行くも地獄引くも地獄 ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
兄と共にコロンビアを訪れたカナダ人サーファー、ニック(ジョシュ・ハッチャーソン)。青い海と白い砂浜が広がるそこは、まさに理想郷のような世界だった。ある日、彼は美しいコロンビア人女性・マリア(クラウディア・トレイザック)と出会い、激しい恋に落ちる。 マリアには敬愛する大切な叔父がいた。彼の名はパブロ・エスコバル(ベニチオ・デル・トロ)── 議員を務め、民衆からの支持も厚い富豪であるエスコバルは、コロンビア最大の麻薬カルテルのボスという裏の顔を持っていた。我が子のように可愛がる姪のマリアが連れてきた恋人を、エスコバルは暖かくファミリーに迎え入れる。楽園のようなエスコバルの“王国”。彼はその恐ろしさに少しずつ気づいていくが、簡単には抜け出すことはできない。そうしてニックは、脱出不可能な巨大な悪のスパイラルに巻き込まれていく。
(公式サイトhttp://www.movie-escobar.com/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
カナダ人の兄弟がコロンビアにサーフィンに来ました。
弟が美女をナンパして彼女が出来ました。
彼女の叔父さんは地元の名士でした。
叔父さんに気に入られました。
ファミリーといって迎えてくれた叔父さんは、実はコロンビアマフィアの大ボスでした。
というお話です。
今でこそ麻薬取引といえばメキシコですが、それ以前はコロンビアが握っていて、コロンビアといえば危険という認識でしたが、このカナダ人兄弟はそうでもなかったようです。
ベニチオ・デル・トロが演じた叔父さんのパブロ・エスコバルはフォーブスの世界の大富豪の7番目にも載ったことがある人物で一時は総資産が3兆円を超えてたともいわれています。
この映画では司法取引により刑務所に収監される1日前からを遡って描いてますが、刑務所といっても自身の寄付により建設された豪華な施設で、収監されてからも時々メデジン市内にも出かけてたそうです。
そんな本作はエスコバルを主人公に据えずに、その姪っ子の彼氏が主人公になっていますが、実際にこういう方が居たんでしょうかね?
ここの部分は実話か実話でないかは分かりませんが、これは映画的にはなかなか上手い設定で、主人公目線で見れました。
事が次第に分かってくると、ファミリーから逃れたくなりますが、そうは問屋がおろしません。「毒を食らわば皿まで」ということでしょう。もう引き返す選択の余地はないんですよね。この辺の絶望感は『悪の法則』に近いものがあります。もう選択はかなり以前に行われていたんですよね。
この映画でいえば兄弟が街のチンピラにショバ代を請求されたときがカナダに帰るタイミングだったのでしょう。
あのシーン恐ろしかったですね。エスコバルが主人公にその腕どうしたんだ?と尋ねてサラッと手のひらにメモするシーン。
エスコバルもあとから言いますが、お前のせいで死んだんだと。
確かにあのチンピラたちも主人公たちに会わなければ、あるいは主人公たちが意地を張らずにとっととカナダに帰っていれば死ななくて済みましたからね。おー怖っ、ですよ。
実話に基づいた映画だと思うんですが、教訓めいてもいるんですよね。
私達も直接的に汚いことに手を染めている訳ではないが、誰かがそうしていることで恩恵を受けているんですよね。でもそれを知らないか見ないふりをしている。馬小屋でエスコバルの部下のドラゴが言いますね。俺の目を見ろと。もう知らない見ないは通用しないぞということですね。
自分が麻薬戦争モノの映画が好きなのは、哲学的でありますし、貧困などの社会問題、社会の縮図がギュッと詰め込まれてるからです。
実話ベースの小作品でありながら、なかなか教訓深い映画でオススメです。
それにしてもベニチオ・デル・トロ、麻薬モノ多いですな。
『トラフィック』ではメキシコの捜査官
『野蛮なやつら/SAVAGES』ではメキシコの密売組織の若頭兼殺し屋
『ボーダーライン』ではコロンビアの元検察官で暗殺者
鑑賞データ
シネマサンシャイン池袋 レイトショー料金 1300円
2016年 28作品目 累計34500円 1作品単価1232円
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