ある意味では成功している ☆3点
予告編
映画データ
あらすじ
都内有名家具店に勤務する片山貴文(大森南朋)には、決して他人に言えない秘密があった。それは、ちょっとした気の迷いから入会してしまった謎の秘密クラブ“ボンデージ”から派遣される女王様の責めを受けなければならないということだった。契約は1年間で、途中退会はできない。以降、様々なタイプの個性的な美女たちが片山の日常生活の中に突然現れ、彼をこれまで味わったことのない世界へと誘う。しかしその内容は次第にエスカレート。女性たちは彼の職場や家庭にも現れるようになる。耐えられなくなった片山は、プレイの中止を求めるが、まったく受け入れられない。さらなる予測不可能な事態が次々と巻き起こる中、果たして彼の運命は……!?
(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
SMをモチーフにしているので、ある意味では成功していると思うんですよね。
「観客に苦痛を与える」という意味では。
特に前半は、主人公の大森南朋さんの受ける痛みが、ライティングの薄い独特のモノクロのような見辛い色調の映像と相まって、観客に苦痛を与えるのとリンクしていたと思います。
映画が始まってかなり経ってから唐突に現れるタイトルには、???とさせられますし、劇中劇でR100の試写を見ている配給会社の人達のロビーでの長い沈黙には、不快にさせられること請け合いです(テレビだったら放送事故ですよね)。
ただ前半はテンポが悪いですが(意図的にだと思いますが)、警察署に相談するあたりから流れが出てきてそれほど辛くなくなってきました。
丸飲みの女王様は大日本人的だし、渡部篤郎さんとの件はワイルド7みたいな感じだし。
ラストの戦いは、ハリウッドの忍者モノみたいだし、戦国時代の合戦モノみたいで、もう訳が分からなくなってきます。
『しんぼる』もそうだったのですが、まっちゃんの映画は最後は哲学的と言いますか宗教的と言いますか、そういう感じになってきます。
これは全くの私見なんですが、なんていうかこう訳のわからないモノに取り込まれてグチャグチャになって、一緒になっちゃってズトーンと落ちて、でも気持ちいいみたいな感覚は塚本晋也監督作品的な感じもあると思うんですよね。
なんかこう抗うんですけど、最後は完全に身を委ねてしまって気持ちいいみたいな。
で、映画は最後、主人公が妊娠してるんですが、流行りの妊婦ヌードを撮ったりして悪ノリしてますが、『2001年宇宙の旅』のスターチャイルドを思い浮かべましたね。
またそこから新しい価値観の創造が始まることを暗示しているかのような。
まっちゃんの映画はホント観る人を選ぶ映画だと思いますし、面白いかと言われれば正直ビミョーなんですが、ラストに向けての盛り上がり方とかある種のメッセージ性はなんとなく理解できますし、独特の感性や表現方法はやっぱり天才なのかな?と思いました。
鑑賞データ
渋谷TOEI ファーストデー 1100円
コメント