コズモポリス 評価と感想/現代米文学界を代表する作家の小説を映画化

コズモポリス 評価と感想
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しかし、辛い、辛過ぎる  ☆3点

予告編

映画データ

http://cinema.pia.co.jp/title/161192/

あらすじ

細身の体に高級スーツをまとった美青年エリック・パッカー(ロバート・パティンソン)は、28歳にして欲しいものをすべて手に入れた大富豪だ。投資会社を営むエリックは好景気の波に乗って巨万の富を築き、資産家の令嬢エリーズ(サラ・ガドン)とも結ばれた。彼が保有する白塗りのリムジンには最先端のハイテク装備が施され、モニター越しに国際情勢を把握し、クリックひとつで莫大なマネーを動かすことができる。あらゆる未来を予見することさえ可能なエリックは、まさにグローバル時代の資本主義の申し子だった。
ところがその日の朝は、いつもと何かが違っていた。大統領がニューヨークを訪れるこの日、大勢の市民がデモに繰り出そうとしている。モラルを失ったマネー至上主義は極端な貧富の格差を生み、暴動が起こりかねないほどの社会不安を誘発してしまったのだ。とはいえ、そんなことはお構いなしのエリックは、2マイル先にある理髪店に行くことで頭が一杯だった。
エリックのリムジンには、さまざまな来客が代わる代わる乗り込んでくる。会社設立時からの部下シャイナー(ジェイ・バルチェル)や、中国の人民元のチャート作りに頭を悩ます若い男と取り留めもない会話を交わしたエリックは、年上の愛人ディディ(ジュリエット・ビノシュ)とのカーセックスに耽った。続いてタンクトップ姿のシングルマザー、ジェイン(エミリー・ハンプシャー)と舌戦を繰り広げながら、リムジン内で医師の身体検査を受ける。医師の診断は「あなたの前立腺は非対称です」という奇妙なものだった。
数時間前にカフェで朝食を共にしたばかりのエリーズをランチに誘うエリック。新婚だというのに、ふたりの間には白々しい空気が漂う。「あなた、セックスの匂いがするわ」。エリーズが夫の浮気を見透かしたように冷たく言い放った直後、格差社会に抗議する男たちがネズミの死骸を手にしてダイナーに乱入し、「幽霊が世界に取り憑く!」とわめき散らした。

次にリムジンに乗り込んできたのは、エリックの“論理主任”を務める物憂げな女性ヴィジャ(サマンサ・モートン)だった。彼女から不吉な言葉を聞かされたエリックは、運転手兼ボディガードのトーヴァル(ケヴィン・デュランド)から警告を受ける。何者かがエリックの暗殺を画策し、今まさしくその恐るべき計画が進行中だというのだ。街ではデモがぐんぐん過激化し、渋滞は一向に解消される気配がない。エリックの白いリムジンは無惨な落書きだらけになっていた。ホテルでエキゾチックな美しさを持つ新人ボディガードと刹那的に体を重ね合ったエリックは、夜になってエリーズとディナーの席で向き合う。またも蔑みの言葉を投げかけてくるエリーズに、エリックは自分が暗殺者に命を狙われていること、そして全財産を失いかけていることを告白する。実は人民元の下落に大量の資金を投資していたエリックは、初めて直面した想定外のマネーの動きに翻弄され、数百億ドルもの損失を被っていた。にもかかわらず「俺はとても自由を感じている」と呟くエリック。そんな夫の心情が理解できないエリーズは、「私たちの結婚生活はこれでおしまいね」と破局を宣告するのだった。
バブルのように富が消え、妻の愛を失ったエリックの身には、ひたひたと決定的な破滅の足音が迫っていた。敬愛するラッパー、ブラザ・フェズ(ケイナーン)の訃報にショックを受け、道端でアンドレ(マチュー・アマルリック)という男から顔面にクリームパイを浴びせられたエリックは、何を思ったか突然ボディガードのトーヴァルを射殺し、理髪店での散髪を途中で切り上げる。いったい何の歯車が狂って、若き大富豪の人生はたった一日で崩壊するはめになったのか。あてどなく独りぼっちで荒廃した街をさまようエリックは、ついに廃墟のような建物の一室で暗殺者(ポール・ジアマッティ)と対面し、あまりにも皮肉な真実を思い知らされるのだった……。

(公式サイトより引用)

ネタバレ感想

若くして投資で成功した社長がリムジンに乗って髪を切りに床屋へ行こうとするが、なかなか辿り着けないというカフカ的なお話です。

監督のクローネンバーグは、当初、映画化する気は無かったそうで、プロデューサーに勧められた、ドン・デリーロの小説「コズモポリス」(デリーロの他作品は読んでいたらしいです)を読んで即決したそうです。

脚本はクローネンバーグ監督自身最短の6日間で書き上げたそうですが、ほぼ原作の会話部分を抽出しただけで手を加えてないそうで、ほぼ原作頼みの映画だと思います。

映画はリムジン内での会話劇が中心で、膨大な量の台詞に圧倒されます。

が、大半は抽象的な会話なので内容がさっぱりわかりません。

テーマは今の資本主義や世の中のシステムについての話だと思うのですが、それも観客それぞれの受け止め方があると思います。

クローネンバーグ監督が映画化を決意したのは、デリーロの世界観や原作の素晴らしい台詞にあるそうですが、ドン・デリーロは現代アメリカを代表する作家だそうで、近年はノーベル文学賞の常連候補らしいですが、そういった文学的教養を持たない人が見ると辛いと思います(私もその一人ですが…)

ただラストはかなり緊迫した会話劇になるので結構見応えがあり面白かったです。

クローネンバーグも年を取ったからか昔に比べ分かり辛くなったように思いますが、今度息子さんが監督デビューされるようなのでそちらを見てみようかなと思っております。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円

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