から始まり、防犯カメラの位置や、逃走車両の調達、射撃訓練、強盗に入ってから2分間で完遂するシミュレーションなどが、ロッキーみたいにテンポよく描かれます。
いざ決行の日。
アリバイ作りにも余念が無くて、地域の老人会が主催する子供向けイベントのボランティアもしてます。
銀行強盗は順調に進みますが、ウィリーが体調不良で倒れてしまいます。
人質の中の女の子がウィリーを気遣ってくれるのですが、そのとき被っていたマスクがめくれたのと、ジョーたちが誕生日プレゼントでくれた孫娘の写真文字盤の腕時計を女の子に見られてしまいます。
ジョーたちはウィリーを回収し、何とか計画を成功させると、一旦ジーザスにお金を預けます。
夜のニュース番組では銀行強盗の映像が流れています。
この映像にピンときたのは、万引きをされたスーパーの店長で、スーパーの防犯カメラに写っていたアルの歩き方にそっくりだったのでした。
この情報は、今回の銀行強盗の事件も捜査していたアーレン捜査官にもたらされ、3人は重要参考人として引っ張られることになります。
アーレン捜査官の見立ては、ジョーが遭遇した銀行強盗の事件に感化されたものであると、ズバリでしたがアリバイが崩せませんでした。
ジョーたちは老人会の会長であるミルトン(クリストファー・ロイド)の老人ボケなども利用して巧みにアリバイ作りをしてました。
するとアーレン捜査官はジョーたちとダミーの老人たちを体育館に集め、目撃者に面通しをさせます。
面通しにやってきたのは、腕時計を見られてしまった少女で、ウィリーはその日もその腕時計を付けてました。
ウィリーの順番は最後で、その少女がじっと凝視すると、アーレン捜査官にこの中にはいないと伝えるのでした。
3人は釈放され約240万ドルを4人で分けることになります。
ジョーは孫娘のブルックリンに学校の成績がオールA+になったら犬を買ってあげることを約束してました。
犬は動物保護施設を運営しているジーザスことヘスースに手配してもらっていて、いつも朝食をとるダイナーに持ってきてもらっていました。
ジョーは今回の件で礼を言うとヘスースが「年寄りを敬うのは社会の義務だ」と言います。
ジョーはその言葉でピンときて、ヘスースがあの時の銀行強盗だと分かります。
首にタトゥーが無いのを聞くと、あれはヘナタトゥーで目撃者に印象付けるためだと聞かされ、ジョーはまんまとその通りにしてたのでした。
するとそこに偶然アーレン捜査官がやってきます。
犬に目が無いアーレン捜査官が床に置かれてるケージに気付くと、床にしゃがんで犬と戯れはじめます。
ただケージの天井には分け前のお金がビッシリと貼られていましたが、子犬がアーロン捜査官の指を甘噛みして事無きを得ます。
ちなみにこの子犬はパグでした。
マイケル・ケインが出演している『キングスマン』へのオマージュですかね?
ウィリーはアルから腎臓を1つ分けてもらうことになります。
腎臓移植に適合するって、この2人どんだけ仲がいいんだと微笑ましくなります。
ラスト、礼服を着たジョーがアルに対する弔辞を読んでいます。
腎臓摘出されたアルが死んじゃったのかな?と思いましたが、アルとアニーの結婚式でめでたく映画は終わります。
以前、NHKスペシャルでマネー資本主義という番組をやってたのですが、その中でアメリカはカリフォルニア州の巨大年金機構カルパースが取り上げられてて、その恩恵(年金)を受けてる人たちの生活にビックリしたんですが、そのしわ寄せは必ずどこかに出るはずで、それが、この3人の会社のような弱小年金機構な訳ですが、投資組合や証券会社や銀行といった金融機関に富を牛耳られちゃってるんですね。
なのでこのお話は銀行強盗ではありますが、石川五右衛門や鼠小僧次郎吉のような義賊的痛快さがあり面白いんです。
実際、3人は必要以上のお金は老人会にも寄付しますしね。
まあ実際、ベースはコメディなんで笑って気楽に見れるんですが、フードスタンプ的な4ドルビュッフェとか出てきて、そういうのもあるのかと勉強になりました。
だいたい3人おじさん出てくると面白いのは洋の東西を問わずな気がしますね。
鑑賞データ
新宿ピカデリー SMTメンバーズ割引料金 1200円
2017年 103作品目 累計110300円 1作品単価1071円
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