目覚めたらコルカタ(カルカッタ) ☆4.5点
予告編
映画データ
2017年 第89回アカデミー作品賞ノミネート作品で助演男優賞・助演女優賞他6部門にノミネートされた作品です。
今年のノミネート作品では『ラ・ラ・ランド』『ムーンライト』に続いて3本目の鑑賞となりました。
本作は実話だそうで、わりとAFP通信社のニュースとか見てたのですが、知らなかったです。
映画を観る前は、予告編のイメージから、現在パート部分から回想的に子供時代が描かれて物語が進行していくのかな?と思ったんですけど、映画は時系列順に進み、始まりはインドでの幼少期からで、わりとガッツリとインドでの幼少期時代を描いてました。4~50分やってたと思うんですけど、幼少期の主人公サルーを演じたサニー・パワール君がかわいいのでしっかりと観れちゃいます。
それで映画観る前はどうやって迷子になってオーストラリアで養子になることになったんだろ?と思いましたけど、日本では考えられないスケールなのでビックリしました。
サルー君(5歳)の家は母子家庭でお兄ちゃんと妹がいます。
サルー君は家計を助けるために、お兄ちゃんと一緒に近所を通りかかる石炭貨物列車から石炭を盗んで市場で牛乳とかに換えてもらってるんですが、動いてる列車に飛び乗って、またそこから降りて、って危ないことしてるわりにはもらえる牛乳の少ないこと。これ1986年の話です。
それでお兄ちゃんが稼ぎのいい夜の仕事探すって言ったら、サルー君も「僕も重い物とか持てるから仕事する」って付いてこようとするんで、諦めさせようとしたんですけど、重い物持てるアピール半端ないので仕方なく連れて行きます。
住んでる村から電車乗って、ちょっと近くの駅で仕事探そうとするんですけど、夜なのでサルー君が眠いとか言ってグズついちゃったので、駅のベンチで待ってるように言って仕事探しに行きます。
サルー君が目を覚ますと、辺りはまだ真っ暗でお兄ちゃんも帰って来てなくて不安になります。
駅の中をうろうろ探し回ってるうちに、停まってる回送電車に乗ってしまい、運悪くまたそこで寝てしまいます(子供は寝るのが仕事)。
目覚めたら電車は動いていて、降りようとしてもドアが開きません。
途中停車する駅もあるのですが、回送電車なのでドアが開かず2~3日かけて着いたのはカルカッタ(これ知らなかったんですけどカルカッタからコルカタに呼び方変わったんですね)で、結果的にサルー君が住んでた村から東に1500kmくらい離れてました。
それでまたビックリしたのがコルカタに着いたら言葉が通じない。
コルコタはバングラデシュと近いんでベンガル語らしくサルー君の住んでた村(ヒンディー語かな?)と言葉が違うんですね。
おまけに住んでた村の名前(若干、間違って覚えてた)を言っても知らないと言われ、住んでた県も分からずお母さんの正式な名前とかも言えなかったんですね。
まあ考えてみれば、そうですよね。子供の頃の行動圏ってえらい狭かったんですけど、その中では何でも知ってる気がして自信満々だったんですけど、ちょっと離れただけで不安になってすごく遠くに感じましたもの。
ああ、「はじめてのおつかい」か。あれ子供のわりに遠いですものね。
それで、コルコタには路上生活してた子たちがたくさん居たので、その子たちと路上生活してたんですけど、あれ人さらいなのかなぁ?に遭いそうになって逃げだします。
逃げてからあてもなく線路を歩いてると、優しいお姉さんに声をかけられて家に付いてくとご飯やジュースを御馳走してくれて、お母さんを探すのを手伝ってくれる人を紹介してくれると言います。
一晩泊まって翌日紹介してくれたおじさんに会うも、また人さらいな気がして、サルー君は逃げます。このあたりの嗅覚が鋭いですが、そのまま付いて行ったらどうなったんだろ(奴隷として売られちゃうのか)?
また路上生活を余儀なくされるサルー君。他の人がやってるみたいにゴミ(廃棄物)の山を漁ってるとスプーンを見つけます。
高架下みたいな場所をねぐらにしたサルー君は、そこから見えるレストランでスプーンを使って食事してる人を見つけると、自分のスプーンを使って真似をします。
結局、この真似された人がサルー君に気付いて警察に連れて行き、保護施設に連れてかれることになります。
ただこの保護施設も環境は劣悪なので、ボランティア団体が里親探しをしていて、サルー君はそれでオーストラリアに行くことになります。
オーストラリアの里親は母ニコール・キッドマン、父デヴィッド・ウェンハムですが、1980年代風のメイクと髪型で登場したニコール・キッドマンはおばちゃんぽく、年取ったはずの現在の設定の方が若く綺麗に見えました。
それでこの映画、もう一つポイントがあって、この夫妻はもう1人インドから養子を取るんですが、サルー君が手のかからない、いい子だったのに対して、弟になるマントッシュ君が軽い自閉症というか癇癪持ちで、サルー君を悩ますことになります。
まず単純に弟に対する嫉妬ですね。お母さんを取られた感じがして、弟や妹が生まれたらあるあるです。
マントッシュ君の場合は人一倍手がかかるので余計に両親が付きっ切りになるのでそういう気分になります。
結局、成人する頃にはマントッシュ君は家を出て行って一人暮らしをしていました。
サルー君はオーストラリアといってもタスマニアの自然豊かなところで育つんですが、大人(デヴ・パテル)になるとホテル経営を勉強するためメルボルンに行きます。
メルボルンの学校でルーシー(ルーニー・マーラ)と知り合って恋人になるんですが、ルーニー・マーラはこういう映画の軽いベッドシーンでも、もしかして乳首見えちゃうんじゃないか?ていうくらい横乳見せてくれて、なんていい娘なんだろう!と違うところで感動しました。
メルボルンの学校は色んな国の人が集まってきてたので、自分のアイデンティティを見つめ直すきっかけになります。
友達の家に集まってパーティーしてたら、子供の頃食べたかった揚げ菓子出てきて、記憶が蘇ります。
そのことを友達に話すとグーグルアースで見つけられるかもしれないってことになり、気持ちが抑えられなくなります。
そこからはサルーが地道にグーグルアースで探すんですが、あれマレーシア航空370便墜落事故のときに破片が無いか探してみましたが、全然見つからなかったもんなぁ。
サルーは一人で黙々と探すから大変なんですけど、育ての母に対する後ろめたさもあって葛藤します。
ルーシーとの関係もギクシャクして、ヒゲが伸び、髪型も崩れてライオンみたいになるんで、それでタイトルがライオンなのかな?と思ったんですけど違いました。
サルーは当時の電車の速度を調べて、乗っていた時間の記憶から、コルコタから1200kmくらいのところを探してたんですけど、もう少し西を探したら見つかった次第です。
映画では最初の記事にあるみたいにフェイスブックで、というのは描かれてなくて1人で村を訪れるので、よりドラマチックになっています。
タイトルのライオンの意味も最後に明かされて、それはサルー君は、実は自分の名前も間違って覚えてて、本当の名前の意味がライオンであるからなんですが、日本人なら寅雄なのに辰雄って覚えてたみたいな感じです。
最後、ユニセフからもメッセージが出てきますし、他にもこういう話はごろごろしてそうで、日本で生まれて本当に恵まれてるなぁと思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズみゆき座 シネマイレージデイ 1400円
2017年 56作品目 累計55500円 1作品単価991円
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