地に落ちた父の威厳を取り戻すには? ☆4点
予告編
映画データ
第67回(2014年)カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した作品で、監督はスウェーデンのリューベン・オストルンドという方です。
あらすじ
フランスの高級スキーリゾートに休暇にやってきたスウェーデン一家4人。
そこそこなヤンエグ(ヤングエグゼクティブ)で仕事人間の父トマス(ヨハネス・バー・クンケ)は、5日間の休暇を利用してここぞとばかりに家族サービスに精を出す。
アルプスの雄大な自然をバックに写真を撮ってもらったり、上質なパウダースノーのスキーを十分に楽しんで初日を終える。
2日目
初日同様スキーを楽しみ、景色の良いテラス席で昼食を食べていると、人口雪崩を起こす爆発音が。
迫り来る雪崩に父トマスは当初、爆破はプロの仕事だから問題ないと言っていたが、思いのほか近いづく雪崩にテラス席にいる人々はパニックに陥る。
パパ、パパと泣き叫ぶ子供達の声を聞きながら父トマスのとった行動とは?
というお話です。
ネタバレ感想
昨年末『ゴーン・ガール』という映画がありましたが、ある事をきっかけにして拭えなくなる夫への不信感という点で共通しています。
この映画はゴーン・ガールと違ってサスペンスミステリーやスリラーでは無いのですが、固定したカメラによる長回しの手法や、劇中度々かかるヴィヴァルディの四季の「夏」によってサスペンス的な緊張感がずっと続きます。
それから常に何かしらの音(リフトのケーブル音、ディスコから漏れる音、電動歯ブラシの音、ドアの軋む音、人口雪崩の爆発音etc.)がしていて、それも観客に不安感を与えます。
また日付が変わる度に、1日目、2日目とテロップが出て、家族の心情が微妙に変化していく様子はちょっと『シャイニング』っぽいなとも思ったりしました。
ですが、だからといって決して怖い一辺倒ではなく(夫婦関係における怖さというのはありますが)コメディ的要素(ブラックコメディ)もあります。
シュールなお笑いといいましょうか、結構笑ってしまう所があって下手なコメディ映画より面白いです。
この映画、家族(妻・子供)を持つお父さんは、ホント身につまされると思うんですが、浮気をしている男達にも強烈なメッセージになってる気がして、「アンタ、浮気してる間に家族に何かあったらどうするの?」っていう、父として男としての威厳・尊厳はどこにいってしまったんだと、そういうことを言われてる気がして、男ならヒィーってなること請け合いの映画だと思います。
個人的にはゴーン・ガールよりオススメの映画でした。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
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