スウィート17モンスター 評価と感想/真性かまってちゃんからの脱皮

スウィート17モンスター 評価と感想
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ネガティブにさようなら ☆5点

監督であるケリー・フレモン・クレイグによるオリジナル脚本で初監督作品。17歳こじらせ女子の恋と青春を描く。
主演はヘイリー・スタインフェルド、共演にウディ・ハレルソン、ヘイリー・ルー・リチャードソン

予告編

映画データ

スウィート17モンスター (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『スウィート17モンスター』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『トゥルー・グリット』などのヘイリー・スタインフェルドが主演を務めた青春ドラマ。
スウィート17モンスター : 作品情報 - 映画.com
スウィート17モンスターの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「トゥルー・グリット」で14歳にしてアカデミー助演女優賞にノミネートされ、女優の他歌手としても人気を集めるヘイリー...

いつもよく行くヒューマントラストシネマ渋谷で予告編を観て、主人公の女の子が可愛いんだか可愛く無いんだか、なんか気になったので観てきました。

結果、すごくよかったですよ。

あらすじ

親友が兄と恋をした?
友情、家族、人生―。自分ひとりだけが空回り?

主人公のネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は17歳。キスもまだ経験なしの、イケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空まわりして、教師のブルーナー(ウッディ・ハレルソン)や、母親(キーラ・セジウィック)を困らせてばかり。たったひとりの親友クリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)だけが、自分のすべてだと思っていたのに、何をしてもかなわないとコンプレックスを抱いていた天敵の兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)と親友クリスタが恋に落ちてしまう。

この衝撃的事件により、ネイディーンは父が他界して以来ずっと取り乱しがちな母や、何故かシンパシーを感じる変わり者の教師ブルーナー、自分とは正反対のイケメンで誰からも愛される兄ダリアンなど、自分を取り巻く人々へ新たな視点と気持ちを向けざるをえなくなる。人生は、彼女が思う以上に複雑で、誰もが何かをこじらせながら大人になっているのだ…。

(公式サイトhttp://www.sweet17monster.com/index2.htmlより引用)

結構、色んな映画サイトの紹介記事や感想を読むと、こじらせやあるあるというのがあげられてましたけど、こじらせは定義が難しいのと、あるあるでいえば自分には共感ポイント無かったかなぁ。

雨宮まみさんが格闘した、女としての半生とは?「こじらせ女子」生みの親が40歳の若さで死去
自意識や社会の抑圧による生きづらさに向き合い続けた雨宮さん、自分を見失わずに生きることへの強いメッセージを発信していた。

あるあるの共感ポイントで言えば、兄弟や姉妹で上である場合と下である場合、どちらがデキがいいか(自分は弟だけど兄より優秀だったとか)でも変わってくるのかな?と思いました。

主人公のネイディーンは結構、重症だと思うんですよね。
小2の頃からいじめられてて、何でいじめられてるかは分からないんですけど、登校拒否になったりして。
無理矢理行かそうとするお母さんと、優しいお父さん(エリック・キンリーサイド)がいますけど、お母さんの方は情緒不安定で、精神的な疾患が遺伝するとすればお母さんによるものなのかな?と。
小学生ですでに友達がいなくて、親友は毛虫を通じて仲良くなったクリスタだけでそれが8歳から17歳まで。
ちょっと、高校時代の爆笑問題の太田さんみたいだな、と思ったんですよね。

13歳で最愛の父を亡くし、しかも心臓発作で交通事故を起こすその場に2人っきりでいたというのも結構なトラウマなんじゃないかと思いました。

ただ兄を攻撃するのはよく分からなかったですね。
優秀な兄に引け目を感じるのは分かりますけど、具体的に兄からいじわるされたり、親から差別される描写は無かったので、ただ単に性格が悪いな、としか思わなかったですね。口が悪いのは面白かったですけど(笑)

ネタバレ感想

ネイディーンは17歳のある日、母が出会い系サイトで知り合った歯科医と泊まりがけのデートするってことで親友のクリスタを呼び寄せます。
兄のダリアンも同じこと考えてて男友達を家に呼び寄せてて、自宅にあるプールでバカ騒ぎしてるんでネイディーンが悪態つくんですけど、友達が帰ったらリビングで一人真面目に黙々と後片付けしてるのをクリスタが見るんですね。それでいい感じになってヤっちゃいます。
それでクリスタとダリアンは付き合うことになるんですけど、天敵の兄と付き合うなんて許せない、私と兄、どっち取るの?ってネイディーンは迫ります。
このときの説得も酷くて、私(ネイディーン)があなたの父(クリスタの父)をハンドジョブしてたらどう思うの?とか言ってて、一事が万事この調子です。
クリスタはどっちも選べないって言うんですけど、ネイディーンが激昂して絶交よと言います。他人を思いやるとか他人の幸せを祝福するとかそういう気持ちが無いんですね。

そんなネイディーンは孤立しちゃうんですけど個性的なファッションしてるので、同じクラスメイトでアーティスティックな韓国系男子アーウィン(ヘイデン・ゼトー)から好意を持たれたり、冴えないと思ってるブルーナー先生(ウディ・ハレルソン)のとこに昼休みに押しかけたりして心の均衡を保ってます。

アーウィンはいい奴で、絵を描いたり映画作ったりしてて、実家はお金持ちで、自宅のプールも温水とかでゴージャスで、自宅に招いてもらって一緒にプールに入っていい雰囲気になるんですけど、「セックスする?」「嘘、冗談よ」みたいなことをアーウィンに言って困惑させます。

ネイディーンは学年が違う先輩のニック(アレクサンダー・キャルバート)のことがイケメンってだけで好きなんですが、本人からは認知されてなく、フェイスブックで友達申請してもOKになりません。

クリスタとも絶交して気まずくなっていたある日、母親に車で学校に送ってもらうと、友人たちと楽しそうに登校するクリスタを見かけます。久しぶりに発動する登校拒否。母親が仕方なく一緒に職場に連れて行きますが、母と大喧嘩して出て行ってしまいます。
興奮状態のネイディーンは、気を紛らすためにニックのことを想いますが、誤って抱かれたい旨(実際は相当エロい)を書いたメッセージをニックに送信してしまいます。

パニくってブルーナー先生に相談すると、落ち着いてフローズンヨーグルトでも食えと言われ、どうしても困ったら電話しろと番号を渡されますが、フローズンヨーグルト代もちゃっかり貰うというがめつさです。

コンビニでフローズンヨーグルトを食べてると、案ずるより産むが易しでニックから会おうとメッセージが入ります。浮かれるネイディーン。家に帰って、家の中をとっ散らかして着替えるとニックに会いに行きます。

仕事から帰ってきた母。とっ散らかってる家を見て何事かと思いデート中のダリアンに助けを求めます。

ニックと会うネイディーン。エロいメッセージをもらったニックはヤル気満々で倉庫裏に連れていきますが、ネイディーンに拒否られます。
自分から誘っといてそりゃ無いだろとブチ切れるニック。当然であります。かくしてニックも怒らせてボロボロになったネイディーンはブルーナー先生に助けを求めます。

先生にドーナツ屋まで迎えにきてもらうと先生の家に連れてってもらいます。
ブルーナー先生の家に入るとカワイイ赤ちゃんがいます。
冴えない独身中年男性とばかり思っていたブルーナー先生は妻帯者でした。
ネイディーンがいかに自分の尺度で物事を見ていたか、分かる(気付く)シーンでもあります。

ブルーナー先生がネイディーンの家に連絡すると、ダリアンとクリスタが迎えに来ます。
また喧嘩になるダリアンとネイディーンでしたが、苦しんでるのはネイディーンだけじゃないと言われます。
ダリアンもまた、ネイディーンのせいで進路を諦めたりしていたのでした。

先生に家まで送ってもらうネイディーン。
ダリアンを起こして謝ると、自分が一番甘えんぼさんだったのに気付くネイディーンでした。

翌朝、土曜日で学校は休みでしたけど学校に向かうネイディーン。
アーウィンが出品するSFF(スチューデント・フィルム・フェスティバル)に誘われていたのでした。
いつも学校へ行くのは、母だったり、クリスタだったりに車で送ってもらうのですが、自転車を漕いで自分の脚で向かいます。
ようやく独り立ち出来たということでしょう。
ネイディーンをモデルにしたと思われるアーウィンのアニメ作品に感動し、道で摘んできた花束を渡すネイディーン。
アーウィンに紹介された友達の輪の中に笑顔で入るところでこの映画は終わります。

 

最初に可愛いんだが可愛くないんだかって書きましたが、ラストはホントいい表情してて可愛かったです。
おそらくそういうふうになるように撮ってるんでしょうけど、内面が変われば外見からにじみ出てくる雰囲気も変わるっていう。

ただ正直、ネイディーンのひねくれぶりは重症なので、そんなに簡単に治るかな?とは思いましたが、ハッピーエンドなのでよかったです。
逆にあのまま変われずに30歳とか過ぎたら『エイミー、エイミー、エイミー』になったかな?とか思いました。

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取り立てて何か大きなことが起こる訳では無いですけど、思春期特有のちょっとした性的好奇心や他者との関わり方が等身大に描かれていてなかなか良い脚本でした。
特にブルーナー先生を演じたウディ・ハレルソンが良くて、主人公の皮肉に怒ることもなく絶妙の皮肉で返し、常に付かず離れずの距離感でよかったですね(この辺も高校時代は先生としか話さなかったと言ってる太田さんみたいだ)。

主役のネイディーンを演じたヘイリー・スタインフェルドは初めて見ましたが、面白味もあってとても上手かったですね。
コーエン兄弟の『トゥルー・グリット』という作品で14歳でアカデミー助演女優賞にノミネートされたそうで、ジョディ・フォスターみたいですな。
親友役のクリスタを演じたヘイリー・ルー・リチャードソンと共に眉毛が太かったんですけど、最近の流行りなんですかね?
(『世界一キライなあなたに』観たときも思ったので)

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監督は脚本家出身でまだ30代半ばのケリー・フレモン・クレイグという方で、お写真見るとなかなか綺麗な方です。

Kelly Fremon Craig - Google 検索

ウェス・アンダーソン監督を発掘したプロデューサーのジェームズ・L・ブルックスが見つけてきたそうで、今後が楽しみな監督です。

全国でまだ9館と上映館数少ないですけど、5月以降順次公開される所もあるみたいなので、お近くにきたらお勧めだと思います。
今年は『はじまりへの旅』とか含めミニシアター系が当たり年な気がします。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ料金 1300円
2017年 64作品目 累計64500円 1作品単価1008円

コメント

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