ボクは独りぼっちじゃない ☆5点
予告編
映画データ
前編は公開から2週間くらい経ってようやく観に行ったんですけど、後編はもう待ちきれなくてとっとと観に行きましたよー。
いやー、もう、すごいよかった!感動した!
前編の感想はこちらです。
前編鑑賞時と同じく漫画原作未読で、アニメ版もまだやってないトコを描くってことで、全く初めて見るお話であります。
あらすじ
「もう1年になる? 桐山君が初めてこの家に来てから」とあかりに言われ、「お世話になってます」と頭を下げる零。今では川本家の家族の一員のように、3姉妹と自然に食卓を囲んでいる。
今年も獅子王戦トーナメントの季節が始まるが、零の周りの棋士たちに様々な試練が降りかかる。まずは幸田が、頭のケガで緊急入院して不戦敗となる。引きこもってゲームばかりしている歩を叱ったら、反対に突き飛ばされてしまったのだ。香子も派遣もバイトも続かず、後藤への想いを持て余し、幸田家は崩壊へと向かっていた。
一方、後藤は入院中の妻の容体に心を痛め、実は難病を抱えている二海堂はそれでも闘いたいと願っていた。初タイトルを目指す島田は故郷の山形の人々の期待に押し潰されそうになり、将棋の神の子と恐れられる宗谷でさえも、ある重大な秘密を抱えていた。
そんな中、川本家にも次々と事件が襲いかかる。ひなたのクラスでいじめが始まり、さらに3姉妹を捨てた父親が現れ、耳を疑う要求を押しつけたのだ。大切な人たちを守るため強くなるしかない。新たな決意のもとトーナメントに挑む零。愛することを知った零の闘いの行方は──?(公式サイトhttp://www.3lion-movie.com/story/より引用)
ネタバレ感想
後編は前編に比べ、将棋要素薄かったですね。
獅子王戦トーナメントが始まると同時に、新人王を獲った桐山(神木隆之介)に御褒美を兼ねた宗谷名人(加瀬亮)との記念対局(神宮司会長(岩松了)も柳原九段(斉木しげる)もスポンサーが思いの外沢山付いたとニンマリしてます)が用意されます。
島田八段(佐々木蔵之介)の研究会で対宗谷戦対策をするのですが、島田八段や二海堂(染谷将太)の出番はここら辺まで、わりとあっさりと宗谷名人との記念対局になります。
結構、引っ張って後の方になるのかと思ってたので意外でした。
対局自体もわりとあっさり終わって桐山の負けです。
宗谷名人の秘密というのは、耳が聴こえ辛いということで、ストレスによる突発性難聴になるのかな?
まあ、あれほどの絶対王者で飄々とやってるように見えても、実はギリギリのトコで命削ってやってるんだよ、ということを言いたかったんだと思います。
桐山は気づかなくて島田八段に教えてもらうんですけど。
それで後編は将棋要素薄い代わりに、川本家(倉科カナ)のお話がメインになります。
まず、ひなた(清原果耶)の学校でのいじめ問題。
これはよくある話で正義感の強いひなたが、いじめらてる子を庇ったら、その子は転校しちゃってひなたがターゲットになります。
ひなたが担任に相談しても事なかれ主義で、ひなたがボロボロになって帰ってきて川本家は初めて気づきます。
いじめ問題をどう解決するかですが、桐山は財力(例えば裁判になった場合とかを考えて)で対抗しようと考えて、三角(中村倫也)や松本(尾上寛之)の呑みの誘いを断るので、彼らの出番はここまでで、スナックでの描写もありません。
代わりに教育問題ということで、前編より林田先生(高橋一生)の出番が増します。
林田先生は、そもそも川本家はお前からのそういうお金を受け取るような人たちなのか?という鋭い指摘と、いじめ問題に100%の解決策なんて無いと真理を言います。
そしてひなたちゃんがどうしたいかが大事なんじゃないか?直接、聞いてみればいいと言います。
林田先生のアドバイス的確です。
桐山はその前にひなたがいじめられて帰ってきた日に、小学生時代にいじめらていた自分を重ね合わせて、ひなたのような絶対的正義の存在に救われて、ひなたにありがとうと言います。
が、ひなたにしてみれば何のこっちゃ?だったと思います。
でもいいシーンです。
じいちゃん(前田吟)が、今のいじめはえげつねぇって聞いてるけど、それに立ち向かったひなたは立派だし、絶対正しいとお墨付きをもらって、ひなたは勇気が出ます。
桐山が出来たのは、飛車角落ちどころじゃない17枚落ち(王と金だけ)で指した、ひなたとの将棋で、「桂馬の高跳び歩の餌食」っていう将棋の格言を教えてあげたくらいかな。
桐山が桂馬をひなたに見立て、歩をいじめっ子たちに見立てて言ったかは分からないですけど、ひなたは頭いい子なんで、その後の行動に生きてましたね。
授業で理科教室に行くと、黒板にひなたの悪口がいっぱい書いてありますが、動じないひなた。
そして先生が入ってくると、何なのこれ川本さんと聞きます。
ひなたは、いや知りません、私が来たとき、もう書いてあったんでと、堂々と言います。
すると、いじめっ子が自作自演じゃないかとヤジを飛ばします。
ヤジを飛ばされてもキレないひなた。
ツカツカといじめっ子のそばに怒ったふりで寄ると、叩くと思った?と言い、叩いたらあんたらの思うつぼだからそんなことはしないと言い、自作自演した証拠はあるのかと切り返します。
すると先生が壊れて発狂して、もうそんな茶番はいい、誰が書いたか分かってると、いじめっ子たちの名前を言います。
これをきっかけに学校全体が動き、いじめ騒動は沈静化します。
ひなたはここぞという場面で桂馬の高跳びをしたんですね。
獅子王戦を順調に勝ち進む桐山ですが、またしても川本家で問題が起こります。
それはひなたたちを置いて、よそに家庭を作って出て行った父親(伊勢谷友介)の突然の訪問でした。
今の家族とここで一緒にやり直そうという提案に戸惑うひなた。
この日、川本家を訪れることになっていた桐山は、三日月堂の手伝いで手が離せないあかり(倉科カナ)からメールを貰って、この件に関わることになります。
中学生のひなたやまだ小さいモモだけでは言いくるめられてしまうので、桐山は、突然そんなこと言い出すなんておかしい、何か裏があるんじゃないかと、将棋と同じように鋭い読みで防御します。
そして、ここはおそらく(描かれてないが)財力を発揮(探偵や興信所を使って)して、父親の生活を調べ上げ、勤めている中古車販売店をリストラされ、そこの社員寮の退室期限が迫っていることを知ります。
その打算的な性格に怒りを増幅させる桐山でした。
獅子王戦トーナメント準決勝の対局を勝って、決勝戦の相手(後藤九段の予定)との共同記者会見を待ってると、あかりさんからモモちゃんが幼稚園から連れ去られたとメールが入ります。
会見をすっぽかして川本家に向う桐山。
川本家に着くとおそらく父親に連れ去られたのだろうと言われます。
警察に通報しましょうと桐山が息巻いてると、父親がモモちゃんを連れて帰ってきます。
川本家の前で、桐山が父親をこき下ろし、打算を暴くと、あかりさんから、今日は帰ってと言われてしまいます。
そりゃ、無いぜ、あかりさん。
完全に梯子を外された桐山。
もう俺には将棋しか無ぇんだよぉぉぉーってことで、全力で梯子を登ります。
もう降りる梯子は無いのです。
鬼になる桐山。
林田先生にも学校を辞めると言って、もうそこからは対後藤(伊藤英明)戦だけに集中します。
獅子王トーナメント決勝戦、対後藤戦。
一年前に香子(有村架純)の説得を賭けるも、叶わなかった対戦のリベンジでもありました。
重厚さが売りの後藤が驚くほど桐山を研究し、一進一退の攻防が続きます。
同じ時刻。川本家では父親と3姉妹で遊園地に行きます。
対後藤戦。桐山は悪手は打ってませんでしたが、A級九段の実力にジリジリと押されていきます。
狂ったように頭を叩く桐山、必死で勝ち筋を探し出そうと、頭から捻り出そうともがいています。
遊園地の川本家。
三姉妹で相談した結果、この遊園地を最後の思い出にして、父親と決別しようと決めていました。
諦めの悪い父親はあかりにすがりますが、ビンタされて諦めるのでした。
対後藤戦。必死で勝ち筋を探そうとする桐山に今までのことが走馬灯のように蘇ってきます。
暖かく迎えてくれた川本家や、心友の二海堂や島田八段の研究会。
三角・松本両先輩。幸田父(豊川悦司)などなど。
そう、桐山は、ひとりじゃない、ひとりじゃないんだぞー、ということに気付くのであります。
もうエヴァンゲリオンの最終回であります。
シンジ君=桐山零。
父にありがとう、母にさよなら、そして、全てのチルドレンに、おめでとう。
後藤を大逆転で下すと(感想戦バックレちゃいけないんだぞ、なんて野暮な事言いません)、川本家に直行する桐山。
川本家に詫びを入れて(なんか腑に落ちない部分もあるが)、今までどおり、暖かく迎え入れてくれます。
僕にはまだ帰れるところがあるんだ。こんなに嬉しいことはない。
byアムロ・レイ=桐山零。
このあとは獅子王戦に向けて幸田父に着物を新調してもらったり、引きこもってしまった幸田息子の歩に立ち直りのきっかけを与えたりするのが描かれて、山形の山寺、立石寺での獅子王戦に臨む桐山と宗谷名人が対面したところで映画は終わります。
で「3月のライオン」のタイトルバック。
もうね、涙ちょちょ切れるかと思いましたよ。
エンディングテーマは藤原さくらさんが歌うスピッツのカバー「春の歌」なんですが、これスピッツ版だったら号泣してました。
危なかった。
いやー、もう、前後編通してホントよかったですよ、この作品。
正直、原作と比較してというのは分からないです。
原作が現在12巻ですか?
で、まだ続いているって作品を、映画では前後編にまとめて完結させてるっていう点では、最高の出来なんじゃないですかね?
実際、原作者の羽海野チカ先生も凄い喜んでるみたいですし、批判する要素はあまり無いかなぁと。
そうだな。こんなに好きになれる事がもうかなりすごい確率で奇跡のような事なんだからなぁ…。映画、まだ前編、上映しているところがあります。誰一人諦めないでガチで取り組んで創り上げて下さった映画です。 #映画3月のライオン面白かった 私が作ったこのタグで感想戦とかご一緒しましょう
— 羽海野チカ (@CHICAUMINO) 2017年4月24日
後、映画はヒットしたら原作者にお金が多く行くというシステムはないんです。 なので、本当に、ただただ、私が嬉しかったからやってる事です。 そして、私が嬉しかったからおすすめさせていただいてますが、観ても観なくてもこれも全然自由なのですよ(´ω`)
— 羽海野チカ (@CHICAUMINO) 2017年4月24日
先生のツイート見てるだけで、この映画への思いが伝わってきて、泣きそうです。
うーん、正直、前編と後編で、興収が最低でも各15億円はいって欲しかったですけど、なんでヒットしないのかなぁ。
まぁ、必ずしも良い作品がその時評価されるとも限らないですしね。ガンダムもエヴァンゲリオンも再放送から火が付きましたし。
そんな訳ですが、気を取り直して別の話題を。
『聖の青春』が公開された頃は、まだアプリ不正使用疑惑に揺れる将棋界でしたけど
半年も経たないうちに凄いことになってますね。
桐山零の設定と同じ史上5人目の中学生プロ棋士、藤井聡太四段。
まずはニコ生での3月のライオンとの連動企画で羽生三冠と対戦するも負け。
しかし、今度はアベマTVでの企画で再戦すると、勝っちゃって一般紙にも載る全国的なニュースになります。
公式戦13連勝も話題に。
桂馬が気楽に跳ねてるそうです。
いや、事実は小説より奇なりと言いますが、凄いことになってますな。
こういう共時性を持ってるのも『3月のライオン』という作品の力だと思いますので、映画館にレッツゴー!
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ シネマイレージデイ 1400円
2017年 65作品目 累計65900円 1作品単価1014円
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