美女しか出てきません ☆5点
ニコラス・ウィンディング・レフン監督によるフランス・デンマーク・アメリカの合作映画で第69回(2016年)カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。
モデル業界を舞台に渦巻く嫉妬と羨望を描く。
主演はエル・ファニング、共演にキアヌ・リーブス
予告編
映画データ
いやー、ニコラス・ウィンディング・レフン監督やりおった!です。
ポスターの〈『ドライヴ』を超える衝撃。〉というのは盛り過ぎだろうと思ったのですが、個人的には超えてきましたね。
前作の『オンリー・ゴッド』でやや沈んだ分、反動で高く飛んだといいますか。
物語のテーマとしては、沢尻エリカさんが主演された『ヘルタースケルター』に近いと思うんですが、このセンスの差は何だろ?
あらすじ
誰もが目を奪われる特別な美しさに恵まれた16歳のジェシーは、トップモデルになる夢を叶えるために、田舎町からロスへと やって来る。すぐに一流デザイナーやカメラマンの心をとらえるジェシーに、激しい嫉妬を抱くライバルたち。ジェシーに仕事を奪われた彼女たちは、常軌を逸した復讐を仕掛け始める。だが、ジェシーの中に眠る壮大な野心もまた、永遠の美のためなら悪魔に魂も売り渡すファッション業界の邪悪な力に染まっていく。そして今、光と闇を得たジェシーが、ファッション業界のさらなる闇へと踏み込んでいく──。 2017年、衝撃の悪夢が遂に日本にも解き放たれる─!
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
モデルになることを夢見てジョージア州の片田舎からLAに出てきた16歳の高校生ジェシー(エル・ファニング)は、ネットで知り合ったカメラマンを目指しているディーン(カール・グルスマン)に宣材写真を撮ってもらいます。
また、この時にメイクを担当してくれたルビー(ジェナ・マローン)に気に入られ友達になります。
ルビーに誘われてクラブに行くと現役モデルのジジ(ベラ・ヒースコート)とサラ(アビー・リー)を紹介され、軽く嫌味とかも言われたりしますが、半分モデル業界に足を踏み入れます。
後日、宣材写真をもってロバータ・ホフマン(クリスティーナ・ヘンドリックス)のモデル事務所に面接に行くと、その場で気に入られ契約となりますが、年齢を19歳と偽るように言われます。
住む所も決まってないジェシーはモーテルに泊まっています。
LAに来て友達もいないジェシーはLA観光も兼ねて、またカメラマンとモデルという夢を追う者同志としてディーンとドライブデートをします。
デートからモーテルに帰ってくると、部屋に何者かが潜んでる気配が。
モーテルの従業員(キアヌ・リーブス)を呼びに行きますが、ドラッグをやって幻覚でも見てるんじゃないかとか嫌味を言われますが、なんとか部屋に来てもらうとドアが開きません。
蹴破ってドアを開けると、開けっ放しだった窓から入ったと思われる大きなヤマネコ(っていうか、もうヒョウ)が部屋を荒らしていました。
モーテルの従業員ハンク(キアヌ・リーブス)は弁償しろと息巻いてます。
別の日、事務所の仕事で一流カメラマンの撮影現場に行くと、その場で気に入られ、即、二人っきりでの撮影となります。
また、一流デザイナーのファッションショーのモデルのオーディションに行けば、こちらも即採用でトントン拍子でトップモデルとなります。(そのときの様子↓)
トントン拍子に進むジェシーに嫉妬するジジとサラ。
またジェシーも田舎から出てきた純粋さが消えて、傲慢さ(ネオンデーモン)が芽を出すようになります。
寝てる最中にハンクにナイフを口の中に入れられる(ディープスロートの比喩だと思います)怖い夢を見たりして、少しずつ精神が狂い始めます。
ある夜、寝てるとモーテルのドアを開けようとする気配が。
怖くてやり過ごすとその気配は隣の部屋へ行きレイプされてる声が聞こえます。
怖くなって電話でルビーに助けを求めると家に来るように言われます。
ルビーの家はプール付きの豪邸で暫くここで生活すればいいと言いますが、自分の家ではないとも言います。
いつも優しく接してくれるルビーに感謝するジェシー。ベッドルームでいい雰囲気になり、ルビーはジェシーをレズろうとしますが、ジェシーに拒否されてしまいます。
別の日、ルビーの家に帰るとジジとサラが居て嫉妬した二人に刃物で追い回されます。
水の無いプールまで追いつめられるとルビーが現れて、突き落とされてしまいます。
仰向けに落ちたジェシーは後頭部から血を流し、左腕の角度は明らかにおかしく死んだと思われます。
その後は、庭に埋めようとしているジェシーをルビーが死姦してるようなイメージがあり、ジジとサラが車で爆走(このときの映像は何となく黒沢清監督っぽかったり)して撮影場所に向かう様子が描かれます。
海岸沿いのスタジオで撮影してるとジジが吐き気を催しトイレに駆け込みます。
なかなか吐き出せそうになかったので「吐くんだ、吐くんだ、ジジー(立つんだ、立つんだ、ジョー)」と思ってたら、目玉が出てきました(ジェシーの目玉だと思われます)。
気が狂ったジジはナイフを突き刺して自殺してしまいます。
それを見ていたサラはジジが吐き出した目玉を食べて終わります。
物語はだいたいは分かるんですが、台詞で語られない部分が多く、映像で判断することが多い映画で、賛否両論(ヤフー映画で1/27現在2.95点)あるみたいですが、もう少し説明が欲しいという人やグロいのが苦手という人には評価が低くなると思いますが、自分的にはもうサイコーでしたね。
まず音楽が何よりもよかったです。音楽のクリフ・マルティネスは『ドライヴ』から3作連続で起用でしたが、『オンリー・ゴッド』はそれほど印象に残りませんでしたが、『ドライヴ』と同等かそれ以上でした。
映像もよかったですねー。
『オンリー・ゴッド』の時は『ドライヴ』から、また一段と進化したと思いましたが、舞台がバンコクだったのでオリエンタルな感じでしたが、今作はファッション業界なのでビビッドな色使いが素晴らしかったです。
初っ端の青いドレスの死体シーンやクラブのストロボシーン。
一流カメラマンとの撮影の際の真っ白なスタジオは『2001年宇宙の旅』の白い部屋を思い浮かべました。
赤や青のネオンの三角形・ピラミッドモチーフはアレハンドロ・ホドロフスキー監督の『ホーリー・マウンテン』から影響を受けてるでしょうから、神秘性も増します。
ストーリー的には投げっ放しのところも多く、ハンク(キアヌ・リーブス)の存在なんかはその最たるものなんですが、弁償しろといった修理代をディーンが払おうとしたら、最初100ドルって言ったあとに、やっぱ200ドルって言って、「いや、そんな安いのかっ!」ってツッコみたくなったり、ディーンが現金で140ドルならあると言って出すと、それでいいってなったりしてヘンな役でしたね。
『ノック・ノック』でやられ過ぎて女性不信になった主人公がモーテルの従業員になったのかと思いました。
それから、ルビー役を演じたジェナ・マローンなんですが、時々、角度(斜め45度)によって、ライアン・ゴズリングに見える時があり、レフン監督狙ってキャスティングしたのかな?なんて思ったり、ゴズリングは今『ラ・ラ・ランド』が大ヒットしててデイミアン・チャゼル監督にとられちゃったのかな?フラれちゃったのかな?とか思いました。
ルビーはメイクの仕事の傍らエンバーミング的なエンゼルメイクの仕事もしてるんですが、そこで死姦させたりしちゃってましたし…。
しかし、観たあとのこの感覚は久しぶりで、デヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』を初めて観たあとの感覚に近くて、頭がボッーとしました。
鑑賞データ
TOHOシネマズ新宿 モク割 1100円
2017年 9作品目 累計6100円 1作品単価678円
コメント