緊迫感に満ちたなかなかの映画 ☆4点
予告編
映画データ

上映館数が少なくて映画館の予告編でも見た事無くてうっかりスルーする所でしたけど、公開スケジュールをチェックしてるうちにローラ・ダーンの口を見たくなったので鑑賞しました。
これが思いもかけず良作で、セミドキュメンタリーのような緊張感がずっと続く作品。
笑わせるような描写も一切なく深刻なテーマを描きます。
あらすじ
無職のシングルファザーのデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)はある日突然、たった2分間の猶予しか与えられずに、長年暮らしてきた家から強制退去させられる。家族の思い出が詰まった家を何としても取り戻そうとするナッシュは金に釣られ、自分たちを追い出した不動産ブローカーのリック・カーパー(マイケル・シャノン)の儲け話に手を染めていく。カーパーは法の穴を抜け、銀行や政府、そしてかつての自分と同じ境遇の人々を巧みに操り、家を差し押さえて大儲けしていた。ナッシュは母親(ローラ・ダーン)と息子に真実を言えないまま、人々を破綻させ、大金を稼いでいく。しかしやがて、自らも大きな代償を払うことに気づくが……。
(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
まず冒頭のカーバー(マイケル・シャノン)がナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)の家を訪れるシーンから緊迫感があっていいです。
二人の演技やカメラワークで真にせまるものがあります。
ものの数分で家を退去しなければならない理不尽さ。
何が起こっているのか状況さえ分からない不安感が観客にも伝わってきます。
この映画、音楽もとてもよくて緊張感をより増幅させていたと思います。
ナッシュがカーバーの下で働くようになってからは、映画『ウォール街』のような雰囲気になってきます。
マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーとチャーリー・シーン演じるバド・フォックスのような関係です。
最近ですと『ウルフ・オブ・ウォールストリート』といったところでしょうか。

テンポもよくてストーリーも一気に進むので面白かったのですが、細かいところで分からないことが何点かありました。
まず家をとられる人々の状況。
たとえばナッシュの場合は家のローンが払えなくて、ではなくて、仕事用の工具・機材購入のため家を担保にしたローンの支払いが滞った上でのもの。
一応弁護士にも相談してたし、どのような手続きであのような強制執行に至るかが今一つ分かりませんでしたが、日本よりは居住者や賃借人の権利は弱いのだろうなと思いました。
その他の、家を取られる人も寝耳に水という感じで、通知を無視していた訳でもなさそうですし、一人のおじいさんなんかはリバースモーゲージで買ったとか言ってたので何でだろうと思いました。
それからエアコンの室外機やプールのポンプを外して公的資金をせしめる手口もよく分からなかったです。
それとナッシュが営業して配ってた、カギを預けたら3500ドル払うというチラシ。
あれもシステムがよく分からなかったです。
とりたててお金の必要がない人にも貸し付ける手口なのか?
あるいは日本にも以前からある車金融的なものなのか?
ラストも緊迫感があって、アメリカではよくありそうな銃を持った立て籠もり事件。
ニュースではその背景を知ることはないですが、案外、ああいったことが背景にあるかもしれないなと思わせてくれました。
ラストを見ても救いがある映画ではないですが、ナッシュは家を取られたときに母の言うとおり家に執着することなくタンパに戻るのが一番良かったんだろうなぁと思いました。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 水曜サービスデー 1100円
2016年 13作品目 累計17600円 1作品単価1354円
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