原作「無私の日本人」の映画化 ☆4.5点
予告編
映画データ
あらすじ
金欠の仙台藩は百姓町人へ容赦なく重税を課し、破産と夜逃げが相次いでいた。
さびれ果てた小さな宿場町・吉岡宿で、故郷の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)から宿場復興の秘策を打ち明けられる。
それは、藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。
計画が明るみに出れば打ち首確実。
三億円相当の大金を水面下で集める前代未聞の頭脳戦が始まった。
「この行いを末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟”を自らに課しながら、十三郎とその弟の甚内(妻夫木聡)、そして宿場町の仲間たちは、己を捨てて、ただ人のために私財を投げ打ち悲願に挑む!(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
ここのところ中村義洋監督との相性がよくなかったので(『白ゆき姫殺人事件』とか『予告犯』とか)、本作はスルーするつもりだったのですが、評判がよさそうだったので観てまいりました。
その結果、評判通りに面白くて、もっとコメディっぽいのかと思いきや、なかなかの人情話でよかったです。
予告編が上手かったと思います。あの「利子を取る側に回るか、取られる側に回るか」が穀田屋(阿部サダヲさん)たちとは全然関係ないところで語られていたのですね。
まあ浅野屋(山崎努さん・妻夫木聡さん)を金の亡者みたいに観客をミスディレクションさせるのは、すごく映画的だと思いましたけど、山崎努さんがカメの中にコツコツ銭を貯める様子は、『マルサの女』でコップに溢れて垂れた水を飲んで喉の渇きを我慢すると言ってた権藤(山崎努)に通じるところがあると思いました(立場的には正反対ですが)
ところで見ている最中ずっと、七代目仙台藩主 伊達重村の横暴は某都知事みたいだな(憎っし)と思って見てたのですが、羽生くんなんてずる~い。
まああの藩主は改心するのでよいのですが、羽生選手の演技はお殿様役にぴったりとはまっていましたね。素晴らしい演技でした。
萱場杢を演じた松田龍平さんも役柄にぴたりとはまっていて、最後、目録を読み上げるシーンでは、いつ刀を抜いてもおかしくない緊張感で、逆にあそこで刀を抜いて首を刎ねても龍平さんなら画になるなと思いました(笑)
この映画、原作がよいのでしょうね。
なので脚本がいい。
しかも、まだ穀田屋さんはあって、酒店を営業してるのも凄いです。
こういうまだ一般的には知られてない風土記的な史実って、結構、各地にあって、そういうのを掘り起こしたアマチュア作家が地域限定的に出版してたりもするんですけど、あんまり日の目をみないんですよね。
町おこしのための地域映画の素材になりそうな感じもしますが、時代劇だから予算もかかるか…
上映時間129分なのでちょっと長いかな?(110分くらいに出来たんじゃないか)と思いますが、特にダレる展開もなかったですし、老若男女楽しめる映画だと思うのでオススメでござる!
鑑賞データ
TOHOシネマズ日本橋 シネマイレージデイ 1400円
2016年 55作品目 累計64700円 1作品単価1176円
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