何でフルシチョフになったのかよく分からなかった ☆3点
フランスのグラフィックノベル「La mort de Staline」を原作にしたイギリス・フランス合作の政治歴史コメディ映画。
スターリン急死後の側近たちの権力闘争を描く。
監督はアーマンド・イアヌッチ、主演はスティーヴ・ブシェミ、共演にオルガ・キュリレンコ、ジェフリー・タンバー、アンドレア・ライズボロー
予告編
映画データ
本作は2018年8月3日(金)公開で、全国23館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には54館での公開となるようです。
予告編はTOHOシネマズシャンテで1~2か月前から数回見てて、実話を基にした歴史政治コメディで面白そうだなと思いました。
監督はアーマンド・イアヌッチ
スコットランド生まれの監督なんですが初めましてです。
政治コメディを多く撮ってるようで、イギリスのテレビシリーズ「官僚天国! ~今日もツジツマ合わせマス~」で英国アカデミー賞を受賞、2009年の政治コメディ映画『In the Loop』でアカデミー脚色賞ノミネート、2012年からはアメリカで女性副大統領を主人公にしたコメディドラマ「Veep ヴィープ」を演出し人気ドラマになってたようです。
主演はスティーヴ・ブシェミ
最近はアニメ映画『ボス・ベイビー』とか『モンスター・ホテル』の声の出演が多いようで見てないんですよね。
スティーヴ・ブシェミといえばやっぱり『レザボア・ドッグス』や『ファーゴ』でしょうか。
共演にポール・ホワイトハウス
上映中の『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』を観てます。
共演にジェイソン・アイザックス
近作は『潜入者』を観てます。
共演にアンドレア・ライズボロー
近作は『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を観てます。
共演にオルガ・キュリレンコ
近作は『スパイ・レジェンド』『ある天文学者の恋文』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
フルシチョフ中央委員会第一書記: スティーヴ・ブシェミ
ベリヤNKVD警備隊最高責任者: サイモン・ラッセル・ビール
マレンコフ補佐役: ジェフリー・タンバー
モロトフ外務大臣: マイケル・ペイリン
ミコヤン貿易大臣: ポール・ホワイトハウス
ジューコフ ソビエト軍最高司令官: ジェイソン・アイザックス
スヴェトラーナ(スターリンの娘): アンドレア・ライズボロー
ワシーリー(スターリンの息子): ルパート・フレンド
アンドレーエフ閣僚会議議長代理: パディ・コンシダイン
マリヤ(ピアニスト): オルガ・キュリレンコ
スターリン: アドリアン・マクローリン
カガノーヴィチ労働大臣: ダーモット・クロウリー
ブルガーニン国務大臣: ポール・チャヒディ
あらすじ
“敵”の名簿を愉しげにチェックするスターリン。名前の載った者は、問答無用で“粛清”される恐怖のリストだ。時は1953年、モスクワ。スターリンと彼の秘密警察がこの国を20年にわたって支配していた。
下品なジョークを飛ばし合いながら、スターリンは側近たちと夕食のテーブルを囲む。道化役の中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)の小話に大笑いする秘密警察警備隊長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)。スターリンの腹心のマレンコフ(ジェフリー・タンバー)は空気が読めないタイプで、すぐに場をシラケさせてしまう。 明け方近くまで続いた宴をお開きにし、自室でクラシックをかけるスターリン。無理を言って録音させたレコードに、ピアニストのマリヤ(オルガ・キュリレンコ)からの「その死を祈り、神の赦しを願う、暴君よ」と書かれた手紙が入っていた。それを読んでも余裕で笑っていたスターリンは次の瞬間、顔をゆがめて倒れ込む。
お茶を運んできたメイドが、意識不明のスターリンを発見し、すぐに側近たちが呼ばれる。驚きながらも「代理は私が務める」と、すかさず宣言するマレンコフ。側近たちで医者を呼ぼうと協議するが、有能な者はすべてスターリンの毒殺を企てた罪で獄中か、死刑に処されていた。仕方なく集めたヤブ医者たちが、駆け付けたスターリンの娘スヴェトラーナ(アンドレア・ライズブロー)に、スターリンは脳出血で回復は難しいと診断を下す。その後、スターリンはほんの数分間だけ意識を取り戻すが、後継者を指名することなく、間もなく息を引き取る。この混乱に乗じて、側近たちは最高権力の座を狙い、互いを出し抜く卑劣な駆け引きを始める。表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、マレンコフ、フルシチョフ、ベリヤに加え、各大臣、ソビエト軍の最高司令官ジューコフまでもが参戦。進行する陰謀と罠――果たして、絶対権力のイスに座るのは誰?!(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
予告編を見たときは、てっきりロシアとか東欧あたりで作られた映画かと思ったんですが、冒頭からがっつり英語で最近では逆に珍しい(最近はその国の言葉だったり、英語の場合でもその国の感じで訛ってたりするので)と思ったんですが、とんでもない話でしてロシアでは上映禁止になってました。
ただ実際に観てみると、映画のキャッチコピーには過激過ぎて上映禁止とありますが、大筋の史実には沿ってるんでしょうけど、細部はかなりデフォルメされてる感じのバカ映画になってるんで、そんなに目くじら立てるほどでも無い気がします(って西側の言い分か(笑))
最近だとセス・ローゲン監督でソニーピクチャーズ配給の『ザ・インタビュー』が金正恩を茶化して劇場公開中止になりネット配信になりましたが、上映禁止や公開中止にすることで逆に話題になることの方がマイナスな気がしますね(って西側の言い分か)
芸能人でもモノマネされて怒る人いますけど、器は大きい方がいい気がしますね。
話それましたが、そんなこともあって欧米では本作の評価が高くてロッテントマトでは驚異のフレッシュ97%なんですけど、そこまで面白くはなかったです。
日本人には政治コメディ自体が馴染みが無いのもありますが、繰り出されるギャグがかなりベタで吉本新喜劇見てる感じでしょうか。
アーマンド・イアヌッチ監督が手掛けた「Veep ヴィープ」も日本ではHuluで独占配信されてたみたいですが、それほど話題にならなかったですよね。
ただ「Veep ヴィープ」の予告編を見て、「もしもサラ・ペイリンが副大統領だったら」みたいのを考えて話を展開していくと面白いのかなと思いました。
元ネタを知ってるとか、イメージを彷彿させると面白いのかなと思います。
日本だったら日報問題に揺れた稲田さんとかを阿佐ヶ谷姉妹が演るとか(笑)
あとガソリーヌさんとかも(笑)
一連の話自体がギャグみたいなんで面白いんじゃないかと思います。
なので、この頃のソ連を知っていれば、楽しめたのかも知れませんが、殆ど知らなくて、登場人物の中で名前を知ってたのはスターリンとフルシチョフだけです。
フルシチョフが書記長になったのは知ってたので、この物語の権力争いの結果は最初から分かってたんですが、序盤の扱いはマレンコフ、ベリヤに次いで3番手という感じでした。
マレンコフはスターリンの補佐官なんですが、イマイチ頼りない人物として描かれます。
ベリヤはNKVDのトップで実力も野心もありそうな感じです。
NKVDは後のKGBなので、プーチンが大統領になったように権力を手中に収めやすいんだと思います。
アメリカだったら歴代大統領より長く君臨したフーバーFBI長官みたいな感じです。
フルシチョフはスターリンを笑わせることに懸けてて、ピエロとして描かれてました。
その日にスターリンに披露したネタを奥さんにメモさせてて、何がウケて何がウケなかったかをキッチリ把握してました。
スターリンが倒れるとベリヤがいち早く駆け付け、次にマレンコフ、フルシチョフの順に駆け付けます。
スターリンの補佐官であるマレンコフが代理に就くとベリヤがそれを補佐する形でタッグを組み、フルシチョフは3番手のままです。
スターリンは一度意識を取り戻しますが、後継指名することなく亡くなると、正式な手続きを経てマレンコフが首相に任命されます。
ベリヤは副首相に収まってマレンコフを操り関白的な政治を始めます。
フルシチョフは葬儀委員長という面倒な役回りを押し付けられ、マレンコフとベリヤのタッグに到底敵わない感じなんですが、最後に一気に逆転して書記長の座に収まります。
一種のクーデターだと思うのですが、フルシチョフのピエロぶりもあってその野心が掴み辛く、本作を観ただけでは、「何でフルシチョフになったんだろう?」と思いました。
ただ実際のベリヤの失脚には諸説あるようで、どのような経緯で追い詰められていったのかはハッキリしてないようです。
なので映画でも分かり辛いんだと思いますが、案外アンサイクロペディアの方が分かり易いかも(笑)
一連の流れを読むと大河ドラマ的な分量なので、連続歴史政治コメディドラマにした方が分かり易そうですし、面白いんじゃないかと思いました。
しかし、本作が上映禁止になったのってブラック過ぎるから禁止になったのでしょうかね?
もしコメディ要素を排して、淡々と史実を描いたら、それこそとんでもなく恐ろしい映画になると思うんですけど、その場合は普通に上映されるのかが気になります。
題材としては信長から秀吉に権力が移行した「本能寺の変」みたいな面白さがあるので、じっくり描いたものが見たいなと思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2018年 126作品目 累計123100円 1作品単価977円
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