ウィーン美術史美術館で働く人たちに焦点を当てたドキュメンタリー ☆3点
予告編
映画データ
あらすじ
館長、学芸員、修復家、美術史家、運搬係、清掃員。個性的なスタッフたちがつむぐ小さなドラマは、組織のなかで働く苦労や、芸術を扱う仕事が持つ困難さを切実に描き出す。美術館のブランド戦略をめぐって紛糾する会議。収支バランスを問うてばかりの経営陣。下っ端扱いを嘆くサービス係。完璧主義の修復家。芸術とビジネスとが同居する場で巻き起こるのは、どれも普遍的でありながらユニークな問題ばかり。
なかでも「伝統の継承」と「大胆な革新」という正反対の選択を迫られる姿は興味深い。ハプスブルク家の遺産を守る美術館は、中世からの伝統を継承しつつ、現代の観客に向けて新たな風を吹き込まなくてはいけないのだ。
悩みながらもそれぞれの仕事に誠実に対処するスタッフたちのストーリーは、ときにユーモアあふれる展開やあっと驚く感動的な瞬間をもたらしてくれる。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
このドキュメンタリー、オーストリアでは大ヒットしたらしいんですけど、この辺が美術文化の違いでしょうか。
私みたいな美術のド素人が見ても大して面白くはありませんでした(笑)
映画は変な音楽やナレーションも付けず、美術館で働く人たちの説明や会議の様子をそのまま撮るシンプルなドキュメンタリーでしたが、カメラの構図とかはこだわっていたと思いますし、映像も綺麗でした。
ただ今回は、2012年から行われた大規模改装から再オープンまでの舞台裏に密着してるので、説明中にもカンカンコンコン工事の音がうるさいうるさい(笑)
まあそれも含めて、所蔵してある美術品を見せるというよりも、600年以上続いたハプスブルク家の遺産を守るという自負を持ちつつも、現在の美術館を取り巻く環境の変化にも対応していかなかければならない美術館員の人たちに焦点をあてています。
面白かったのは、大英博物館の館長が来ていて、総館長が説明しているのですが、大英博物館長の喋りが説明にいつも食い気味で、話してるときに話を被せるんですが、興奮を抑えきれない子供みたいでお茶目なんです(笑)
映画館来るまで知らなかったんですが、上映後たまたまトークショーがあって、トークゲストの方も大英博物館長がフランクな人でビックリしたと言ってました。
あと、オークションがあって馬車博物館の館長が参加するのですが、予算の壁に阻まれて落札できず、この辺も美術史美術館といえども、取り巻く環境は厳しいのだなと思いました。
上映後のトークでも言ってたんですが、ウィーンは少し変わってるみたいで、オルセー美術館にいた人も、パリから見てもウィーンは変わってるって言ってました。
映画でも新しくデザインしたロゴにこだわりを見せるシーンがあるのですが、そういうのを知ってる人が見ると、ああウィーンらしい、ってなるみたいです。
この映画、予備知識なしで、美術史美術館という存在も知らなかったですし、ハプスブルク家ってだけで観に行ったのですが、公式サイトhttp://thegreatmuseum.jp/(リンク切れ)が素敵で登場人物とかも分かりやすいので一読してから観に行くと分かりやすいと思います。
それから映画のラストでブリューゲルの「バベルの塔」の絵が外されるのですが、来年日本でも展示されるみたいです。といっても美術史美術館のではなくて、もう一点のオランダのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館所蔵の「バベルの塔」で、こちらを小バベル、美術史美術館のを大バベルと呼ぶそうです。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
トークイベント付(ゲスト:高橋明也(三菱一号館美術館長)×藤原えりみ(美術ジャーナリスト))
2016年 134作品目 累計149900円 1作品単価1119円
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