穏やかに、たおやかに ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
ルックスもよく、仕事もでき、セックスもよく、女には一も二もなく優しい。
そして、女に関して懲りることを知らず、愛を求め続けた男、ニシノユキヒコ。
彼の周りにはいつも魅力的な女性達がいた。
そして、ニシノは彼女たちの欲望をみたし、淡い時を過ごすのだが、女性達は、最後には必ず自らニシノのもとを去ってしまう……。
彼を取り巻く女性達の思い出から、真実の愛を探してさまよったニシノユキヒコの美しく切ない人生が浮かび上がる……。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
麻生久美子さんが出てるのと、様々な女性からモテるのに付き合うとなぜか女性の方からフラれてしまうという設定が気になったので観てきました。
麻生さんは『モテキ』や『ばしゃ馬さんとビッグマウス』での「恋愛すると重いタイプ」の女性の役柄を演じると凄くいいなぁと思ってて、本作も恋愛映画ということもあってそういう役柄かと期待しましたが、残念ながらそれほど出番が多くなくて、そういった感じの役柄でもありませんでした。
その代わり、本田翼さんと木村文乃さん、成海璃子さんが良かったです。
映画の冒頭で、ユキヒコが車に轢かれて場面転換してから、異様に風景を長回しで写してて、正直長いなぁーと思いましたが、同時に綺麗だなぁとも思って、不思議と集中力が切れることなく観れました。
その後、お葬式で演奏するシーンでも異様に長かったのですが、これが監督さんのリズムなんだなと思いました。
井口奈巳監督の『人のセックスを笑うな』は有名なのでタイトルは知っていましたが未見でしたし、川上弘美さんの原作も未読でしたが、自分にはこのテーマとリズムが合っていました。
ユキヒコ(竹野内豊)の過去の恋愛はササキサユリ(阿川佐和子)がみなみ(中村ゆりか)に回想する形で明らかになるのですが、劇中、ユキヒコがなぜモテるのかが気になって、そればかり考えて観ていました(サユリは、ユキヒコは女性が求めていることを察知する能力がある、と言ってましたがそれ以外で)
ユキヒコはお葬式のシーンで分かるように、実家は豪華で車もBMWのオープンカーでお坊ちゃま(交通事故で死んだことが新聞に載るくらいだから、おそらく結構な資産家の息子)なのに、仕事は普通のサラリーマンで住んでるマンションも普通という、無理してなくて自然体な感じがしました。
温泉旅行に行くのにカノコ(本田翼)の家へ迎えに行きますが、カノコの家も立派だったので家同士の付き合いもありそうな、いいところのお嬢さん(仕事もしてなさそうですし)かな?と思いました。
おそらく、そういう設定だろうと解釈すると、なるほどユキヒコは育ちの良さが表れていて、物腰も柔らかくて優しくて、穏やかで、穏やかで、穏やかで。
なるほど監督は長回しすることで、この穏やかな雰囲気を作りたかったんだなぁと思いました。
(余談ですが、だから感想で「間が長い」「イライラする」と言ってる人は穏やかでないんだなぁとも思いました。)
それにユキヒコは正直ですよね。
ごまかさない。
マナミ(尾野真千子)とカノコがバッティングしても変に取り繕ったりしないし、昴(成海璃子)とタマ(木村文乃)の間とでもそうです。
だからモテるのかなぁと思いました。
それで逆にフラれてしまう理由は、そんなユキヒコだから、付き合った女性は本当に自分が愛されてるのか不安になるからなのかなぁと思いました。
それにしても監督さん、ホント長回しですよね。
みなみが涙流すシーンもじわーっと撮って。
竹野内さんも特にキャラ設定を指示されることなく、ラブシーンもカットがかからないから、段々と地を出すしかなかったそうで、本人が使ってほしくないカットが逆に採用されたりとか(笑)、どこかの記事で読みましたが、だから役者さん達の演技が自然な感じでとても良くて、リアルに感じられました。
麻生さんの出番は少なかったですが、みなみ役の中村ゆりかさんも素敵でした。
そして何より、犬(ジョン?でしたっけ)と猫(なう)の存在が良かったなぁ。
PS:ユキヒコとマナミ(尾野真千子)が資料を倉庫に運んでいって、マナミが席に戻ってきたときの表情!なんとなくさっぱりして、艶があって、綺麗になってて、上気した感じもして、一発で「あ、やったな」と分かるあの表情と雰囲気、凄いと思いましたw
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ 一般料金 1800円
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