基本いい映画だが、監督の趣味も ☆5点
予告編
映画データ
あらすじ
銭湯・幸の湯を営む幸野家だったが、1年前、父・一浩(オダギリ ジョー)がふらっと出奔してから休業していた。母・双葉(宮沢りえ)は持ち前の明るさと強さで、パートをしながら娘・安澄(杉咲花)を育てている。ある日、双葉は余命わずかという宣告を受ける。それから双葉は、“絶対にやっておくべきこと”を決め、実行していく。それは、家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に会わせる、というものだった。双葉の行動によって、家族の秘密はなくなり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。そして家族は、究極の愛を込めて母・双葉を送ることを決意する。
(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
評価高かったので観てきました。
映画館の予告では、あまり目にしたことが無く、事前の情報もあまり入れずでの鑑賞です。
末期の膵臓がんで余命宣告を受ける、所謂、病気モノだったのですね。
これ、まだ観てない(観るかわからない)んですけど、今、上映してる『ボクの妻と結婚してください。』の逆パターンでかぶる感じなんですかね?
たぶん本作の方が、数倍出来がよいのでしょうけど。
所謂、病気モノはあまり見ないのですが、本作は、想像の斜め上を行く展開が多くて、伏線もきっちり回収されてて脚本が見事でした。
レビュータイトル通り、基本、いい映画で感動作で、映画館ではかなりすすり泣く音が聞こえました。
嗚咽漏らして泣く感じの人もいるんじゃないかと思います。
自分もかなり感動しましたが、所々、監督の趣味とみられる場面も。
まず、安澄(杉咲花)の下着の伏線を、いじめの解決にもってくるとは思わなかった(笑)
男性目線では、まさか、あんな場面で杉咲さんの下着姿が見れるとはラッキーなんですが(笑)
まー、でも、いじめっ子たちの言葉をそのまま返したら、そうなるよなという、妙な説得力はあります。
このシーンに限らず、この映画、「そのまま言葉通り」っていうの鍵になってる気がします。
それから鮎子が漏らしちゃうシーン。
漏らすシーンは必要ないし、パンツ脱がすこともないと思うんですけど、物語のフックにはなる。
でも、ああいうのダメな人にはダメでしょうけど。
あ、漏らすのに関連して、安澄にも牛乳吐かせてましたね。
それで、やっぱ、ラストですかね。
いや、映画始まったときに、やけにすっと物語に入っていくなと思ったんですけど、そういえば、オープニングクレジットもタイトルもありませんでした。
最後の最後にタイトル出して、それが比喩とかではなくて、まんま文字通りというね(笑)
あっーって、口開いて、塞がらなかったです。
あれ、よくよく考えれば、かなりホラーな展開ですし、あとあと、あの銭湯は営業出来るのかって話なんですけど、まぁそれは置いておきます。
基本、オチのある話は好きです。
趣味悪いと感じる人もいるでしょうけど、自分は面白いと思いました。
よく、お骨をかじる話とかもありますしね。
あのラストのタイトルバックは、物語の中盤になってようやく出てきた『ヒメアノ~ル』くらいインパクトありました。
あと、それから、「いじめ」「手話」とかのキーワードで『聲の形』も連想したんですけど、内容はそれだけにとどまらず、盛りだくさんでした。
泣かせどころがたくさんありました。
宮沢りえさんの母役をりりぃさんにしたのは、キャスティング上手いなと思いましたね。
りりぃさん、顔の雰囲気似てますもの。
実際のりえママは樹木希林さんって感じでしょうか。
宮沢りえさん、凄かったですね。
病気の進行に合わせて痩せたのかしら?
最後、ベッドに横たわってるときとか、ホント死にそうに見えました。
役者魂すごいなと思いました。
松坂桃李さんのヒッチハイカーも、一人でタバコ吸って、ボーっと見上げてるとき、ホラーな展開になる気がして怖かったんですけど、双葉はあそこから彼の闇を感じ取って、生きる目的を見いださせるという、素晴らしい展開でした。
最後は男手も必要になりますし。
ホント、いい映画で感動して泣いちゃうと思うんですけど、宮沢さん以外の母ちゃんたちはみんなクソだぞとか、父親(オダジョー)のクズっぷりとかサイテーだぞとか思って見てると、涙も耐えられると思いますので、映画館で泣くの恥ずかしい人にもいっぱい見て欲しいと思います。
PS:チケット買うときに「湯沸かし器下さい」と言ったんですが、あながち間違いでは無かった(笑)
他の人のレビューを読んでさらに追記:
どうもラスト読み取れてない人多いなぁ。
あれ、銭湯で焼いてくれってのは双葉の遺言でしょ。
で、それで湯を沸かして、みんなで仲良く入れってことでしょ。
実際、双葉と血の繋がった家族はいない(夫だけは自分が選んだ人だけど)訳だけども、行きがかり上家族になった訳で、みんなであの銭湯を経営して家族仲良く暮らして欲しいってことでしょ。母に捨てられた双葉ならなおさらそう思うでしょ。
最近は、死ぬときだって自宅で死ねない(病院じゃないと不審死みたいになっちゃう)ですし、東京なんか、火葬場が限らてるから、火葬場のスケジュールで葬式決まったりしますし、焼却もシステマチックに行われてますから、そういうことを考えると、どっちが尊厳をもって送り出しているかは簡単には言えません。
ただ少なくとも、ラストの展開は、オダジョーが言ってた「俺に出来ることがあったら言ってくれ」の伏線の回収だと思いますし、双葉の希望でしょう。
あと煙突から出る煙が赤色なのは、双葉が好きな色だったというのもありますし、黒澤明監督の『天国と地獄』も意識としてはあると思います。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズカード ハッピーフライデー 1000円
2016年 123作品目 累計138100円 1作品単価1123円
コメント
私も最後は母ちゃんの遺言だと思います!
河川敷でみんなでご飯を食べてる時に一浩が「むちゃくちゃですよね!ダメですよね!」って言ってるのって、いくら遺言でもむちゃくちゃな事言うなぁと思いながらも最後は約束をちゃんと守ったんだと思いました!
おすずさん、コメントありがとうございます。
そうですよね。双葉も一浩だから思いを託せたんだと思います。