クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落 評価と感想/借金王の人みたい

クィーン・オブ・ベルサイユ 評価と感想
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まさにサブプライムローンそのもの  ☆3.5点

予告編

映画データ

http://cinema.pia.co.jp/title/165241/

あらすじ

無一文からタイムシェア(共同所有)リゾートビジネスで、巨万の富を得る大富豪となり、ジョージ・W・ブッシュを大統領にのし上げた男と言われる夫デヴィッド・シーゲルと、元ミセス・フロリダでグラマラスボディをもつブロンドの妻ジャッキーは、2500平米もの大邸宅で贅沢三昧の暮らしを送っていた。そんな二人が抱いた野望の頂点は、アメリカ最大の邸宅を作るという夢であった。その総工費は100億円。10のキッチン、15の寝室、30のバスルーム、500人収容のパーティーホールなどを擁する新居建設が始動。ベルサイユ宮殿を模したこの邸宅は、ホワイトハウスの2倍の大きさを誇る約8400平米の文字通り宮殿クラスの大豪邸になる予定だった。ローレン・グリーンフィールド監督は、この馬鹿げたとてつもなく壮大なアメリカンドリームを記録することを夫妻に打診。2007年、彼らのベルサイユ宮殿完成までを記録するドキュメンタリー映画として撮影はスタートする。だが2008年秋、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻により世界的な金融危機が起こり、シーゲル夫妻も大きな負債を抱える身になってしまう。デヴィッドが金策に奔走し追い詰められていく中、6割は完成していた“ベルサイユ”の建設も中断される……。

MovieWalkerより引用)

ネタバレ感想

タイムシェア(共同所有権)というリゾートビジネス(日本ではリゾート会員権って言葉の方が馴染みがあるかも、ですが所有権ではない)で、巨万の富を手にしたシーゲル一家を追ったドキュメンタリーです。

監督のローレン・グリーンフィールドは、総工費100億円という全米一の一軒家を建てようとするこの夫婦をテレビのニュースで知り興味をもち、密着取材を始めます。
当初の企画では、きっと、この100億円の豪邸が完成し、優雅な豪邸生活を始めたところで終了したのでしょう。
しかし、誰も予想しえなかったリーマンショックが起こり、この100億円豪邸計画が頓挫し始めます。

この映画が面白いのは、普通、このような窮地に陥ったら取材など拒否するのでしょうが、このシーゲル一家は100億円豪邸の夢を諦めてないので、引き続き取材を受け続けるわけです。
そのため、一家のリーマンショック前(豪遊ぶり)と、後(転落ぶり)という貴重なドキュメント映像が撮れたわけです。

この夫婦、約30歳の年齢差があって夫デヴィッド・シーゲルは3回目の結婚。元ミセス・フロリダの妻ジャッキーは2回目の結婚というカップルで、ジャッキーの結婚時には既にデヴィッドは相当な資産家だったようで、所謂、玉の輿婚です。

結婚後は立て続けに子供を生んで8人も子供がおり、乳母や使用人を大量に雇っていたので、その養育を可能なものとしていましたが、転落後はその殆どを解雇したので、その子育てのカオスっぷりが酷いのですが、家事一般は全く出来ないジャッキーですが、妙な、肝っ玉母さんぶりがあるので、物語を面白くしています。

この映画で印象的だったのは、「我が家を持つ」ということへの憧れです。
シーゲル夫妻に限らず、この映画に登場してきた人たちの我が家(持ち家)への憧れ。
使用人であるフィリピン人の乳母は、国に夫や子供を残し、家族の為に家を建てるため、給料の殆どを国へ送金しています。

また、妻ジャッキーの高校時代の親友は、きっとサブプライムローンで組んだ家なのでしょう。ローンが払えなくて家を取り上げられようとしています。
ジャッキーは自分も窮地ですが、この友人にポンと7000ドル弱を送金してあげたりもします。

そして何より、デヴィッド・シーゲルが起こしたタイムシェアの会社の顧客ターゲットが、ブルーカラーなどの非富裕層で「あなたにもこんな素敵なリゾートが所有できますよ」と、夢を見させていたわけです。

まさに我が家を持つということに憧れ、所有するということに憧れた、サブプライム狂想曲を描いていると感じました。

映画は全体的には面白かったのですが、若干テンポが悪い感じがしました。もう少し編集がよければよかったんじゃないかと思いました。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円

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