オール・アイズ・オン・ミー 評価と感想/対立の構図が分かり辛く

オールアイズオンミー 評価と感想
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気をつけよう、タニマチの甘い言葉とロレックス ☆3.5点

1996年に25歳の若さで亡くなった伝説のラッパー2PACの伝記ドラマでタイトルは4枚目のアルバムから。
監督はMV出身のベニー・ブーム、主演は4千人のオーディションから選ばれた新人ディミートリアス・シップ・ジュニア

予告編

映画『オール・アイズ・オン・ミー』予告編

映画データ

オール・アイズ・オン・ミー (2017) - シネマトゥデイ
1996年に25歳の若さで亡くなった後も、カリスマ的な人気を誇る伝説のラッパー、2PACの伝記ドラマ。
オール・アイズ・オン・ミー|映画情報のぴあ映画生活
『オール・アイズ・オン・ミー』は2017年の映画。『オール・アイズ・オン・ミー』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2017年12月29日(金)公開で全国19館での公開です。
今後も順次公開され、最終的に全国40館での公開となるようです。

映画館で予告編を見たことは無かったんですけど、例によって公開カレンダーを見てたら「2PACの伝記ドラマ」というのが目に留まったので鑑賞しました。

2015年12月の年末に予備知識無しで観た『ストレイト・アウタ・コンプトン』が面白かったのも念頭にあります。

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ストレイト・アウタ・コンプトンのときの感想にも書いたんですけど、ギャングスタ・ラップの系譜には疎いです。

監督はベニー・ブーム
50セントなどをはじめMVを多く手掛けてる監督さんで長編映画は4作目のようです。
過去作はいずれも日本未公開のようです。

主演はディミートリアス・シップ・ジュニア
本作のために4000人の中からオーディションで選ばれた新人の役者さんだそうです。
驚くほど似てるそうですが2PACは名前しか知らないので鑑賞中は気付かず…。

他に共演と配役は以下の通りです。

2PAC: ディミートリアス・シップ・ジュニア
ジェイダ・ピンケット: カット・グレアム
シュグ・ナイト: ドミニク・サンタナ
ナイジェル: コリー・ハードリクト
キダーダ・ジョーンズ: アニー・イロンゼ
(クインシー・ジョーンズとペギー・リプトンの娘)
ノトーリアスB.I.G.: ジャマール・ウーラード
アフェニ・シャクール: ダナイ・グリラ
ドクター・ドレー: ハロルド・ハウス・ムーア
スヌープ・ドッグ: ジャレット・エリス
ダズ・ディリンジャー: アザド・アルノー

あらすじ

ニューヨークのスラムで生まれ育った2PAC。ブラック・パンサー党員の母に連れられ、住まいを転々としていたため、あまり周りに馴染めない辛い幼少期を送っていた。役者に憧れていた彼は、12歳の時にハーレムの劇団に入団し舞台デビューを果たす。1986年、一家はバルティモアに移り住み、2PACはバルティモア芸術学校に入学。その頃から彼はラップに没頭することとなり、数々の詩を書き始める。17歳の時、カリフォルニアに移り住むこととなるが、その頃には母親はドラッグ中毒で家庭は酷い有様と化していた。そんな中、彼はラッパーとなる夢を追い続ける。1991年に2PACの名で、アルバム「2Pacalypse Now」でソロ・デビューを果たし、着々とその名を上げていく。 だがある日、レコーディングに訪れていたスタジオで強盗に襲われ、その身に銃弾5発を受けてしまう。一命を取り留めた2PACは、事件はたまたま同じスタジオにいたショーン“パフィ”コムズとノトーリアス B.I.G.が仕組んだことだと思い込む。西海岸のヒップホップ・レーベルDeath Rowレコードに所属する2PACは、東海岸のBad Boyレコードのショーン・コムズやビギーをことあるごとに避難し、ヒップホップ界史上最悪の東西抗争が幕を開けてしまう。そして遂に、1996年9月6日ラスベガスで2PACは銃撃され、25歳の若さで人生の幕を閉じる事となる。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

2PACとノトーリアス・B.I.G.の殺害事件のニュースはリアルタイムで知っていますが、ギャングスタ・ラップの系譜に疎いため、名前だけ知ってる感じで背景などは全く分かりません。
当時、ニュースを聞いた印象としては、自分の中で音楽業界と殺人事件が結びつかなかったので、ただ単純におっかない連中だなと思いました。

映画は獄中インタビューする回想形式で描かれるんですが、こちらのインタビューが元になってるのかしら?

[2Pac Japan.net] - "Tupac Interview"

2PACの生い立ちはストレイト・アウタ・コンプトンで描かれたイージー・Eのヤクの売人なんかとは違って、シェイクスピア演劇などもこなすインテリでイメージと違ったんですけど、彼を過激にしてたのはブラックパンサー党員だった母親の影響で黒人解放闘争が背景にあったのは理解できました。

ただ母親アフェニは思想犯で投獄されるも無罪判決を勝ち取るぐらいの人だったので人格者だと思ったんですが、途中から麻薬に溺れていくのがよく分かりませんでしたね。
結果的に母親が子供の面倒を見なくなって党員仲間が住むカリフォルニアに送ったことが、ラッパー2PACを生むことになるのですが。

映画内ではラップを習うとトントン拍子に話が進み、デジタル・アンダーグラウンドのメンバーに採用されると瞬く間に成功の階段を駆け上がっていくんですが、ストレイト・アウタ・コンプトンに比べると、どうしてそこまで熱狂的に支持されたのかは分かり辛かったですね。

成功するのと同時に訴訟されることも多いようで弁護士費用が嵩んでいくのですが、そのことも背景が語られずただお金が無いという描写だけなので分かり辛いですし、そのわりには成金趣味的に女性を侍らせてパーティーとかしてるので、ただ単にお金にだらしがなかったようにしか見えませんでした。

成功するとラップの歌詞も「パーティーだ、いい女だ」みたいのが多くてなぜ支持されるのかが分かりません。

金が忙しいことが分かるとクラブを経営しているタニマチ的な人物ナイジェルを紹介されて、結局この人物とパーティー三昧してたことによってレイプ容疑で逮捕されてしまいます。

裁判で刑が確定するまでの間は保釈されますが、その保釈中に銃で撃たれます。
この事件の犯人はナイジェルの取り巻きであるようなシーンがあるのですが、犯人は誰だか分かりません。

怪我を負った状態で車椅子で出廷すると判決が下され投獄されることになり、冒頭のインタビューに繋がってきます。
回想形式で描かれるのはここまでで、ここからは通常の時間軸で描かれます。

投獄中、保釈金が払えなくて困って相談したのがデス・ロウ・レコードのシュグ・ナイトで、契約を結ぶことで保釈金を払ってもらうと出所できます。

分からなかったのは投獄中、白人の看守に嫌がらせされるのは分かるのですが、黒人の看守も同調したり、黒人の囚人から中指立てられるのも分からなかったです。
それと囚人が中庭でラジカセを聞いてて、おそらくノトーリアスB.I.G.の曲だと思うのですが、その歌詞が2PACを揶揄してるように感じられ、襲撃されたときにノトーリアスB.I.G.とディディがいたのを思い出すんですが、ここも分かり辛かったです。
あと囚人が殺傷される事件も分かりませんでした。

シュグ・ナイトとアルバム3枚出す契約した2PACはアルバム3枚出すと独立したいと申し出ます。
ただそれまでにシュグ・ナイトはイタリアのマフィアみたいに「俺たちはファミリーだ」と言って、裏切り者を見せしめで痛めつけるので独立が容易ではないのが分かります。

シュグ・ナイトは2PACを独立させる代わりにニューヨークでデス・ロウ・レコード・イーストを設立し経営を任せます。
ニューヨークにはデス・ロウと対立するバッド・ボーイ・レコードがあるので対立が激化することになるんですが、この辺は関ヶ原の東軍と西軍のように知ってることとして描かれるので、知識の無い自分には分かり辛かったですね。

友情が終わり ヒップホップ東西抗争は始まった
1993年、ブルックリンのラッパーであるビギーは、仕事でロサンゼルスを訪れていた際に、地元のドラッグディーラーを介してトゥパックと出会った。ビギーは仲間と共にトゥパックの自宅に招かれ、デカいフリーザーバッグ満杯に入った、色鮮やかな葉っぱをトゥパックとシェアした。

このあとは友人のマイク・タイソンの試合を見に行った帰りに銃撃されるのが描かれて映画は終わります。

 

本作は『ストレイト・アウタ・コンプトン』のヒットに触発されて制作されたんだと思いますが、出来としては落ちますね。
興収にもそれは現われてて、ストレイト・アウタ・コンプトンが1億6千万ドルくらいなのに対し、本作の興収は4400万ドルにとどまっています。
HPなんかには2017年全米初登場No.1大ヒットと書かれてますが、先行公開された木曜日に『カーズ3』を3千万円上回っただけで、あとは2位以下です。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』はギャングスタ・ラップの成り立ちが、劇中にかかるラップの歌詞とリンクしていて分かり易かったのですが、本作は事実をさらっとなぞった感じで予備知識前提の作りだと思いました。

ヒットしなかった要因として公開早々SNSを中心に炎上したらしいのですが、さすがにiPhoneは出てこなかったです(笑)

遂に公開を迎えた 2Pac の伝記映画『All Eyez on Me』が “リアルじゃない” とネットで大炎上中
(多少ネタバレ注意)劇中に登場する2Pacは、現実世界の2Pacが“絶対に使わない(使えない)モノ”を持っていた?

本作を見た50セントがインスタグラム上で酷評して、その延長でiPhoneが出てきたと言ったみたいですが、後にその投稿は削除されたみたいです。

劇中に出てくるジェイダも事実とは違うと言ってるようなので、関係者にまで酷評されると映画としては辛いかもしれません。

2PACに関しては、すでにドキュメンタリー映画があるようなので、そちらの方が詳しいかもしれないですね。

本作の感想を書くにあたり、ギャングスタ・ラップの東西抗争の経緯は分かりましたが、発端は金絡みだったようで経緯を知れば知るほど、本来は公民権運動などと結びついていたラップが内輪モメの道具に成り下がっていてなんだかなぁと思いました。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2018年 2作品目 累計2100円 1作品単価1050円

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