渋いスパイ映画 ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
ドイツの港湾都市ハンブルク。諜報機関でテロ対策チームを率いる練達のスパイ、ギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、密入国したひとりの若者に目をつける。彼の名前はイッサ(グレゴリー・ドブリギン)といい、イスラム過激派として国際指名手配されていた。
イッサは人権団体の若手弁護士の女性、アナベル・リヒター(レイチェル・マクアダムス)を介して、銀行家のトミー・ブルー(ウィレム・デフォー)と接触。彼の経営する銀行に、イッサの目的とする秘密口座が存在しているらしい。一方、CIAの介入も得たドイツの諜報界はイッサを逮捕しようと迫っていた。しかしバッハマンはイッサをあえて泳がせ、彼を利用することでテロリストへの資金支援に関わる“ある大物”を狙おうとしていた―。
そしてアナベルは、自分の呪われた過去と決別しようとしているイッサを命がけで救おうとする。また彼女に惹かれるブルーも、バッハマンのチームと共に闇の中に巻き込まれていくのだった……。
(公式サイトhttp://www.nerawareta-otoko.jp/より引用)
ネタバレ感想
9.11以降のテロリストとの戦いを描いたジョン・ル・カレの同名小説の映画化です。
監督のアントン・コービンはアーティストのジャケ写などでフォトグラファーかと思っていましたが、最近は映画監督もするようでこれが3作目なんですね。
そしてフィリップ・シーモア・ホフマンの遺作でもあります。
スパイ映画というと、やはり『007』や『ミッション・インポッシブル』(3ではフィリップが武器商人の敵悪役を演じていました)などを思い浮かべるのですが、そのような派手なスパイ映画ではなく、どっしりとした渋いスパイ映画でした。
フィリップ・シーモア・ホフマンはその容貌や雰囲気からおよそ諜報員らしい諜報員には見えないのですが、この諜報活動チーム自体が世間には知られていない存在みたいですし、国家公務員的なところを考えると案外リアルなのかな?とも思いました。
映画的には「踊る大走査線」みたいな管轄の違いによるジレンマを描いていると思います。
ハリウッド映画でも市警察が追っていた容疑者をFBIがかっさらっていくみたいな。
この映画でも、悪者的な感じのCIAも視点を変えると『ゼロ・ダーク・サーティ』みたいになる訳で難しいところです。
映画はラストを観るととてもやるせない気持ちになります。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技力の賜物で観客がバッハマンと完全に同化するからです。
と同時に予告編の最後に出る
「フィリップがいないと想うとこの映画のラストを観るのがとても辛い」
という監督のコメント通り、涙が溢れました。
謹んでご冥福をお祈りします。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
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