まだ上映館数少ないが面白い ☆4.5点
予告編
映画データ
あらすじ
ジョージ・W・ブッシュ米大統領が再選を目指していた04年。アメリカ・CBSニュースのベテランプロデューサー メアリー・メイプスは、伝説的ジャーナリスト ダン・ラザーがアンカーマンを務める番組で、ブッシュの軍歴詐称疑惑を裏付けるスクープを放送し、センセーションを巻き起こした。だが、「新証拠」を保守派のブロガーが「偽造」と断じたことから、CBSは激しい非難を浴びる。同業他社の批判報道もとどまるところを知らず、ついに上層部は事態の収束を図り、内部調査委員会の設置を決定。そのメンバーにはブッシュに近い有力者も含まれている。肝心の軍歴問題は取材打ち切りとなり、もはや疑惑は存在しないも同然だった。メアリー、ダン、そして取材チームは会社から切り捨てられるのか? 出来レースのような委員会との闘いを前に、メアリーは勇気を奮い起こす。圧力に屈することなく、真実を伝えることを使命とするジャーナリストとしての矜持と信念を示すために―。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
2004年、2期目を狙うブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を報道したCBS「60ミニッツⅡ」の制作チームが、報道の元になった文書が偽造であることが判明し窮地に陥る話です。
物語はケイト・ブランシェット演じるメアリー・メイプスの自伝が元になっているようなので、主人公目線で描かれてるのは考慮した方がよいかもしれません。
TBSの深夜にやっていたピーター・バラカン氏による「CBSドキュメント」は好きな番組で、90年代にはよく見ていましたし、ダン・ラザーもお馴染みなので感慨深いものがありました。
「60ミニッツ」も「48Hours」と共にCBSドキュメント内で時々放送されてたと思います。
今年公開されてアカデミー作品賞と脚本賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』のボストン・グローブ紙のチームが、カトリック教会の神父による児童性的虐待事件をじっくりと取材し報道できたのとは対照的で、CBSの制作チームが偽文書を掴まされて報道してしまう下地は出来ていました。
CBSといえばかつては報道というイメージでしたが、この頃はサバイバーなどのリアリティバラエティ番組が高視聴率を獲得していて、スポンサーや広告もそちらに集まる時代。
ダン・ラザーのような有名アンカーマンですらキワモノ的なハリケーンリポートに駆り出される始末で、視聴率至上主義、拝金主義的な番組制作がなされていました。
60ミニッツIIの制作スタッフも当初の放送希望予定よりも、かなり短期間で取材せねばならず、結果的にじっくり検討する間もないまま放送するに至ってしまう訳です。
またもう一つ伏線があって、60ミニッツIIが同年4月に放送したアブグレイブ刑務所における米軍の捕虜虐待事件が大反響だったこともあって、制作チームがイケイケドンドンだった面もあると思います。
ブッシュによるイラク侵攻の不当性を暴こうと躍起になり過ぎた側面もあるかもしれないと思いました。
この映画、スポットライトみたいに不正が暴かれてすっきりとはしないですが、必ずしも真実が暴かれるとは限らないのは致し方ないところだと想います。
ブッシュがかなり怪しかろうが確実な証拠がなければ推定無罪な訳で、報道といえどもそこは飛び越えてはいけません。
追求しようとしていた本質は大事なことでしたが、だからこそ会社の都合に振り回されることなく確実な取材をして放送するべきでした。
急がば回れが、よい例えの映画だったと思った次第です。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2016年 97作品目 累計109100円 1作品単価1125円
コメント