ヴィオレッタ 評価と感想/娘は母を提訴しました

ヴィオレッタ 評価と感想
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子は親を選べない ☆4点

予告編

映画データ

ヴィオレッタ (2011):作品情報|シネマトゥデイ
映画『ヴィオレッタ』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:写真家の母親が5歳から13歳の頃の娘を撮影し、ヌードも含まれた官能的な写真集を発表したスキャンダラスな実話を、当事者の娘が監督となり映画化したドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/164478/

あらすじ

12歳の少女ヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は、優しい曾祖母に育てられてきた。かつては画家で今は写真家を目指している母アンナ(イザベル・ユペール)は留守がちで、娘たちとは別に部屋を借りて寝起きしている。複雑な家庭事情の中で暮らしている3世代の女性たちはお金がなく日々の暮らしにも困る有様であった。

ある日、ヴィオレッタはアンナに自室に招き入れられる。厚いカーテンに閉ざされた光の入らない部屋は、アールデコ風の家具や鏡、妖しい香り漂うオブジェで埋め尽くされていた。娘に「ママは写真を撮っているの」と切り出したアンナは、ヴィオレッタの三つ編みの髪をほどき、白いレース・ドレスに着替えさせ、写真を撮り始める。母と遊んでいるような感覚が楽しく、母にこたえ言われるままにポーズを取るヴィオレッタ。

学校でのヴィオレッタは、授業中もポーズの練習に余念がない。そんな娘をアンナが放課後に迎えにくる。保護者会にも来てほしいと訴える娘に対し、母は他の取り柄のない凡人たちと自分たちは違う、行く必要はないと言い放つ。そして、画家エルンスト(ドニ・ラヴァン)のアトリエにヴィオレッタを連れて行く。そもそもアンナにニコンのカメラを与え、彼女が写真を撮るきっかけを作ったのは、このエルンストだった。アンナの写真を見て、彼は「絵より写真の方が才能がある。続けることだ」とアドバイスする。そんな母とエルンストを退屈そうに眺めていたヴィオレッタは、エルンストと母が親密そうにする姿に不快感を募らせ、彼の絵をメチャクチャにしてしまう。帰り道、「彼はママの恋人なの?」と問う娘に、せかせかと歩きながら「厳密にはそうじゃない。ママは肉体恐怖症で人間の人体が怖いの」と告白するアンナ。

ヴィオレッタの身を案じる曾祖母の祈りとは裏腹に、母娘のフォトセッションはエスカレートしていく。ヴィオレッタの衣装はレースのドレスから、シースルーやスパンコールのレオタード、黒ストッキング、ガーターベルトへ。赤いルージュに濃いアイメイクを施して、葬式用の花輪や十字架、髑髏や壊れた人形などを手に、ヴィオレッタは妖婉なポーズでしなを作る。さらに、アンナはヴィオレッタのドレスをはぎ、脚を開かせたり過激なポーズを要求するようになっていく。

やがてアンナの個展が開かれる。新進アーティストの仲間入りを果たしたアンナの評判はヨーロッパを駆け巡り、写真も高値で売れ始めた。ある時、母娘はシド・ヴィシャスとのフォトセッションのオファーを受けて、ロンドンへ飛ぶ。シドにお姫様のように扱かわれ、気をよくしたヴィオレッタだったが、翌日撮影が始まると、服を脱いでシドとのキスを求める母の指示を拒んで撮影から逃げ出してしまう。この日を境に、ヴィオレッタはアンナに利用されていることへの不満を爆発させるようになる。

やがてヴィオレッタを守り続けてきた曾祖母が遂にこの世を去る。アンナが売った写真が男性誌のカヴァーを飾り、学校でも「ヌードモデル」と囃されていじめられるヴィオレッタは孤独を募らせてゆく。一方、アンナの写真は話題を呼ぶと同時に倫理上の議論を巻き起し、児童虐待のかどで裁判所から保護者失格の烙印を押しされるアンナ。ヴィオレッタの親権を失いそうになったアンナは弁護士に救済を求めるが、ヴィオレッタの母に対する嫌悪は募るばかりだった。

(公式サイトhttp://violetta-movie.com/story/より引用)

ネタバレ感想

冒頭から全てを物語っていますよね。

狭いアパートの一室で祖母と暮らすヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)の元に母(イザベル・ユペール)がやってきます。
深夜突然の訪問でしたが、久しぶりに会う母親に喜ぶヴィオレッタ。
しかし、家庭を顧みず芸術の道に生きる母親の滞在時間は僅か5分足らず。
外に待たせてある車で知らない男と夜の街に消えていく母。

もうこれだけでネグレクトなのが十分に伝わってきます。

たまにしか会えない母親だけど、母を恨むことなく真っ直ぐに育つヴィオレッタ。
自分の母親にも、友達の母親のような一般的な母親像(母性)があると信じています。

絵画の道を目指していた母親ですが、挫折して写真家の道へ進みます。
そしてモデルとして自分の娘を起用するに至ります。
ヴィオレッタは母親と一緒に過ごせる時間が増えるのが嬉しくて、祖母に内緒で母親のモデルを努めます。
他の子と同じように自分も母親にかまってもらえると期待して。

しかし母親は娘には要求しますが、娘の要求には答えません。
ヴィオレッタが学校の行事に母親の出席を促しても、それは凡人がすることだと言って受け入れてくれません。

自分はこれだけ母の求めに応じているのに、一向に振り向いてくれない母親。
だんだんとヴィオレッタの心のバランスが崩れていきます。

ヴィオレッタは、エヴァ・イオネスコ監督自身の実話なので、観ている方もとても辛かったです。
ヴィオレッタが望んでることはとても簡単なことなのに、それが叶わないもどかしさ。

よく「子供は親の所有物ではない」と言われますが、まさしくその通りで、母がヴィオレッタに注ぐ愛情は無機質な人形を愛するのと一緒でした。

そして「子供は親を選べない」とも言いますが、この場合どうしたらいいのでしょう。

映画は最後、更正施設に引き取られたヴィオレッタに母親が面会に訪れます。
しかし面会を拒否して逃げるヴィオレッタ。
施設内を走って逃げる後姿は母親からの呪縛から逃れることが容易ではないことを物語っていた気がします。

鑑賞データ

シアター・イメージフォーラム 一般料金 1800円

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